2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

1664話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その12

地方在住者および県庁所在地から遠く離れた土地に住んでいる(気の毒な)人たち 1 1970年代、私は東京をふらふらしていた。何かおもしろそうなことはないかと探している若者がいる場所に出没し、すでに書いたようなミニコミやパンフレット類を手に入れ、実際…

1663話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その11

若大将の海外旅行 加山雄三の東宝映画「若大将」シリーズは、荒唐無稽な青春映画という印象を与えるかもしれない。スポーツ万能で後半は学業優秀という若者の話なのだが、海外旅行史の史実という点では、かなりのリアリズム映画なのである。現実味のある夢物…

1662話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その10

1990年の格安航空券事情 前回、1975年の格安航空券情報を少し書いた。引き続き1980年代の資料がないか探したが、ない。多分、大捜索隊を派遣して、1980年代の「オデッセイ」のバックナンバーを引っ張り出せばわかるのだろうが、手元にあるのは『異国憧憬』執…

1661話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その9

ミニコミの旅行情報 1970年代に集めたミニコミやパンフレットのたぐいは、段ボール箱いっぱいくらいたまっていたが、1980年代初めにアフリカに行く直前に、勝手にオデッセイ編集部に寄贈した。アフリカに行くと、悪くすると命を落とすかの知れないという不安…

1660話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その8

旅行雑誌「オデッセイ」 若者の海外旅行史のコラムは、下書き原稿がどんどん長くなった。あと20回分ほどあるから、2022年1月に足を踏み入れそうだ。ほかのテーマの原稿も、そのくらい書き溜めてある。ツイッターじゃないんだから、毎日更新じゃ読む方がつら…

1659話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その7

ボーイング747、通称ジャンボ機登場 ベトナム戦争で使うために、アメリカ軍は大型輸送機の導入を計画し、ロッキードやボーイングなど航空会社に声をかけた。その結果、新たな大型輸送機として採用されたのは、ロッキード社のC―5、通称ギャラクシーで、1968年…

1658話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その6

1968年と77年の航空運賃 航空運賃の話をしよう。手元に様々な時代の航空運賃一覧表があるのだが、交通公社の『外国旅行案内』の1968年版と1977年版の数字をちょっと書き出してみよう。料金はいずれも、東京発のエコノミー片道料金だ。 1968年 1977年 ソウル…

1657話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その5

団塊の世代と海外旅行 今回は、団塊の世代の話をしておく。 第二次世界大戦が終わり、若き兵士が故郷に帰り、結婚して子供が生まれる。アメリカではその世代をbaby boomersといい、1946年から1964年までに生まれた人をさすようだ。アメリカの出生率グラフを…

1656話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その4

国際経済と旅行 今回も引き続き、ややめんどくさい話をする。国際経済と旅行の話の基礎だから、しょうがない。観光学者は、観光業が企業や自治体や国家にどのくらいの収益をもたらすかといった意味での経済学の話はするが、「国際経済史と旅行」という話は、…

1655話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その3

海外旅行の自由化 ここで改めて、戦後日本の海外旅行史を簡単に振り返ってみたい。 日本人に限らず、外国旅行事情を考えるには、国の経済力という問題を頭に入れておかなければ旅行の歴史は語れない。 1955年のアメリカ・イギリス合作映画「旅情」(Summerti…

1654話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その2

1970年前半の船の旅 私が旅を始めた1970年代前半の船事情を書いておこう。 1971から72年に、前回書名を出した『若い人の海外旅行』を読んで旅行の下調べをしていた。この本には、小山海運の貨物船は安く乗せてくれるという記述がある。30~40日間の東南アジ…

1653話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その1

海外旅行の自由化以前 蔵前仁一さんは「旅行人編集長のーと」で、萩尾望都、竹宮惠子、山岸涼子、増山法恵の4人が、1972年に、ソ連船に乗り、シベリア鉄道経由でヨーロッパに行った旅に関するあれこれを全5回にわたって書いている。私は旅行史、とくに若者…

1652話 深夜放送 その3

城達也の引退後、次の機長による放送を聞いた記憶がない。伊武雅刀の声は覚えているが、連続しては聞いていないだろう。ときどき聞くようになったときには、大沢たかおが機長になっていた。2010年代だ。かつては、放送する音楽は気に入らないが、城のナレー…

1651話 深夜放送 その2

1970年代に入ってからかもしれないが、雑誌の特集で「あなたの好きな深夜放送は?」というアンケートで、評論家の荻昌弘(1925~1988)は、「おとなが楽しめる番組はジェット・ストリームだけです」と回答したのを覚えている。私は、「まあ、そうだろうな」…

1650話 深夜放送 その1

団塊世代が高校生になり、受験勉強に手をつける1960年代後半に、ラジオは本格的に深夜放送を始めた。「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)や「パックインミュージック」(TBS)の放送が始まるのは1967年で、私は高校生だったが、中学生時代から深夜のラ…