2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

525話 アジア人旅行者

前回の出身地の話を書いていて思い出したのは、最近、旅から帰った友人たちが、同じ話をしていたことだ。 アジアを旅していて、観光地で、こう声をかけられることが多いというのだ。 「ハロー! アンニョン・ハシムニカ?」 あるいは 「ハロー! アー・ユー…

524話 Where are you from?

テレビ東京の人気番組「youは何しに日本へ?」は、日本の空港にいる外国人に、日本に来た理由をたずねるという構成で、場合によってはそのあと同行取材する。取材者がアップアップしながらギリギリの時間と能力と予算で作っているのが、良くも悪くもテレ東ら…

523話 地域からも自由になって

前回までの地域研究に関する文章を書いていて、ある人物の顔が浮かんだ。地域研究とは対極にありながら、しかし「広く、かつ深く」と考えている点ではあまり変わらないという研究者がいる。傑出した偉人であり、尊敬していて、私が書くものに大いに影響を与…

522話 地域研究と東南アジア  その2

前回、地域研究とは、スーパーマンの研究者を養成する全体理解の学問だという話を書いた。京都大学における地域研究の歴史の話を読んでいて頭に浮かんだ事がふたつあり、ひとつ目は前回書いた。今回は、思いついたふたつ目のことを書く。 私がタイでやってき…

521話 地域研究と東南アジア その1

地域研究とは、文字通りある地域の研究という意味だと、つい先日まで思っていた。それ以上の意味があるとは思ってもいなかった。ビルマの小説家マウン・ターヤさんと雑談をしていた時に、彼はしばしば“area studies”という語を使ってビルマ研究の話をしたが…

520話 フィリピンの本の話から

前回の話の続きを書きたくなった。農文協が出している「世界の食文化」シリーズ全20巻には『極北』まであるが、『フィリピン』はない。まあ、太平洋の島々も、ギリシャも東ヨーロッパもポルトガルの巻も、インド以外のインド亜大陸の国々やトルコ以外の中…

519話 あの特別な日の夜

久しぶりに、上智大学の寺田勇文さん(文化人類学、フィリピン研究)に会った。だいぶ前にたった一度会い、ほんの数語ことばを交わしただけなのだが、あのときのことはよく覚えている。寺田さんも、「ええ、前に会ったのはあのときですね」と、あの日のこと…

518話 混ぜご飯と混ぜる飯の話 その2

前回の話で、黒田勝弘氏が、ビビンパが西洋人に受け入れられるには食べ方を工夫しないといけないと書いた。西洋人はご飯をこねくり回して食べないし、スプーンで飯は食べないからだ。西洋人の食べ方に関しては、そのとおりだ。イギリスではカレーライスもナ…

517話 混ぜご飯とご飯を混ぜる話 その1

韓国は、政府が主導で、韓国料理を世界に売り出そうとしている。ドラマ「食客」もそれがテーマで、「日本料理が世界で人気なのに、なぜ韓国料理が世界で評価されないのだ」というセリフも出てくる。韓国のドラマとポップミュージックでは日本を抜いて世界で…