601話 「蔵前仁一書きおろし著作集」企画 その2

 『僕のインド大全』

 

 この企画は細部まで考え、すでに著者に伝えた。この企画に関しては、珍しくいつもの全面否定ではなかった。企画内容は変わるにしろ、蔵前インド本が実現する可能性はありそうだ。蔵前さんが書きたいと思う本と私の企画が、ごく一部は一致するようだ。私の企画とはこういう案だ。内容的に重複しているものもあるが、著者の意向がまだよくわからないので、おもいついたまま書き出して、整理はしない。
     『僕のインド大全』企画案
 いつの間にか、蔵前氏のインド体験も20代から50代に至る30年の旅となった。かつての若葉マーク旅行者からいまの老眼腰痛旅行者となるまでのインド体験をいくつもの項目に分けて、語ってもらおうという企画だ。これは、インドと蔵前氏の個人史というだけではなく、日本人のインド旅行史の一部にもなる。蔵前さんがインドに行く前に知っていたインドとはどういうものだろう。インドのどこに反応したのだろうか。蔵前さんの最初のインド旅行は、どこの旅行社でどういう航空券をいくらで買ったのかということも、インド旅行史の資料としては、今となっては貴重だ。どうやって、格安航空券を探したのかとか、どういう旅行用品が必要だと思ったのかといった旅行準備編は、通常の紀行文では誰も書かないことだが、それをもこまごまと書いてもらうことによって、インド旅行大衆化の立役者となった人物の旅の全貌を描く。
・昔のインド旅行・・・1960〜70年代にインドを旅した人へのインタビュー。その時代だと、シンガポール・マレーシアとインドの間でまだ客船が運航していた。ヒッピーの時代でもあった。
カルカッタ安宿今昔・・・カルカッタに限らず、昔撮影した同じ場所で、同じアングルでのちに撮影した写真を掲載して、インドの変貌(変貌しないインドも)を対比させる。
・僕が好きなインド料理20選(飲み物5選)・・・食べ物そのものの話だけでなく、道端でしゃがんで飲むチャイなど、インドの食べ物飲み物がある思い出の光景も描く。
・クラマエ料理教室・・・「自慢のケララカレー(ククレカレーじゃないぞ)を教えよう」。そして、インド料理ユニット「マサラワーラー」が師となって、蔵前さんに教えるインド料理教室。レポーターは小川京子さん。
・僕が好きなインド関連書30選(50 選でも100選でもいい。好きなだけ)・・・紹介というより、書評。天下のクラマエは、横尾忠則椎名誠の本をどう評するのか、とても興味深い。善人クラマエの無難な書評になるか、剣士クラマエとなって、「なんだ、この精神世界本。燃えるゴミだ!」と切り捨てる書評になるか、興味深い。
・僕のインド買物日誌・・・インドで買った物カタログ。
・僕のインド美術館・・・布や絵など天下のクラマエ師のインド美術講義
・インド旅行関連年表(ビザ、通貨交換レート、格安航空券料金の変遷なども)
・僕のインド旅日記から・・今までのインド旅日記から、抜粋と著者自身の註。日記に書いた事柄の、その後の変化など。
・東京インド探検・・東京のインドを歩く
・僕が好きなインド・・町や村や施設など旅行ガイド風エッセイ
・僕のインド写真ギャラリー・・・いままでインドで撮影した写真を展覧会風に。著者自身の姿も発表し、天下のクラマエ師の20〜50代の経年変化も発表する(あまり変わらないが)。
・蔵前旅行社・・・旅行ガイド風に、5コースほど紹介・
・僕も秘境に・・・この本にために、アンダマン、ナガなど、なかなか行けない地についに入り込む。
 「インド旅行関連年表」は、ルピーの交換レート(公定と闇の両方)やビザ発給事情などのほか、インド旅行ガイドや旅行記ビートルズのインド旅行、インド映画祭など種々雑多の項目を入れるから、手すきだが有能なライターに手伝ってもらって作ればいい。蔵前さんは、その年表を読みながら、コメントを書いて、年表を完成させる。
 あるいは、蔵前さんが編者になって、何人かの書き手に原稿を依頼して作るという企画もある。あるいはまた、誰かが編者になって、蔵前さんが分担執筆という企画も成立する。カネが余って困っている出版社は、蔵前氏にご連絡を。
 なぜか、いつになく、売れる予感がするな。A5版300ページ程度、1980円(税別)で、どうでしょう。