2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

422話 「活字中毒患者のアジア旅行」抄 第1回 バトパハ

序文 神田神保町のアジア文庫が出していた「新刊案内」に、エッセイを初めて書いたのは、第17号(1988,10~11)で、以後途切れることなく、最終号の104号の87回まで連載が続いた。「新刊案内」というのは、アジア文庫に入荷した本がリストになっているだけな…

420話 毎日のよしなしごとに腹を立て(よしなしごとは、「よしな、仕事」じゃないよ、念のため)

この連載は年長者の読者を考えて、1回分の長さは千数百字程度を目標にして書いているので、長くなる場合は何回かに分けて掲載している。若者はどうだか知らないが、私はモニターで長文を読むのはつらいのだ。読み続ける根気をなくす。1回分にはならない短…

421話 裕次郎映画と戦後海外旅行史

戦後の日本映画と海外旅行というテーマはじつに興味深く、ある程度はやったのだけれど、文章で説明してもなかなかわかってもらえない。ちょうどWOWOWシネマで石原裕次郎特集をやるので、今回は珍しく、お知らせだけ。ゆっくりと文章を考ええいると、放送が終…

419話 なんなんだろうなあ、このバックパッカー論  後編

引き続き、『旅を生きる人びと バックパッカーの人類学』(大野哲也、世界思想社、2012)を取り上げて、考える。 私は原文を読んでいないのだが、『地球の歩き方 アメリカ』の1980年版には、バックパキングの4条件が書いてあるそうだ。大野氏によれば、次の…

418話 なんなんだろうなあ、このバックパッカー論  前編

バックパッカーに関する研究で博士論文を書いた人がいるようで、どうやらその論文が出版されるらしいという噂を耳にして(正確には、「ネット上で知って」だが)、本屋の人文書コーナーの専門書を探したが見つからず、店を出ようとしたところで、出口の脇の…

417話  なぜか、便所本の書き手には女が多い

注文していた本年3冊目の便所本がきょう届いた。注文するときに、ついうっかりして総ページ数を確認するのを忘れた私がいけないのだが、届いたのは52ページの小冊子だった。”World Travel and a History of Toilet” (Jane Schauer , Kreav Pub. 2008)という…

416話 “Bathroom Signs”という本で、ちょっと遊んだ

同時に何冊か注文した「便所本」の2冊目が、ついさっき届いた。 ”Bathroom Signs”(I.P.Daily , Charlesbridge Publishing , 2011)という本だが、日本人にはこのタイトルはクセ者だ。Bathroomが、バスルームではないからだ。Bathroomは、イギリスでは「浴室…

415話 『この便所で、クソするな』 後編

前回の続きだ。 いくつか内容を紹介してみようか。 「健康」という項目には、「旅行者がかかる病気トップ10」が載っている。旅行と病気という話なら、マラリアだの下痢や肝炎だのといった話が出てくるのがまともな旅行解説書なのだが、そういう話題はいっさ…