824話 喫茶室のある飛行機を調べていたら、大変なことになった。その5

 
 深夜のテレビ番組「タモリ倶楽部」を見ていて、何冊もの本を思い出した。この航空会社コラムを書いているときの放送だった。その夜の番組特集は「アフリカのデスメタル」。解説者に心当たりはないが、どこかで見たような名前だ。濱崎誉史朗。さて、どこで見た名前なのか。「本業は社会科学系の出版社の編集者です」という自己紹介で気がついた。そうだ、あの本だ。書棚の、航空機関連のコーナーからその本を取り出して、確認した。そうだ。この本だ。
 『時刻表世界史』(曽我誉旨生、社会評論社、2008)
http://www.amazon.co.jp/%E6%99%82%E5%88%BB%E8%A1%A8%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E2%80%95%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F%E9%99%B8%E6%B5%B7%E7%A9%BA143%E8%B7%AF%E7%B7%9A-%E6%9B%BD%E6%88%91-%E8%AA%89%E6%97%A8%E7%94%9F/dp/4784509720/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1462071380&sr=1-1&keywords=%E6%99%82%E5%88%BB%E8%A1%A8%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2
 511ページの弁当箱本、2800円。
 この本のことは、このコラム273話ですでに書いた。今回の航空機・航空会社コラムを書くにあたって久しぶりにチェックした資料の1冊でもある。奇書、名著、力作。
http://www.asiabunko.com/asiazatugorin.htm
 この本の奥付けを見ると、著者名の下に、「編集&装幀 濱崎誉史朗」とある。社会評論社の方針なのだろうが、担当編集者の名前も明記することになっているようだ。
 この本を読んだ後、まったく偶然に、この編集者の手による本を読んだ。同じ編集者の手による本だと知って買ったわけではない。読みたい本を買ったら、たまたま同じ出版社の同じ編集者が手掛けた本だったにすぎない。
 『コーラ白書 世界のコーラ編』(中本晋輔・中橋一朗、2007)
 これは初版で、今確認のために調べて見ると、現在は改訂版が出ている。
 『ファーストフード・マニア Vol. 1 中国・台湾・香港編』(黒川真吾・田村まどか・武田信晃、2008)
 この2冊は、アジア雑語林220〜223話で紹介した。『ファーストフード・マニア』の本は酷評になっている。私の場合は、食文化書の評価は、「アラ」がすぐ目についてしまうので、どうしても厳しくなる傾向がある。気楽に考えれば、高評価を与えてもいいと思う。アマゾン評も高いのだが、「Vol. 1」でありながら、続編が出ないところをみると、一般読者の評価も低かったのかもしれない。そして、その後、また名著が世に出た。
 『即席麺サイクロペディア2 世界の袋麺編』(山本利夫、2013)
著者はインスタントラーメン本を3冊出しているが、他の2冊は国内モノだから読んでいない。この本ももちろん、雑語林508〜509話で紹介している。感動的名著なので、版元に感想文を送ったら、担当編集者と著者から返事が届いた。
 そうした読書体験が、「過去のある時期の出来事」として終わっていたのだが、タモリ倶楽部に出演していた「デスメタル研究家」のこと詳しくを知りたくなった。私を感激させたこれらの本の編集者を調べて見たくなったのだ。
 ネット検索すると、有名な編集者だとわかった。情報がいくらでもある。ある方面の、「好事家、モノズキ読者」の間ではきっと有名な編集者であり、ブックデザイナーだとわかった。私の知り合いにも、有能な編集者でありブックデザイナーという人物がいて、どういうわけか、慶応大学法学部政治学科卒という経歴まで似ていて驚いた。
http://news.livedoor.com/article/detail/4831118/
 飛行機の喫茶室の調査が、こういう結末となり、この編集者がペンネームで書いた『ベスト珍書』(ハマザキカク、中公新書ラクレ、2014)を注文した。
航空機をめぐる話は、今回で終了。