2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2120話 雑話 2

■昭和100年ということで、朝日新聞の戦後間もない東京の写真が何度か載っていて、そのなかにまったく同じ輪タク(自転車タクシー)の写真があった。戦後の日本でごく短期間走っていたのは、タイの自転車タクシー(サムロ―・ティープという)と同じように、自…

2119話 雑話 1

旅行史の連載をしているときに、 小ネタがいくつも集まった。今まで発表できなかったから、ここで一気に。 ■台湾在住中国人ブロガーが、「朝起きたら、いたるところで中国国旗がはためいていたら、きっとステキでしょうね」と投稿したことで、台湾政府の逆鱗…

2118話 「落ち目になったら、みんな知らん顔さ」

今から100年ほど前の女性ブルース歌手の歌声を集めたアルバム“The Rough Guide to Bleus Daives”には25曲入っているが、知っている歌手はふたりしかいない。そのうちのひとり、Bessie Smith(1894~1937)が歌う”Nobody Knows You When You’re Down And Out”が…

2117話 旅行記を考える 4

どこかの国や地域を旅すれば、その場所の歴史や政治や経済や衣食住などさまざま事柄に好奇心が向かいそうなのだが、現在の旅行記はほとんど「行ったど~! 撮ったど~!」で終始している。1960年代から70年代に数多く出版された素人の旅行記のほとんどは、…

2116話 旅行記を考える 3

たぐいまれなる文章力がないライターなら、調べて、考えて、文章にするしかない。ところが、旅本の世界に反知性主義のようなものがあるような気がしてならない。数十年前の旅行記には、調べたり考えたりしたものがいくらでもあったが、海外旅行が大衆化して…

2115話 旅行記を考える 2

客観的な「良い旅」とか「悪い旅」とかいうものはない。旅するその人が「良い旅」だと思えば、それがたとえ不道徳であれ違法であれ、その人にとって「良い旅」なのだ。このあたり、幸福感と似ているかもしれない。誰かの旅を、「あんな旅はつまらん」と思っ…

2114話 旅行記を考える 1

「旅行を考える文章」をテーマに本を探していて、『旅学的な文体』(赤坂憲雄、五柳書院、2010)を読んだ。第1章「旅師たちの肖像」では、旅で学び、旅を学んだ人たちとその著作を紹介している。その文章は読書案内にもなると思いリストにしてみた。取り上…

2113話 若者の世界旅行 39 欧米編 最終回 2

私は「スマホ中毒」にはかかっていない。このブログをパソコンで書いているから、ネットで調べものをするし、本やCDを買っているし、ユーチューブで音楽を視聴しているから、デジタル世界と無縁の生活をしているわけではないが、スマホ依存症患者ではない。…

2112話 若者の世界旅行 38 欧米編 最終回 1

長々と書いてきた若者の旅行史の話は、1980年代あたりで終えることにする。 若者の海外旅行史研究のなかでポッカリあいた空洞は、学割航空券や格安航空券販売の歴史だ。航空会社や航空券の問屋や旅行代理店といった業界に関して、私はまったく知らないので、…

2111話 若者の世界旅行 欧米編 37 英・豪ルートと日本 2

1978年に横浜からソビエト船で香港に行ったとき、10人ほどいた西洋人はみな観光ビザで不法就労している英語教師たちで、日本のビザを取り直すための日本出国だった。 香港の安宿のロビーに、日本の仕事情報の英語メモがいくつか貼ってあった。そのなかに、ス…