2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

1694話 自助餐 

カフェテリアが、どうも日本では広まらないような気がする。大きな部屋の壁側にいくつもの料理を盛ったバットや大皿や鍋が並び、客は好きな料理を皿にもらい、列の最期で代金を支払うという形式の飲食店だ。それにやや近いのはチェーン店のうどん屋だが、当…

1693話 タイのちょっとうまいもの その7

中国料理 タイの食べ物を思い浮かべて、これまで6回の話を書いてきたが。タイ料理があまり好きではないことがよくわかる。「広義のタイ料理」は、中国料理やインド料理なども含めた「タイ人が日常的に口にしている食べ物」のことで、農村で古くから食べられ…

1692話 タイのちょっとうまいもの その6

ケーン・チュート ニワトリを丸のままゆで、その汁で炊いた飯の上にゆで鳥の身をのせた料理は、場所により海南鶏飯とかシンガポール・チキンライスなどと名を変えて、東南アジア各地にある。ユニークなのはマレーシアのマラッカのもので、英語名はチキンライ…

1691話 タイのちょっとうまいもの その5

コショウとトウガラシ pepperという語は、ちょっと面倒だ。多くの日本人はコショウのことだと理解するだろうが、トウガラシもこの語で呼ぶことがある。明確に区別したいときは、black pepperとか、white pepperという語でコショウを表し、red pepperやgreen …

1690話 タイのちょっとうまいもの その4

粥と新巻鰆 一品料理ではないが、「あれ、なかなかうまかったな」と思う食べ物がある。 1990年代前半は、タイで音楽三昧の日々を過ごしていた。連日のごとく歌謡ショーやライブハウスを巡り、深夜まで音楽を浴びた。ショーが終わり、日付けが変わった路上に…

1689話 タイのちょっとうまいもの その3

ヌア・ヤーン 後編 前回、タイ東北部を意味する語の発音は、ウィキぺディアなどが書く「イーサーン」ではなく、「イサーン」だと書いた。私のブログを読む人はあまりに少ないので、ウィキペディアが訂正されることはないが、この単語の発音を示しておく。タ…

1688話 タイのちょっとうまいもの その2

ヌア・ヤーン 前編 タイの食べ物を思い浮かべていたら、いくつもの映像が出てくる。この話、長くなりそうな予感がする。 タイ人なら誰でも知っている料理だが、いざ食べに行くとなると、あらかじめ情報を得ていないと、どこで食べられるかわからない料理があ…

1687話 タイのちょっとうまいもの その1

カポプラー 外国旅行をしていて、すしやラーメンが頭に浮かび、よだれを垂らすというようなことはない。日本料理が嫌いというわけでは決してないが、すしよりも餃子の方が食欲をそそる。そして、餃子や焼きそばといった特定の料理よりも、「ああ、いいなぁ・…

1986話 方言とドラマ その2

関西弁全開の映画はいくつもあるが、「ガキ帝国」(1981)などは監督が井筒和幸だから、なまぬるい関西弁しかしゃべれない役者は使っていない(と思う)。関西でロケした映画に「阪急電車 片道15分の奇跡」(2011)は、おもしろかったという記憶がある。出…

1685話 方言とドラマ その1

2021年にNHKBSで放送したドラマ『白い濁流』を見た。まるで大映ドラマのようなおおげさな音楽と話の展開で、NHKの放送なのだが調べてみれば、制作はフジテレビの子会社FCC(フジクリエイティブコーポレーション)だとわかった。私が疑問に思ったのは京都が舞…

1684話 日本語人 その3

おばさんだけでなく、おじさんの日本語もいろいろな場所で聞いた。太魯閣(タロコ)は台湾有数の景勝地で、渓谷を徒歩で登った。早朝出発で、梨山に着いたときはもう夕方だった。広場の椅子で休憩していると、ワイシャツ姿の中年男性が近寄ってきて、「日本…

1683話 日本語人 その2

前回の、台湾の「ご婦人」の日本語のことを書いていて、突然、富岡製糸場での出来事を思い出した。富岡製糸場は1872年操業を開始し、1987年に停止した。私が取材のために訪れたのは1980年代なかばだから、まだ操業を続けていた。取材といっても、工場の外観…

1682話 日本語人 その1

昨年末に、ライターの前原利行さんに格安航空券業界史を書いてほしいと書いた。その前原さんから返信があり、「その業界には興味がないので、あしからず」ということだった。執筆は断られたが、私の研究資料として『地球の歩き方30年史』(峰如之介、ダイヤ…