2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

579話 排泄文化論序章朝鮮編  その8

おまる 朝鮮の旅行記を読んでいると、住宅の窓からおまるの内容物をあける人がいるから、家のすぐそばを歩かないようにという話題を何度かでてくる。フランスの便所史を読めば、かならず出てくる話だ。このことからも、朝鮮は「おまる」(屎瓶も含めて室内便…

578話 排泄文化論序章朝鮮編  その7 

『田舎暮らしの韓国人』 韓国人の思い出話にも、便所と灰の話があった。現在は日本に住んでいるちょん・ひょんしる氏は、1961年に仁川市で生まれ、10代は祖父母が暮らす全羅北道の農村で過ごした。1970年代の農村の家の便所を、『田舎暮らしの韓国人』(ちょ…

577話 排泄文化論序章朝鮮編  その6 

『アジア厠考』2 『アジア厠考』の、「韓国便所事情」を書いた新納豊(にいのう・ゆたか)氏は、執筆当時は大東文化大学助教授で、現在は教授。韓国を研究地域とする文化人類学、農耕文化の研究者だから、今回の私の関心と合致する。農村と深く結びついてい…

576話 排泄文化論序章朝鮮編  その5

『アジア厠考』1 私が持っている便所本のなかで、もっとも資料性が高いのは、『アジア厠考』(大野盛雄・小島麗逸編著、勁草書房、1994)である。編者たちがかかわる大東文化大学とアジア経済研究所の研究者たちが、それぞれが得意とする地域や分野の論文を…

575話 排泄文化論序章朝鮮編  その4 

『写真でみる朝鮮半島の農法と農民』 農学博士高橋昇(1892〜1946)は、1919年から26年間朝鮮半島の農業と農民を見てきた。日本に持ち帰った膨大な資料は、研究者や長男の手で一部が活字化されて出版された。それが前回紹介した『朝鮮半島の農法と農民』(1998…

574話 排泄文化論序章朝鮮編  その3

『庶民たちの朝鮮王朝』 2 『庶民たちの朝鮮王朝』を読む前に、朝鮮半島では人糞肥料を使っていたという事実はすでに知っていた。韓国ドラマ「イ・サン」(韓国で2007〜08年放送)だった。18世紀後半の時代設定だ。高官のホン・グギョンが下野してついた職が…