2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その13 アルデンテ 下 カフェテリア式のレストランというのがある。あらかじめ作った料理が並んでいて、客は好きな料理を選んで精算するセルフサービス方式のレストランだ。 イタリアにも、大きな駅やシ…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その12 アルデンテ 上 たびたび引用している『食のイタリア文化史』によれば、パスタはもともと2時間はゆでていたのだが、ある時からアルデンテと言われるような硬ゆでになったというのだ。昔は、よくゆ…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その11 パスタの直径で見る種類 紐状のパスタの種類がよくわからないのだ。明確な区別があるのだろうか。この話は少し前に書いたが、はっきりさせたいことがあるので、もう一度改めて書く。日本語や英語…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その10 フォークのこと アマゾンで、『食のイタリア文化史』(アルベルト・カバッティ&マッシモ・モンタナーリ、柴野均訳、岩波書店、2011)という本を見つけたのだが、税込み7000円ほどする学術書だか…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その9 ピザとスパゲティの食べ方 ピザの食べ方はすでにしたが、改めてもう一度しておこう。 私の見た範囲でいえば、中級以上の店では、ピザをナイフとフォークで食べる人が多いが、「手で食べてはいけない…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その8 スパゲティも海を渡る 貧しいイタリア人が食べていたひも状パスタは、アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ、つまりニンニクとトウガラシが入ったものか、ニンニクに塩コショー味のものだった。そうい…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その7 パスタはスパゲティだけじゃないのに ひも状のパスタは、Bucatini、Canalini、Bavette、Spaghetti、Vermicelli、Capellini、Fedelini、Linguine、Chitaraなど多数あるのに、なぜSpaghettiだけが世界…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その6 スパゲティも新しい 「我々外国人が考えるイタリア料理は、新しい」という仮説は、もともとはスパゲティについて調べているときに考えたものだった。スパゲティについて書いている人はいくらでもい…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その5 スペインやタイでも、国民料理が ピザがイタリア全土に広がるのは、1970年代末から80年代。外国人が考えるイタリア料理が完成するのがその時代だといったことが書いてある『ねじ曲げられた「イタリ…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その4 アメリカ式ピザ ピザの第2グループは、アメリカ式ピザだ。 アメリカ式という呼称は私が勝手に名付けたものだ。特徴は具が多い。多種かつ大量に具がのっている。ただし、「大量」といっても、店によ…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その3 イタリアのピザブームは、1980年代 『ねじ曲げられた「イタリア料理」』によれば、イタリア人の誰もがピザとはどういう食べ物かを知り、都市部にすむ多くの人が「食べたことがある」と言えるように…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その2 ピザを愛したのはアメリカ人 ピザはナポリの郷土料理であり、なかなかイタリア全土に広がらなかったが、アメリカではすぐに愛される食べ物になった。生活が苦しくて、このままでは生きて行けそうに…
「イタリア料理」は新しい 〜ピザとスパゲティの話 その1 ピザはなかなか全国区の食べ物にはなれなかった。 「スパゲティがイタリア料理の代表的存在になったのは、ここ数十年のことだ」という私の仮説を食文化研究者たちに話すと、誰もが「そんなわけはな…
ベネチアへ その7 イタリアからの帰路、ふたたびバンコクに寄った。乗り換えとはいえ、早朝到着の深夜出発だから、のんびりできる。雑誌「ダコ」の沼館社主とまた夕食。 「イタリア、楽しかったですか?」 「ベネチアに、行きましたよ」 「で、どうでした?…
ベネチアへ その6 迷路の街というのは北アフリカなどにもあるのだが、ここでは迷路に加えて運河があるから、行く手がはばまれて、また元に戻るということを繰り返している。ただの散歩でも右往左往、行きつ戻りつを繰り返すことになるのに、カート付きトラ…
ベネチアへ その5 ベネチア行きの列車が出るのは昼だから、午前中は何をして遊ぼうかと考えながら朝ごはんを食べていた。コーヒーを入れてくれたリビアさんと、「ナポリ滞在を切り上げてベネチアに行くことになった理由は、装飾だらけの重い建築にうんざり…
ベネチアへ その4 バーリからナポリに行った。 ナポリの宿でのある日の朝食は、スイス人家族といっしょだった。幼稚園と小学生の娘がいる夫婦とこれまでのイタリア旅行の話をした。彼らが絶賛したのが、ベネチアだった。 「今年も行ったんですよ。これで3…
ベネチアへ その3 アルベロベッロで、ロココでもバロックでもない建築を楽しんだ。自動車が少ないのもいい。こうなれば、もうひとつの観光地へも行ってやれ。アルベロベッロに行った翌日、今度はマテーラへの日帰り旅行に出かけたのだが、大変な朝だった。…
ベネチアへ その2 今回の旅では、イタリア最初の街はシチリアのパレルモだった。その後、シチリア島東部のカターニャやノートやシラクーザを旅しているうちに、街にうんざりしていた。カターニャに行こうと思った理由は、今も時々火を噴くエトナ山を見たい…
ベネチアへ その1 ベネチアに行く気は、初めからなかった。大観光地は、性に合わない。イタリアに行く2日前に、イタリア史の研究者である山辺規子さん(奈良女子大学)に会ったので、イタリアに関する雑談をした。ローマは、ミラノは、ボローニャは、と街…
辻邦生の本はなぜつまらないのかという思索 特に理由もなく、「イタリアに行ってみようか」と思ったのは、昨年2016年の春のことである。すぐに関連書を買い集めた。段ボール箱に半分ほどの本を読んでみたが、どういう本を読んでも、「いいなあ、イタリア…
いつものように、トイレの研究。今回は、ちょっと深い。 その3 イタリアのトイレは、バールやレストランや博物館などの施設以外、たいていは有料である。私の体験では、最低は0.5ユーロ、最高はベネチアの1.5ユーロだった。有人施設もあるが、多くは自動改…
いつものように、トイレの研究。今回は、ちょっと深い。 その2 体験2 便座がない 個室の便器は腰かけ式で、アルベロベッロでは便座があったが、便座がない方が多い。博物館などで、ペーパータオルを常備している施設があるのだが、「紙タオルを買うカネが…
いつものように、トイレの研究。今回は、ちょっと深い。 その1 イタリア語でトイレはtoiletteやgabinettoなど数多くの表現があるが、ごく普通に使うのは「バーニョbagno」だろう。文字通りの意味は、「入浴」、「浴室」だが、トイレの婉曲表現としても使う…
ナポリ、狂乱の夜 その4 35年前のあのときもガイドブックを持っていなかったから、駅周辺で安宿を探したはずだ。英語の本か雑誌がないかと、駅の売店に行ったことを覚えている。現在の駅は2005年以降のもので、昔の駅は古く暗かったが、それが古ぼけていた…
ナポリ、狂乱の夜 その3 ピザを食べ終えて、ブリンディッシの通りに出ると、もうすっかり夜だった。地方都市の静かな夜だったが、突然、暴走族の大集会のような騒ぎになった。何がなんだか、わからない。オートバイや自動車がクラクションを鳴らしながら、…