2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

868話 患者様

もう「昔の話」といってもいいのだろうが、初めてパソコンを使い始めたばかりのころだ。そのころ、原稿を書く上で、調べなければいけない細かい事項がいくらでもあった。例えば、ある本の正確な書名や出版社名や出版年、あるいは映画の監督名や公開年といっ…

867話 中国人観光客の行状を嘲笑する前に 後編

大阪の工業高校を卒業した澤田秀雄は、ドイツの大学に留学し、現地で貯めた資金をもとに帰国後H.I.S.を起業した。ドイツでなにをやってカネを作ったのかという話は、活字にもなっているし、テレビのインタビューでも答えている。「日本人をナイトツアーに…

866話 中国人観光客の行状を嘲笑する前に 前編

昨今、中国人観光客の「爆買い」や行儀の悪さがマスコミの話題となり、反中国勢力を喜ばせているのだが、バブル経済に踊っていた時代の日本人の海外旅行を知っている人は、ノー天気に中国人を笑っていられないはずなのに、「ニッポン万歳マスコミ」は過去を…

865話 カッコいいミュージシャン、3人の女 

日頃音楽を聴き、テレビやユーチューブなどを見ていると、「かっこいい!」としか言いようのない女のミュージシャンが3人いる。若い順に紹介してみようか。ここで紹介している動画を全部見ると数時間かかると思うので、音楽好きの方は、時間に余裕のあるとき…

864話 オリンピックと出版物 その2

1988年のソウル・オリンピックと出版物について考えてみた。 国会図書館の蔵書目録のなかから、「韓国 1985〜1988」で検索すると、見慣れた本が次々に登場する。便乗本として企画された本もあるだろうし、著者の意図はどうであれ、出版社が「ふだんなら出せ…

863話 オリンピックと出版物 その1

リオ・オリンピックを前にして、ブラジル関連本が数多く出るのではないかとちょっと期待をしていたのだが、悪い予感が当たり、出版界では「ブラジル・バブル」はなかったと思う。何冊かは出たから無風ではないが、「バブル」では到底ない。この時期に出版さ…

862話 日本語の書式

今年もまた、昨年に続いて同じ内容のコラムを書くことになった。 私が担当している授業のレポートを採点したところだが、今年もまた「だめな日本語」のレポートがあった。1割が日本語の問題で不合格だった。「情報の出典が明記していない」とか「論理の展開…

861話 日本は完全無欠?

ちょっとでも物事を考える人は、昨今のテレビ番組の、「日本万歳!」、「日本人万歳!」、「日本の頭脳・技術万歳!」の我田引水ぶりは大問題だなあと気がつくだろう。「日本はすばらしい」という説がおかしいというのではない。「日本の技術はすばらしいと…

860話 昭和の実感 その9

戦争の記憶 私は戦後生まれだから、戦争の実体験は当然ない。しかし、大人たちから、幾度か戦争の話を断片的に聞いた。 少年時代、父と風呂に入っているときに、父は体に銃で撃たれたあとがいくつかあるという話を、傷跡を見せながらした。戦争を知らない私…

859話 昭和の実感 その8

動く姿を知らない有名人 どのラジオ局でも、「夏の終わりのハーモニー」(井上陽水&玉置浩二)が絶えず流れていたのに、9月に入ると一斉に「September」(EW&F)に変わって、きょうだけでも4回耳にした。まるでバブル時代だ。この歌は、「12月の今、9月のあの…

858話 昭和の実感 その7

歌謡曲に包まれた幸せ 後編 レコードやラジオで消費される大衆音楽(ポピュラー・ミュージック)が日本でも生まれ、初めは「流行り歌」、そして「流行歌」と呼ばれていたが、「流行もしていないのに、流行歌と呼ぶのはいかがなものか」という日本放送協会か…