出入国の統計資料から、日本人の韓国旅行と、ごく一部だが韓国人の日本旅行の資料を集めてみた。
日本で海外旅行が自由化されたのは、東京オリンピックが開催された1964年だった。韓国では、88年のソウル・オリンピックの翌年の89年だった。それ以前でも、韓国人が海外旅行をすることは高齢者には認められていたが、年齢制限と同時に、高額のカネを供託金として銀行に預けておかなければならなかった。一定期間内に帰国しないと、そのカネは没収される決まりになっていた。そういう制度が続いていて、89年に海外旅行がほぼ完全に自由化されたのだ。やはり、欧米以外では夏のオリンピックには、ある種の国家的な変化や変革というものがあるのだろう。1988年に日本人の韓国訪問者数が一気に増えるのは、オリンピック見物だけではなく、オリンピックを前にした韓国が、日本のテレビ番組でたびたび特集されて、観光宣伝にある程度の役割をはたしたからだろう。日本の事情としては、もちろん「バブルの時代」だったという要素もある。日本人の海外旅行者数は、1990年には85年の倍になり、1000万人を超えている。
日本人の韓国旅行が急激に増えるのはドラマ「冬のソナタ」からだと思っていたが、調べてみるとタイムラグがある。「冬のソナタ」は、2003年から04年にNHKのBSや総合で何度も放送されたが、翌05年になっても韓国への旅行者数に明確な動きは見えない。ドラマ「宮廷女官チャングム」は、2004年から2008年の間に、NHKのBSや総合で、字幕版や吹き替え版、ノーカット版などさまざまなパターンで繰り返し放送された。日本人の韓国旅行者数が一気に300万人の大台に乗ったのは2009年ということを考えると、日本人を韓国へ誘い出したのはチャングムと韓国の食べ物だという仮説が成り立ちそうだ。
*韓国への日本人旅行者数(1964年以降)
1964年 2280人 訪日韓国人(北朝鮮籍も含む)2万0110人
1965年 5111
1966年 1万6873
1967年 1万9740
1968年 2万5219
1969年 3万8351
1970年 5万1711 訪日韓国人(〃) 4万8087人
1971年 9万6251
1972年 21万7292
1973年 47万4773
1974年 29万9756
1975年 36万3879 訪日韓国人 7万0142人
1976年 52万1128
1977年 58万1525
1978年 66万7319
1979年 64万9707
1980年 46万8415 訪日韓国人 10万9136人
1981年 50万6819
1982年 51万8013
1983年 52万8532
1984年 57万6448
1985年 63万8941 訪日韓国人 20万3563人
1986年 79万1011
1987年 83万9596
1988年 112万4149 ソウル・オリンピック開催
1989年 137万9523
1990年 146万0291 訪日韓国人 74万0441人
1991年 145万5090
1992年 139万8604
1993年 142万9069
1994年 164万4097
1995年 177万6203
1996年 152万6559
1997年 167万6434
1998年 195万4416
1999年 210万5530
2000年 238万6544
2001年 237万7321 仁川国際空港開港
2002年 232万0820 サッカーのワールドカップ開催
2003年 180万2163 SARS(サーズ)問題
2004年 244万3070
2005年 243万9809 訪日韓国人 174万7171人
2006年 233万8921 〃 211万7325
2007年 223万5963 〃 260万0694
2008年 237万8102 〃 238万2397
2009年 305万3311 〃 158万6772
2010年 302万3009 〃 243万9816
2011年 328万9051 〃 165万8073
●いくつかの資料を使った作ったものなので、改めて調べる必要がある。
出入国資料は、次のようなものもある。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/images/7100.gif
ワードで作った原稿をこの画面にコピーすると、レイアウトはぐしゃぐしゃになり図表も消えてしまった。私のパソコン力の不足のせいで読みにくいが、どうかご容赦を。