2014-01-01から1年間の記事一覧
イワシのフライ カサブランカから鉄道でフェズに行った。鉄道に乗りたかったのだ。フェズは大観光地だから、用はない。私にはシャウエンに行くバスの乗換え地点でしかない。鉄道駅からバスターミナルまでは数キロあるから、荷物を持って歩くにはちょっと大変…
ハッブース街 カサブランカのハッブース街は、1930年代にフランス人によって造られた新市街らしいのだが、モダン様式以前のスタイルだから現代的というわけではない。ちょっとおもしろそうなのだが、行くのがちょっと面倒な場所にある。だからといって、タク…
カサブランカ 〜ワルザザードで会ったあなたに〜 ワルザザードで出会ったあなたは、「大都会が嫌いだから、カサブランカには行かない」と言っていて、たしかにガイドブック的には「見るべきもの」があまりないカサブランカではあるが、街散歩が好きな私には…
沙漠へ 沙漠へ行った。マラケシュから南下してワルザザードに行った理由は、アトラス山脈を越えたかったからで、ワルザザードから西へエルラシディアまで行ったのは、久しぶりに沙漠を見たくなったからだ。「アトラス山脈」という語の響きがなんだか魅力的で…
タオルを探して やってしまった。また、タオルをホテルに忘れてしまったのだ。「タオルはホテルに常備されているもの」という旅行をしている人にはわからないだろうが、タオルは自分で用意するものというのが常識という安宿が、世界にはいくらでもある。そし…
またしても、バッグ壊れる リュクを背負って旅をしたのは、1980年代初めのアフリカ旅行が最後だった。その後、バンコク暮らしをしているときに、原稿用紙や資料の持ち運びに便利なので、ほんの一時期、トランクを使ったことがあるが、基本的にはずっとショル…
バルセロナの新京極 正確に言えば、バルセロナに来たのは2度目である。1975年に2時間ほどいたことがある。フランコ政権の最末期である。マドリッドからパリへの夜行バスに乗ったら、バルセロナで乗換えの手続きと休憩があって、2時間ほど過ごした。深夜の…
さて、目的地だが この雑語林の第637話で書いたように、旅行地の候補のなかで、「よし、決めた!」と仮決定したのがインドだったが、『地球の歩き方 インド』も買ったというのに、「インドに行きたい、よし行こう」という熱意は、ガイドブックを読んで数日で…
旅は、いつでもできるわけじゃない [前口上 この旅物語は、旅から帰ってすぐ書き始め、1週間ほどで3万字を超え、10日目で5万字を超え、6万字を超えた今もまだ完成していない。本来なら、一応であれ、書き終えたあと全体を眺めて構成を考え、校閲したいのだが…
前回、台湾の米についてちょっと書いた。あのまま詳しい解説を書くと長くなるので、改めてここで書くことにした。ウィキペディアで、日本人が作ったとされる台湾の米「蓬莱米」や、その米を作りだした磯永吉の記事では、こう書いてある。 1、台湾では日本と…
読んだのはかなり前だが、この雑語林用に書き溜めたコラムが多くあり、しかも旅に出てしまったので、紹介するのがかなり遅くなってしまった。『米国一家、おいしい東京を食べ尽くす』(マシュー・アムスター=バートン著、関根光宏訳、エクスナレッジ、2014…
駅や街なかにある立ち食いそばがちょっと注目を浴びているようで、関連書が何冊も出版されている。このアジア雑語林でも、第480話で、『ご当地「駅そば」劇場』(鈴木弘毅、交通新聞社新書、2010)を紹介しているが、同著者、同出版社による『東西「駅そば」…
1963年に神戸で創業した大同書房は、76年に三宮センター街に移転して、ジュンク堂書店と名を変えた。1980年代に入り、関西に大型書店ができているという噂は耳にしたが、初めて足を踏み入れたのは、96年開店の大阪・難波店だった。 大型書店は東京にもあるか…
[註:旅から無事に帰ったが、その旅物語はどれだけ長くなるのかわからずに書いているところなので、いつ発表できるかわからない。だから、今はとりあえず書き溜めた文章をアップしておこう。しばらくは、旅とは関係ない文章が続きます] 1960年代前半までの高…
この秋に、どこに行こうかと考えた。まだ行ったことのない国のなかで、もっとも行きたいのはブラジルなのだが、時と場所を選ばずに散歩をしたがる私のように旅行者には、ブラジルはあまりに危険らしい。行ったことがある国で、また行きたい国のひとつはケニ…
前回までのコラムに中公文庫のことを書いていたら、「1970年代後半の中公文庫がおもしろかった」という印象を、具体的に調べてみたくなった。中央公論社が文庫を出したのは1973年で、70年前半は、アジア物といっても『アーロン収容所』(会田雄次)と『レイ…
井伏鱒二といえば、少年時代に『ジョン万次郎漂流記』(1938年直木賞受賞作)、『山椒魚』、『黒い雨』の3作を読んでいるだけだが、それ以来40年以上たって、ひょんなことから井伏の本を注文することになった。井伏鱒二(1898〜1993)は、1941年12月、マレー…
「風と共に去りぬ」は、小説を読んでいないし、映画も舞台も見たことがない。「見たい」とはあまり思わない映画だったからだが、映画のいくつものシーンは、テレビのアメリカ映画史といった番組などで見ている。それでも特にどうという印象はなかったのだが…
若者の旅の歴史を追うには、ドイツの遍歴職人やユースホステルやワンダーホーゲルの運動、イギリスのグランドツアーやボーイスカウト活動などいくつもの要素があるのだが、第2次大戦後に限れば、若者が異文化衝突の旅をするようになるきっかけには、アメリ…
本の話を何本も書いて、これから公開していく予定だったのだが、新聞もテレビも「新幹線開業・東京オリンピックから50年」という話題であふれていて、「ああ、そうだったなあ」と思い出すことがあって、その話題をはさむことにした。 そう、今から50年前の今…
台湾の書店で気がついたことはいくつもあるが、そのひとつは「懐かしモノ」がけっこうあるということだ。日本の「懐かしの昭和」と同じように、1960年代あたりを懐かしく思うという本もあるが、台湾らしいのはもうひとつの「懐かしモノ」で、それは日本時代…
このコラムでも、「好奇心をいっきに広げて、さまざまな視点で考えている本を読みたい」などと書いているが、じつは私の読書好奇心は非常に狭い。 本の分類は、図書館で採用されている「総記」「哲学」といった分類は一般的にはわかりにくいので、丸善&ジュ…
引出しを整理していたら、使用済みと、大量の未使用のフロッピーディスク(以下FD)が出てきた。もはや時代遅れの燃えるゴミだと思い、情報が入ったままのものも含めて、きれいさっぱりと捨ててしまった。 かつては、原稿は原稿用紙にBのエンピツか2Bのシャ…
旅行人編集部で、「パソコンを買ったよ」という話をしたら、編集者の木村さんが、「コンピューターに詳しい友だちとは仲良くしておいた方がいいですよ。いろいろ助けてもらうことが出てきますから」といった。そのアドバイスの意味はすぐにわかった。パソコ…
Amazonの日本版は2000年の創業らしいが、その初期はもちろん知らない。新刊書をネット通販で買う気はなかったし、そもそも通販そのものとは縁が遠かった。避けていたと言ってもいいが、すぐにインターネットで古書を買うようになった。 通販を怖がっていた私…
今回の通しタイトルは「パソコン導入直後」だが、直前にも大問題があったことを思い出した。貧乏なフリーライターは、クレジットカードを持てないという大問題だ。 私はクレジットカードとは無縁のまま生涯を終えると思っていた。アメリカを旅しているときに…
インターネットに関して思い出すことはいくつもあるが、これはそのひとつ。 私がパソコンを買ったちょうどそのころ、たけし軍団がラジオでしゃべっていた話だ。芸人の話だから、話を盛ってあるかもしれないが、こういう内容だ。 「殿、インターネットってす…
この雑語林の連載2回目は、2002年8月19日付けで、「パソコン導入」という文章を書いている。私が初めてパソコンを買った時の話だ。 http://www.asiabunko.com/zatugorin1_10.htm もう10年以上前の話だが、この世界では新参者にすぎない。それでも、変化の激…
「もしかして、参考になるような資料があるかもしれない」という一縷の望みで購入ボタンをクルックしてしまった本が届いた。『カメラの旅 韓国と東南アジア』(持田信夫、実業之日本社、1969)をネット書店で見つけ、1960年代の韓国と東南アジアの姿が保存さ…
本を読むのに疲れて目をあげると、電車内はかなりすいていて、けだるい午後の陽がさしていた。斜め向かいに、かわいいというよりはむしろ「美人」と言ったほうがふさわしい中学生が、ひとり座っていた。スマホで遊ぶでもなく、本をひろげるでもなしに、所在…