2018-01-01から1年間の記事一覧

1217話 プラハ 風がハープを奏でるように 第26回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その8 チェコの過去のヒット曲はどういうタイプの音楽なのか、歌手の服装などいろいろ知りたかった。希望のままに終わるかと思われたが、偶然にも、宿の台所でテレビを見ていたら、コンサートのシーンが出てきた…

1216話 プラハ 風がハープを奏でるように 第25回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その7 帰国して、まずプラハで買ったマルタのCDを聞いた。それから、パソコンに向かった。プラハの夜に出会ったあの若きミュージシャンが紹介してくれたチェコの歌手やバンドの動画を探したら、じつに簡単に見つ…

1215話 プラハ 風がハープを奏でるように 第24回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その6 チェコ音楽博物館から宿に帰った日の夕方、受付けカウンター付近ではジャズが流れていた。「デイブ・ブルーベックか。ラジオ?」と棚のラジオを指さしたら、パソコンに向かっていた若い男が、「いや、これ…

1214話 プラハ 風がハープを奏でるように 第23回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その5 2000年に、NHK「世紀を刻んだ歌」(2000)を見ているが、記憶はあまりない。確認したいことがあるので、録画したはずのDVDを家中探したが、見つからない。これまたはっきりした記憶ではないが、今年だったか…

1213話 プラハ 風がハープを奏でるように 第22回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その4 マルタ・クビショバーもベラ・チャスラフスカも、初めから筋金入りの活動家だったわけではない。チェコ事件の以前も以後も、共産党政府ににらまれた有名人などいくらでもいたが、多くは共産党に恭順の姿…

1212話 プラハ 風がハープを奏でるように 第21回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その3 公安がマルタに求めたのは、「私は悪いことをしました。申し訳ありません」という始末書にサインするか、外国に出ていくかの、どちらかだった。外国で騒ぐだけなら、国内には影響はないという考えだった…

1211話 プラハ 風がハープを奏でるように 第20回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その2 そのLPレコードは、白黒写真を青地で囲ってある。女性歌手の姿に1960年代を感じる。日本で言えば、カルメン・マキや浅川マキの雰囲気だ。ほかのレコードは、保守本流の流行歌ヒット盤やディスコのバンド…

1210話 プラハ 風がハープを奏でるように 第19回

マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その1 プラハの博物館はつまらん、入場料を払う価値のある博物館はあまりない。はっきりとそう認識したのは、ムハ美術館だった。その画家の名はMuchaと書く。チェコ語ではchはhの発音になるから「ムハ」である…

1209話 プラハ 風がハープを奏でるように 第18回

チェコ語 後編 チェコ語はそのままローマ字読みしてはいけないので、ちょっとした訓練が必要だ。 地下鉄は車窓からの眺めを楽しめないから、ある日の車内ではチェコ語の教科書を手にしながら、駅名の発音を考えてみた。地下鉄なら、駅名のアナウンスがあるか…

1208話 プラハ 風がハープを奏でるように 第17回

チェコ語 前編 チェコ語の文法はややこしいということはすでにわかっているから、チェコに行くからといって、チェコ語を学ぶことはハナから考えていなかった。私は言葉に興味があるが、その言葉を地道に学ぶまじめさがないのだ。言葉が通じなくて困れば、そ…

1207話 プラハ 風がハープを奏でるように 第16回

チェコの英語 1918年、チェコスロバキア共和国が誕生した。それまでのドイツ語支配の状況から、チェコ語とスロバキア語の世界に変わっていくのだが、ドイツ系住民が多かったこともあり、ドイツ語は依然として強い力を持っていた。1939年にナチス・ドイツの支…

1206話 プラハ 風がハープを奏でるように 第15回

散歩のガイドブック いままで、中2日という更新間隔でやって来たが、まだ公開していない下書きだけで3万字くらいあり、それでも構想している全体の半分にもならない。このままでは来年春になってもまだ終わらないかもしれない。買い集めた資料はほとんど読…

1205話 プラハ 風がハープを奏でるように 第14回

此頃都ニハヤル物 その6 プラハでよく見かけるもの、第5位は、これ。 5、すし 1995年から96年にプラハで生活した日本人は、チェコ人にとっての魚をこう書いている。 「内陸国のチェコの人たちは、昔から海の幸にはなじみがないため、魚介類を見るとき、ま…

1204話 プラハ 風がハープを奏でるように 第13回

此頃都ニハヤル物 その5 プラハでよく見かけるものの第4位は、これだ。 4、中国語人観光客 いまさら、なのだが、プラハにも当然中国人、正確には中国語人観光客が多くいる。中国語人というのは、中国語でしゃべっている人たちという意味で、中国、台湾、香…

1203話 プラハ 風がハープを奏でるように 第12回

此頃都ニハヤル物 その4 プラハでよく見かけるものの続きを書く。 3、ベトナム料理店 プラハで見ていたテレビから、ヒップホップグループのプロモーション・ビデオが流れていた。撮影現場は市場のようで、ベトナム語の看板が見えるのだが、ベトナムの空気…

1202話 プラハ 風がハープを奏でるように 第11回

此頃都ニハヤル物 その3 プラハでよく見かけたものの続きだ。 2、タイ・マッサージ プラハでもっとも有名な広場といえば、旧市街広場とバーツラフ広場が首位争いをするだろうが、繁華街でもあるという条件を加えると、バーツラフ広場が首位に来る。そこは、…

1201話 プラハ 風がハープを奏でるように 第10回

此頃都ニハヤル物 その2 両替の問題点を書き出してみる。 プラハで悪評高きものといえば、悪質タクシーと両替屋だ。両替屋の悪事はいくつかある。スペインやイタリアでは、クレジットカードを使ってATMでキャッシングという旅行者が多かったように思うが、…

1200話 プラハ 風がハープを奏でるように 第9回

此頃都ニハヤル物 その1 プラハを散歩していて耳障りな事、聴覚に与える不快な事は、まずサイレンだ。救急車とパトカーの両方があるようだが、まるで犯罪多発都市のように昼夜サイレンが鳴り響いている。特に、深夜早朝は安眠を妨げる。プラハ在住者のブロ…

1199話 プラハ 風がハープを奏でるように 第8回

英語を覚えるわけではなく 英語の辞書があれば、会話がもっとうまくいったのになあということはあった。 雑談をしていれば、わからない単語などいくらでも出てくる。そこでいちいち辞書を引いていたら、会話にならない。だから、わかっている振りをするのも…

1198話 プラハ 風がハープを奏でるように 第7回

ドミトリー その2 プラハで最初に泊まったドミトリーは8人部屋だった。部屋の中央にテーブルとイスがあり、そこで毎日雑談会が開かれた。政治や経済の話から、普段の生活の話や、失敗談など話題は豊富で、毎日が楽しかった。登場人物が少しずつ変わり、談論…

1197話 プラハ 風がハープを奏でるように 第6回

ドミトリー その1 夜、プラハに着いた。それから宿探しをする気は初めからないから、宿は日本で予約しておいた。チェックインをして、「12号室です」と言われてカギを渡された。2階の12号室のドアを開けたら、Tシャツに短パン姿の若い女がふたりいた。慌て…

1196話 プラハ 風がハープを奏でるように 第5回

チェコとプラハの基礎知識 チェコは、日本語ではチェコ共和国、チェコ語ではČeská republikaチェスカー・レプブリカ、英語では Czech Republicチェック・リパブリック。英語のCzechは、国名のほか、チェコ人、チェコ語、そして「チェコの~」を表す形容詞に…

1195話 プラハ 風がハープを奏でるように 第4回

機内映画と吹き替え 中国国際航空の機内映画環境はひどかった。モニターがフリーズしてしまったので、乗務員に苦情を言ったら、「乱暴に扱うからですよ!」と私のせいにする。「それでは、正しい扱い方を見せていただけますか」とあえて、嫌みったらしくてい…

1194話 プラハ 風がハープを奏でるように 第3回

アエロフロート・ロシア航空 アエロフロートの話をしておきたくなった。その昔、1970年代は、アエロフロートはエジプト航空やパキスタン航空などと並んで、「安いから我慢するしかない航空会社」のひとつだった。「ヨーロッパに安く行くならアエロフロート」…

1193話 プラハ 風がハープを奏でるように 第2回

誰も気候の話を信じてはならぬ 「わたしの一家がプラハに移り住んだのは、一九五九年の十一月で、すでに気温は氷点下一〇度を下回る日々が続いていた」(『旅行者の朝食』米原万理、文春文庫、2004) 「チェコに行こう」と決めて、ずっと前に買ったチェコ関…

1192話 プラハ 風がハープを奏でるように 第1回

夢の中でも 旅を終えて帰国しても、夜ごとプラハが夢に出てくる。帰国したばかりだと、まだ旅をしている感覚だったり、夜中に目覚めたときに、自分は今どこにいるんだろうかと考えることはもう何十年も前からある。朝、目が覚めて、「ああ、日本か。ホテルじ…

1191話 キャッシュカード大事件 後編

銀行待合室にいる世話係りは、定年退職した元行員なのだろう。そのひとりに声をかけ、キャッシュカード再発行の書類をもらった。新しい暗証番号を書く欄がある。今年は「2018」が一番多いのだろうか、それとも自分以外の誰かの誕生日だろうかなどと考え…

1190話 キャッシュカード大事件 前編

カネを下ろそうと銀行に行った。自宅近くでも下ろせるが、通帳記入もしておきたいと思ったから、電車に乗って遠くの支店に行った。鄙で暮らしているから、ウチの近所に都市銀行の支店はないのだ。 みずほ銀行に着いて、ATM機の前に立ち、左手に通帳と財布を…

1189話 大学講師物語 その18

異文化体験を想像する 今年のレポートも異文化体験を想像するというスタイルにした。具体的にはこういうものだ。 モンゴルの草原で2か月間ホームステイをすることになりました。モンゴル人家族とともにゲルで暮らし、牧畜を手伝い、モンゴル語を学びます。ゲ…

1188話 大学講師物語 その17

私の旅行史研究 (5) 石毛直道さんは1958年京大入学、吉村文成さんは2年遅れて1960年に入学し探検部に入った。吉村さんの大学生時代は8年間にわたるので、在学中の1964年に海外旅行が自由化されることになった。すると、京大探検部員も従来の探検・冒険派…