2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧
食文化を眺める 4 2024年のソウル旅行。 鍾路を右折して光化門に至る交差点近くに、かつてソウル高校があった。その敷地に、ソウル遷都六百年を記念してソウル市立歴史博物館ができたのは1994年だった。 かすかな期待を込めて、開館と同時にこの博物館に入っ…
食文化を眺める 3 国会で「ご飯論法」が話題になったことがある。「ご飯をたべたか?」と聞かれて、パンは食べたが米の飯は食っていないから、「ご飯は食べていない」と論点をずらす論法だとする。 日本語では、「ご飯」というと、「食事」という意味と「米…
食文化を眺める 2 それでは、そろそろ韓国食文化話を始めようか。 韓国の食文化を語るエッセイはいくらでもあり、そこでは必ずと言っていいほど同じ話が登場する。例えば、韓国人が書くこういう話。 書き手は、「パン、モゴッソヨ?」という韓国語を紹介す…
食文化を眺める 1 まずは、食べ物に関する私の立場を書いておこう。いわゆる「うまい食べ物」はもちろん好きだが、わざわざ食べに行くことはまずない。日本では外食はほとんどしない。旅先では外食が普通になるが、特定の料理を食べるためにわざわざ出かけ…
薬屋 『ソウルの練習問題』(関川夏央、情報センター出版局、1984)で、ハングルの構造を説明する例に「약」を取り上げて、こう解説している。 「『yak』と発音する。『ヤク』ではない。『k」』言ったつもりで言わない。強いて言えば『ヤッk』。ソウルを歩い…
トイレの話 6 前回は、トイレの汲み取り道具と運搬道具の展示を紹介した。その続きで、汲み取り場所がわかる住宅があったので、写真を撮っておいた。この場所の説明は一切ないが、すでに屎尿運搬道具の展示を見ているので、解説などなくても、そこがどういう…
トイレの話 5 博物館などで見つけた小ネタをいくつか紹介する。 大韓民国歴史博物館で、昔のニュース映像を流していた。一瞬、トイレの画像が流れたような気がしたので、1周待って最初から見たが、アナウンスは当然韓国語だから、ニュースの意味はわからな…
トイレの話 4 いままで多少きれいな印象を与えるための「トイレ」という語を使ってきたが、今回は「便所」を使いたい。朝鮮の便所史を調べると一筋縄ではいかないことがわかる。 いままで「排泄文化論序章朝鮮編」として長い文章を書いてきた。そこで、その…
トイレの話 3 世界のトイレを語るとき、かならずテーマにあげられるのが「使用後のトイレットペーパーを流す、流せない」問題だ。世界には「流せない」文化圏が実に多く、かつては韓国もその圏内にいたのだが、ウォッシュレット付きになれば、使用後も紙を入…
トイレの話 2 ソウル生活史博物館の隣りにある別館は、1974年から2010年まで拘置所だった建物で、留置所が再現されている。ありがたいことにホームページに日本語の拘置監展示室の説明がある。 安全のためだろう、食器がプラスチック製だということはわかる…
トイレの話 1 このブログの旅行記ではいつもトイレを取り上げているのだが、今回はそんな予定はなかった。ただ、食べることと出すことは、旅をしていれば毎度関わるから、どうしても意識するのだが、今回は食文化のことだけを考える予定だった。このブログ…
すいとんと美国 2 すいとんの写真を店頭に掲げた食堂に入った。客は誰もいなかった。メニューを見ると、日本語で「エゴマのすいとん」と書いてある。ソウルを歩いていると、予想以上に日本語のメニューがあることに驚く。 エゴマの葉は知っている。食べたこ…
すいとんと美国 1 この韓国話は、すでに50回を超えて、新書の原稿量に近づいてきたが、今回のソウル旅行の主たる目的である食文化のことはまだ書いてない。食文化をきちんと書くにはもっと勉強が必要で、書き始めれば長くなることはわかっているので、後回…
長髪とチリチリパーマ 2 話は、バンコクのホテルで休憩しようと立ち寄ったときに戻る。 そのホテルでガイドを取り囲んでいる観光客たちは、ちょっと離れて眺めると、日本人団体客とほとんど区別がつかない。私が服装に詳しければ、「あのブランドは韓国のも…
長髪とチリチリパーマ 1 ブログの原稿を書くのに疲れると、格安航空券情報サイト「トラベルコ」で、しばし空想旅行を楽しむ。ヨーロッパ便を調べていると、中国の航空会社の便が破格に安いことに気がつく。そのからくりが、先日の朝日新聞でわかった。ロシア…