2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

1281話 つれづれなるままに本の話 6

大阪 どうも、だんだん、新書がインチキ臭くなってきた。すでに触れた阿古真理の本だけでなく、売るためのタイトル偽装(内容と違うタイトル)や、意識的な誤記、あるいはミスリードといったものだ。 では日常なのだが、ある物事の由来や語源を説明するとき…

1280話 つれづれなるままに本の話 5

日本を旅したチェコ人 その2 オーストリア・ハンガリー帝国の旅行者が書いた『ジャポンスコ』の話を続ける。 著者ヨゼフ・コジェンスキーは、日本旅行の便宜をはかってもらおうと、帝国ホテルのなかにあるオーストリア・ハンガリー大使館を訪問した。日本に…

1279話 つれづれなるままに本の話 4

日本を旅したチェコ人 その1 1976年に駐プラハ日本大使となった鈴木文彦の楽しみは散歩だった。大使館近くの古本屋に立ち寄ると、店主がにっこりして、2階から分厚い2冊の本を持ってきて、差し出した。日本語にすれば「世界一周旅行 1893~94年」という意味…

1278話 つれづれなるままに本の話 3

長崎出島 江戸時代の外国語学習について調べてみたくなった。オランダ語や蘭学関連の資料はいくらでもある。大阪の適塾でオランダ語を猛勉強した福沢諭吉は、横浜で外国人にオランダ語で話しかけても通じず、「あああ、オランダ語を学ぶなんて、無駄な時間を…

1277話 つれづれなるままに本の話 2

パンの話 30冊ほどの本が、机の上にのったままになっている。整理するにしても、行先に空きがなく、空席待ちの状態だ。昔なら机の上に置いたままにしているのは辞書類だったが、今は『世界のパン図鑑』(総監修:大和田聡子、平凡社、2013)が、いわば「座右…

1276話 つれづれなるままに本の話 1

エスニック料理店 久しぶりに本の話をしてみようか。書評とか紹介というようなものではなく、本を巡るもろもろの話だ。 『パクチーとアジア飯』(阿古真理、中央公論新社、2018)は、そのプロローグで、日本の食文化の変化や世界の政治・経済の動きをふまえ…

1275話 デジタルカメラ

今は、3代目のコンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)を使っている。デジタル一眼レフカメラは高くて重いから、買う気はそもそもなかった。生涯、もうカメラは買わないものだと思っていた。だから、最初のデジカメは買ったのではなく、もらったものだ。200…

1274話 捨てるもの フィルム式カメラ

職業として写真を撮る写真家とかライターでなくても、中高年ならフィルム時代のカメラをまだ持っているだろう。これも、もうゴミだ。 私の場合、職業的に写真を撮る必要があるので、まったくの素人よりは撮影機材がそろっている。フィルム式カメラは、一眼レ…

1273話 捨てるもの タイ音楽のカセットテープ その2

カセットテープで出ていた音源は、一部はCD化されたが、地方の音楽や昔の音源はCD化されずに消えた。そして、CDそのものが時代遅れになった今、おそらく私の手元にあるカセットテープは貴重なものになっているかもしれない。いや、「貴重」というのはどうか…