216話 マレーシア、タイ、ラオスで買った本


 所用のついでに、マレーシア、タイ、ラオスをしばらく旅した。重い荷物は持ちたくないの で、できる限り本は買わない予定ではあり、その決心は2週間ほどは続いたのだが、1冊重い本を買うと、「持っては歩けないほど重い本を買ってしまったのだ から、郵送するしかない。とすれば、どんどんと買ってもいいはずだ」となり、やはり買ってしまった。
 タイとラオスで買った本は持ち帰り、マレーシアから船便で送った本も到着したので、文献紹介の意味で、何冊かとりあげてみよう。本によっては、アマゾンなどでもっと詳しい情報が得られるうえに、現地価格とあまりかわらない値段で買うこともできる。
 それでは、マレーシアの本からいくか。
 “Chronicle of Malaysia 1957〜2007 Fiftyyears of headline news ” Editions Didier Millet , 2007
 毎日新聞社から『昭和史全記録』という厚く重い本があるが、ちょうどそういうタイプの本 だ。百科事典ほどの本で、新聞記事からマレーシアの歴史を振り返ることができる。編年史なので、例えば「1985年」のページを見れば、ペナンの超高層ビ ル「コムタ」が完成した年だとわかるし、「1971年」の1月にはクアラルンプールが大雨で1メートルほどの洪水になった写真がでている。タイでもこうい う本が出ればいいのだが、無理だろうな。
“The encyclopedia of MalaysiaArchitecture” Editions Didier Millet , Archipelago press ,1998
 インドネシア編としても出版されている項目別事典のマレーシア版。インドネシア版はほぼ 全巻ジャカルタで買ったが、マレーシア版は諸事情(高い本だ。送料も高くなる。置き場所がない)により、「建築編」だけ購入。ショップハウスの歴史的変遷 の図解など、豊富な図版が楽しく、参考にもなる。この雑語林でも以前に書いた話だが、インドネシア編のほうの百科事典が、なんと高田馬場ブックオフで 売っていたのには驚いた。すぐ売れたようだ。
“The Star Guide to Malaysia Street Food ”StarPublications , 2007
 屋台や食堂のガイドブックなのだが、私は屋台料理のガイドとして買った。豊富な料理写真と解説がついているので、「屋台料理図鑑」として使える。
Gateway to Peranakan Culture”Lim GS.Catherine & Wing Fee , Asiapac Books, 2003
Gateway to Peranakan Food Culture”Tan Gek Suan &Wing Fee, Asiapac books , 2004
 中国移民の男とマレー人の女の家庭で生まれたのがプラナカン文化。マレーシアの文化を紹 介するこの入門シリーズは何冊か出ているが、とりあえず2冊購入。中学生用の副読本という感じだから、イラストも多く、外国人にはわかりやすい。このシ リーズの内容はインターネットで検索できる。
“Food and Drinks in Ancient India ”Rajendralala Mitra , Indigo Books , New Delhi , 2007
“Eating India ”Chitrita Banerji , Bloomsbury , London , 2007
 インドの食文化を知る古今編2冊だが、まだ読んでいないので、内容のレベルはわからない。
“Sampheng Bangkok’s Chinatown Inside out”Edward Van Roy , Chinese Studies Center , Chulalongkorn University , Bangkok , 2007
 バンコクの中華街の雑学研究書。こういう本を読んで、バンコクのガイドを書くライターがいるとうれしいのだが・・・・・。 ちなみに値段は、ペーパーバックで800バーツ。チュラ大の書店で入手できる
 “Lao Close Encounters ”JohnJ.S. Burton ,Orchid Press , Bangkok , 2005
 タイで出版された本だが、バンコクでは見つからず、ラオスのルアンパバンで購入。けっしてカメラマンなら撮らないラオスのスナップ写真集。カレンダー写真でも、絵はがき写真でもないラオスの写真とその解説満載。全ページカラー写真だからしょうがないが、高価な本である
“Luang Phabang An Architectural Journey ”Ateliers de peninsula , Vientiane , 2004
 ルアンパバンの建築調査報告書。これはラオスで出版された本なのに、ラオスで見つからず、バンコクで買った。100ページちょっとの本だが、買うかどうか数日考えるほどの値段だ
“Ant EggSoup”Natacha Du Pont De Bie , ASceptre Books , London , 2004
 どういう本かわかりやすく言えば、『世界一の日常食』(戸田杏子、晶文社、1986年) のラオス版で、食文化探訪旅行記にレシピがついている。あるいは、写真が1枚もない浜井幸子さんの本といえばわかりやすいか。旅行記部分が多く、食文化の 記述が少ないのが私には難点だが、一般読者相手ならしょうがないか。おもしろかったが、日本語に翻訳しても売れないだろうなあ。この本に関しては書きたい ことがいくらでもあるので、機会があれば詳しく触れるかもしれない。