2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

1719話 無理を重ねた『中国料理の世界史』 その2

タイの食文化と中国移民 例えば、「ドイツにおける中国料理の歴史」を考えるなら、「ある特定の料理が広く知られている」といった話題を提供すればいいのだが、「タイの中国料理」がテーマなら、ものごとは簡単ではない。思考の方向と深さを根本的に変えない…

1718話 無理を重ねた『中国料理の世界史』 その1

外国語の表記 今、『台湾路地裏名建築さんぽ』(鄭開翔)を読んでいて、これがすこぶるおもしろい。ほかにも台湾関連の本を用意しているので、いずれまとめて取り上げることにして、今回は食文化の話を9回ほどする予定だ。 たったひとりで世界の中国料理史…

1717話 サンフランシスコと桜

毎年、この季節になると思い出すことがあるものの、あの話をアジア雑語林で書こうかと思いつくのはいつも5月か6月になっていて、「来年だな」と思ううちにもう10年以上もたってしまった。今年もついさっきまで忘れていて、別の話を書く予定でいたが、きゅう…

1716話 東南アジアと日本の若い旅行者 その17 最終回

旅行ガイドブックに思う 最期に、また旅行ガイドブックの話をしたくなった。 1990年代の後半だったか、『地球の歩き方 タイ』を見ていたら、カセットテープ屋に関する記事があった。その当時、タイはまだCD屋ではなく、音楽はカセットテープで聞く時代だった…

1715話 東南アジアと日本の若い旅行者 その16

東南アジアとオーストラリア 東南アジアの旅行事情を調べ始めた行きがかり上、この際オーストラリアの現代史も少し勉強してみようと思った。 中高校生時代に、「白豪主義」という語を学んだ記憶がある。アメリカのアジア系移民排斥法のようなものだろうと思…

1714話 東南アジアと日本の若い旅行者 その15

1980年代以降のバリ 初めてバリに行ったのは1974年だった。その当時、観光客がいたのは日本の援助でできたサヌールのバリビーチホテルだけらしい。雑誌の取材企画だったのか、永六輔がこのホテルで滞在した写真が、のちに出版された写真集にあった。ウチで現…

1713話 東南アジアと日本の若い旅行者 その14

バリのガイドブック 日本人とバリの関係史を、旅行ガイドブックと航空便から眺めた年表を作ってみた。 日本からバリへは直行便がない時代は、マニラ、グアム、ジャカルタなどで乗り換える必要があり、時間がかかった。そんななか、1975年にインドネシアのセ…

1712話 東南アジアと日本の若い旅行者 その13

Indonesia Handbook 戦前期からバリに関する記述は多くあるのだが、日本人にとって観光地と認識されるのは1990年代になってからではないか。首都ジャカルタに大観光地はなく、バリへは直行便がない。日本人にはインドネシアは遠かったのだ。 インドネシアの…

1711話 東南アジアと日本の若い旅行者 その12

タイのタイ料理店 後編 タイのタイ料理店について、英語の旅行ガイドを使ってもう少し詳しく書いておこう。 私の手元にあるもっとも古い英語のタイ旅行ガイドは、”Guide to Bangkok with Note on Siam” (Erik Seidenfaden , The Royal State Railways of Si…

1710話 東南アジアと日本の若い旅行者 その11

タイのタイ料理店 前編 タイでは、経済に関することはほとんどすべて中国人(華人、中国からの移民)が握っているといっていい。工業や流通業や金融業といった表の生業(なりわい)だけでなく、麻薬や売春や密輸などの裏の生業も中国人が握っている。外国企…

1709話 東南アジアと日本の若い旅行者 その10

日本人とタイ・フィリピン 下 タイに多くの観光客が来たが、フィリピンは少ない。そこに、どういう違いがあるのだろうか。 最大の違いは、1998話に書いたように、治安保全も含めたタイの観光政策の勝利だろう。フィリピンは、観光によってマルコス一派にカネ…

1708話 東南アジアと日本の若い旅行者 その9

日本人とタイ・フィリピン 上 相変わらず怪しげなメールが届く。いままでまったく接点のないJCBカードやauや、メルカリなどから「登録の確認」などと称して近寄ってくる。皆様も、ご注意を。 それはさておき。 古来から日本人が憧れ敬意を示していたのは中国…

1707話 東南アジアと日本の若い旅行者 その8

東南アジアに「地球の歩き方」登場 このブログの資料を読んだり文章を書いているときにCDプレーヤーから流れているのは、8枚組の”The Ultimate Soul Collection”に入っている1950~60年代のソウルミュージック。数年前に「ケースが破損」という理由で送料込…

1706話 東南アジアと日本の若い旅行者 その7

旅行者からガイドブックのライターに 1980年代前半に、個人旅行用のガイドブックが姿を見せた。その書き手は、宝島スーパーガイドアジアの場合は、香港編はかの山口文憲や大竹昭子や平野久美子や中野道子も執筆者だということでもわかるように、その地に留学…