2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

1634話 滞在許可 その3

列車がバンコクを出るとすぐに夕闇が訪れる。かつてはいちばん安い木製ベンチの席に座って夜を耐えたが、一気にマレーシアのペナンを目指すときは安い寝台車にした。夜が明けると、マレーシア入国。出入国係官にパスポートを渡し、車内販売の甘いミルクコー…

1633話 滞在許可 その2

1980年にアメリカで取材旅行をしていた。取材だが、当然労働ができるビザなど取らず、観光ビザだった。取材費はまとめて100万円ほどもらっていたから、私の下心は、出版社との約束通り取材をしてアメリカから原稿を送るが、この機会に節約をして、できる限り…

1632話 滞在許可 その1

外国で長期間生活している人のビザって、どうなっているんだろうか。国籍などいろいろな事情を考えると面倒なので、日本人限定で考える。現地企業や日本企業の社員ということで、正式に就労ビザを得ている人は、わかる。研究者なども、わかる。日本料理店経…

1631話 公園にて

ウチのすぐ脇に小さな公園がある。たいていは日曜日の午前中だが、孫を連れたおじいさんの姿を見かけることがある。孫は「きゃーきゃー」言いながら公園を走り回っているが、おじいさんはさして楽しそうでもない。黙ってじっと孫を眺めているだけだ。そうい…

1630話 名前の話 その6

私の名前は前川健一と書き、「まえかわ けんいち」と読む。難読名ではないし、誰でも当たり前に読める名前だと思っていたが、同姓同名の学者の論文に「前川健一(まえがわ けんいち)」とあって、「そうだよなあ」と思い出した。わたしは少年時代奈良県に住…

1629話 名前の話 その5

名前の話をするなら、氏、姓、名字,苗字などの違いを説明しなければいけないのだが、面倒だから省略する。ネット上に情報はいくらでもあるから、詳しく知りたい人は自分で好きなだけ調べてください。ここでは氏、姓、名字,苗字はすべて同じ意味として書い…

1628話 名前の話 その4

タイ人の名前のローマ字表記というのは、これまたややこしい。『まとわりつくタイの音楽』という本を書こうと思ったときのことだ。当然ながら、多くのタイ人が本に登場するのだが、そのカタカナ表記をどうするかで悩み、自分なりの法則を作った。だから、ロ…

1627話 名前の話 その3

いままでは、私のよく知らない世界の話を調べつつ書いてきたが、タイ人の名前に関しては、少々知っている。 タイ人が姓を持つようになるのは1913年の姓名法以降のことだ。つまり、それ以前は姓がなかったのだ。貴族や公務員は役職名や王から与えられた欽定名…

1626話 名前の話 その2

名前に限ったことではなく、中国語のローマ字表記やカタカナ表記もむずかしい(非ローマ字言語のローマ字化がやさしい言語は少ないが・・・)。日本の漢字で「北京」と書く場所を空港などで「Beijing」と表記しているが、けっして「ベイジン」と発音するわけ…

1625話 名前の話 その1

オリンピックをちゃんと見ておけばよかった。競技の話ではなく、選手名の表示を確認したかったのだ。世界のどんな名前でも電光掲示板で表示できるシステムを知りたいからだ。 ローマ字(ラテン文字)を使う言語が多いヨーロッパでは、オリンピックなどの国際…

1624話 「ハードルを上げる」というおかしな日本語

多分、それほど古い言い方ではないだろう。ここ10年以内かもしれない。テレビなどでしばしば「ハードルを上げる」という言い方を耳にするのだが、これは変だ。陸上競技のハードルは、もっとも低いのは中学女子の762ミリで、もっとも高いのは一般男子の1067ミ…

1623話 詭弁のことなど

BSNHKで随時放送している「世界のドキュメント」は割とよく見ている。「見たい」と興味を持った作品で、「なんだ、これは!」と失望した記憶はないから、どれも我が基準の平均点は超えているということだろう。 8月に放送した「地球温暖化はウソ? 世論を動…