152話 全国アジア料理店調査をやってみようかと思ったが・・・


 ブックオフ調査に続いて、今度はアジア料理店だ。すでにタイ料理店の調査はやっているので、今回はインドネシア料理店とフィリピン料理店を調べてみることにした。調査法は例によって、インターネット情報だ。
  日本におけるアジア料理店としては、中国、朝鮮(韓国)料理に次いで、インドネシア料理店の歴史は古い。戦前の東京にタイ料理店があったという未確認情報 はあるが、戦後でいえば、インドネシア料理店が古くから営業している。ただし、問題は、その数がタイ料理店に比べて、なかなか増えないことだ。厳密に「イ ンドネシア料理だけ出している店」という限定はなかなかできないので、おおよその傾向だと思っていただきたい。
1 東京     20店
2 大阪     12
3 京都     11
4 北海道     6
5 兵庫      5

 以上がベスト5で、ほかは奈良が3、宮城・愛知・静岡が2店。他の9県に1店舗ずつあるようだ。
 これらの店に電話で存在を確認をしたわけではないので、すでに閉店している可能性もある。だからあくまで、傾向です。北海道に6店もあるというのが少々意外だということを除けば、まあまあ順当な傾向か。
 さて、フィリピン料理店だ。これがわからないのだ。東京に15店、千葉・神奈川にそれぞれ5店といった数字はあるが、その正確さがなんとも言えないのだ。ましてや、全国のフィリピン料理店事情となると、まったくわからないのだ。
 おそらく、「フィリピン料理店」と称しているところも、大部分は「フィリピンパブ」がその実態ではないかと思う。
 かねてからの私の疑問は、日本に多数のフィリピン人が住んでいながら、フィリピン料理店がいっこうに増えないのはどうしてなのかということだ。この疑問を、フィリピンに詳しい知人に尋ねると、こういう説明だった。
 「フィリピン人はフィリピンにいても、フィリピン料理を外食することはほとんどない。外食するなら、西洋料理や中華料理や日本料理などだ。だから、家庭 で食べられるものを、わざわざカネを払ってレストランで食べようとは思わないのだ。だから、フィリピンには、実はフィリピンレストランは少ないんだ。数少 ないフィリピンレストランは、外国人観光客向けのレストランなのです。だから、日本にいても、フィリピン人は、フィリピン料理を店で食べたいとは思わない んです。」
 知人はこう説明し、脇でやりとりを聞いていた彼のフィリピン人の妻も、「そうそう」と同意した。
 在日外国人の民族別人数と彼らの民族食レストランの数は、けっして正比例しない。在日中国人がいまほど多くない時代から、中国料理店は多かった。かつて イラン人が多く住んでいたが、イラン料理店が次々に開店したということはない。すでに書いたように、在日フィリピン人は多いが、フィリピン料理店は少な い。それに対して、在日タイ人の数に比べてタイ料理店は異常に多いといえる。
 観光の影響を考えると、バリ風のレストランが増えたのは明らかにバリ帰りの観光客が増えたせいだが、ロコモコなどの料理を食べさせる「ハワイ料理店」 は、ハワイに行く観光客数ほどには多くない。こういう考察も、きちんとやれば学問になる。卒論向きか? でも、けっこう広い知識が要求されるので、それほ ど簡単なテーマではない。