正月の新聞には旅行の広告が満載だった。よく見る旅行地のよくあるツアー広告ばかりだし、そもそもツアーに参加する気などさらさらないのだが、旅行研究者としては、たまにはその内容をチェックしたくなるものもある。
目に止まった広告が、ひとつあった。「ケニア 10万円」というものだ。ケニア旅行自体、新聞広告ではあまり見ない上に、旅行費用の10万円は安い。だから、旅行内容を調べてみたくなった。「5日間」か、短いな。これは、4泊5日ということだ。羽田発の大韓航空機だから、ソウル乗り換えだ。当然、往復機中泊だから、ケニアでは2泊しかしない。これはあまりに短いが、仕事の関係などで長期の休みはとれないが、どうしてもケニアに行きたいという人もいるだろうから、「ケニアにたった2泊」というのは、すべての人にとってマイナス要素というわけでは必ずしもない。
2012年6月に、大韓航空がソウル・ナイロビ線に就航したが、それほど旅客がいないということでの大幅割引販売なのだろう。まあ、それはいいが、気になったのは「1人部屋使用追加料金 5万円」という注意書きがあることだ。旅行代金が10万円で、追加料金が2泊で5万円はないだろう。サファリで泊る宿が高いのは知っているが、これは高すぎる。
この「1人部屋使用追加料金」(長いので、以下追加料金とする)というのは昔からあるのだが、これが高すぎるという印象がずっとある。欧米のホテルは、基本的にツインベッドルームというものはない。あっても、その数は日本のホテルほど多くないはずだ。つまり、宿泊客はダブルベッドにふたりで寝るか、ひとりで寝るかのどちらかというわけだ。
金額は高いが、百歩譲って、この追加料金はいたしかたないものとしよう。しかしだ、最近知った新手の追加料金は、おいおい何だと言いたくなるものだった。格安航空券の場合だ。「お申し込みは、お二人様限定です」とか、「お二人様購入の場合の、お一人様の料金です」という注意書きがあって、そもそも1枚の航空券は買えない仕組みになっているのだ。安い航空券を探すと、そういう注意書きが目につく。
ツアーにはそもそも参加することがないから、追加料金がいくら高くても私には実害はないのだが、格安航空券の2枚1組販売は、いつも1人旅の私には厳しいし、淋しい気分になる。
これからの日本は、今以上の単身者の世界になっていくというのに、旅行業界は「お二人の世界」を続けていこうとしているわけだが、こういう格安航空券もLCC(格安航空会社)やネット販売が主流になっていけば、「お二人様」が当然という基本姿勢が崩れていくのではないかと思うのだが。