2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

283話 ヤシ殻の椀を出ろ その2

『ヤシガラ椀の外へ』は、ちょっと変わった本だ。一応、著者ベネディクト・アンダーソン、翻訳者加藤剛ということになっているが、正確には、ふたりの共著に近い。英語の本を翻訳したものではなく、そもそも原本となる英語の本などない。日本の大学生や若き…

282話 ヤシ殻の椀を出ろ その1

書店の棚に、ちょっと変わった装丁の本を見つけた。カバーの絵は日本画なのだが、なんとなく日本趣味の西洋人が書いた本の雰囲気があった。著者名を見て、「やはり」と思った。 『ヤシガラ椀の外へ』(ベネディクト・アンダーソン著、加藤剛訳、NTT出版、…

281話 韓国の通貨ウォンのことが気になって・・・

困ったことになった。『星とともに走る』(四方田犬彦、七月社、1999)を読み始めて、1ページ目で止まってしまった。この本は、1979年から1997年までの、四方田の日記をまとめたものだ。1979年3月28日に韓国の労働ビザをもらい、日本語教師として韓国に行く…

280話 ユースホステルと海外旅行 5

『向こう三軒ヨーロッパ』はもう読んでしまったから、「復刊の必要は、なし」と思うが、まだ読んでいない記事はぜひ読みたい。 1965年の夏から秋にかけて読売新聞大阪版に連載された「地中海から日本へ」全56回は、東京本社では中近東部分の30回を「向こう三…

279話 ユースホステルと海外旅行 4

断片的情報ならば、この『向こう三軒ヨーロッパ』にも、興味深い記述はいくらかある。 ■旧制高校的教養 かねてから、「旅と教養」について考えている。かつての日本人の海外旅行は、旧制高校的教養が大黒柱になっているのではないかと思っていたが、やはりそ…