2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

1537話 本の話 第21回

『ポケット版 台湾グルメ350品! 食べ歩き事典』(光瀬憲子) その1 漠然とした話だが、食べ物関連の本はふたつに分けられるような気がする。実用書と非実用書だ。実用書は調理法紹介書と料理店紹介書のふたつに分けられるような気がする。それぞれの境界は…

1536話 本の話 第20回

『おにぎりの文化史』(横浜市歴史博物館) その2 インディカ米はパサパサパラパラだから、握れないという解説は間違いだ。インディカ米にもウルチとモチがあり、インディカでもモチ種を使えば、おにぎりができる。タイ東北部にカーオ・チーという焼きおに…

1535話 本の話 第19回

『おにぎりの文化史』(横浜市歴史博物館) その1 インターネットで『おにぎりの文化史』(横浜市歴史博物館、河出書房新社、2019)を見つけたのだが、詳しい内容がわからない。アマゾンでも「目次」が載っていない。大型書店で調べに行くというご時世では…

1534話 本の話 第18回

韓国の本 その4 『実物大の朝鮮・韓国報道50年』の前半は、1960年代に韓国を支えたが、表立って語られることのない人たちの話だ。 1969年当時、韓国に駐屯する米兵は6万5000人ほどいた。その相手をする米兵専用売春婦、俗に「洋公主」(西洋人を相手にする姫…

1533話 本の話 第17回

韓国の本 その3 『実物大の朝鮮・韓国報道50年』(前川惠司)に、わずか14ページ分だが、「韓国実像―1969年春から71年春にかけて」と題した写真ページがある。最初の写真は、やはりチョンゲチョン(清渓川)だ。「やはり」というのは訳がある。今のチョンゲ…

1532話 本の話 第16回

韓国の本 その2 『韓くに紀行』に、1971年取材時のソウルの写真が載っている。ソウルの1970年代も80年代も私は実際に見ているのだが、写真は一切撮らず、記憶も断片的だから、当時の風景写真を見たくなった。 1950~60年代のソウルをカラー写真で見ることが…

1531話 本の話 第15回

韓国の本 その1 司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズの2冊、『韓くに紀行』と『耽羅紀行』(たんらきこう)を読んだ。いままで、この「街道をゆく」シリーズの何冊かを手にしたものの、最後まで読んだのは「台湾」編と「南蛮」編だけだから、韓国を旅した…

1530話 本の話 第14回

『とっておき インド花綴り』(西岡直樹、木犀社) その6 「スイレン」の項に、茎の料理が紹介されている。 「茎の皮を、手際よくフキをむくのと同じようにはぎとると、それを7センチメートルくらいに切り、油を敷いた鍋にクミン、コリアンダー、カラシナと…

1529話 本の話 第13回

『とっておき インド花綴り』(西岡直樹、木犀社) その5 クズイモは、不可思議な植物だ。この本では、お供え物の果物のなかに、このクズイモがあったという話を書いている。クズイモを初めて見たのはタイの市場だが、もちろんそのときはこの植物の名も正体…

1528話 本の話 第12回

『とっておき インド花綴り』(西岡直樹、木犀社) その4 ニガウリの品種はいくつもあり、緑のものが多いが、白いものもある。日本で出回っているイボイボだらけのニガウリと違い、表面がツルツルなものがあり、マラ・チーン(中国ニガウリ)というという話…

1527話 本の話 第11回

『とっておき インド花綴り』(西岡直樹、木犀社) その3 ニワトリのタマゴくらいのニガウリは、「マラ・キーノック」という。「トリの糞ニガウリ」という意味だ。小さなトウガラシは、「プリック・キーヌー」といい、「ネズミの糞トウガラシ」という意味だ…

1526話 本の話 第10回

『とっておき インド花綴り』(西岡直樹、木犀社) その2 ギマ・シャーク(ザクロソウ科)は苦くてうまいと書く。消化促進、整腸作用もあるという。 「ベンガルには、苦みを楽しむ野菜がとても多い。ニーム(インドセンダン)、ニガウリ、実が三、四センチメ…

1525話 本の話 第9回

『とっておき インド花綴り』(西岡直樹、木犀社) その1 今年もまた、いつものようにコラムを書いていけることの幸せを感じつつ、書き始めます。 私のインド知識は無に等しいし、関心もそれほど強くない。しかし、西岡直樹さんの本を何冊か読んでいる人と…