853話 昭和の実感 その2

 レコード大賞 後編

 帝国劇場で開催されたレコード大賞授賞式を私が見たのは、いつなのか。古賀政男が存命中の1977年のレコード大賞から調べてみる。第19回レコード大賞だ。すると、この年、古賀政男服部良一は「審査委員会顕彰」を受けたという記録が見つかった。一種の功労賞だろう。健康ならば、ふたりの偉人は壇上に上がったはずだ。
 その前年である1976年の18回の受賞者リストを見ると、こうなっている。
 作曲賞:宇崎竜童「想い出ぼろぼろ」(内藤やす子
 作詞賞:阿木燿子横須賀ストーリー」(山口百恵
 宇崎・阿木夫妻を会場で見たのは、前年の受賞者だったから招待されたということならば、私が見たレコード大賞は1977年の第19回だということになる。ふたりが受賞者として出席していたとすれば、1976年の第18回ということになる。さて、どちらだ。
 私が見たのが1977年の第19回だとすれば、ウィキぺディアによれば、主な受賞者は次のような人たちだったらしい。
 まず司会者は、総合司会が高橋圭三、進行係が久米宏黒柳徹子。ああ、記憶がない。
 レコード大賞 沢田研二勝手にしやがれ
 最優秀歌唱賞 八代亜紀「愛の終着駅」(この歌、知らない)
 最優秀新人賞 清水健太郎失恋レストラン
 歌唱賞    山口百恵秋桜」、岩崎宏美「思春期」、石川さゆり津軽海峡・冬景色」(おお、この3人の歌を生で聞いたのか? 山口百恵も見ているのか? 記憶にないが)
 大衆賞    ピンクレディー「ウォンテッド(指名手配)」(ヘー、見ているのか。どーでもいいが)
 新人賞 狩人、榊原郁恵、高田みずえ
 西条八十賞(のちの作詞賞) さだまさし「雨やどり」、「秋桜」(歌・山口百恵
 特別賞 小畑実小林旭フランク永井、春日八郎
 すごい名前が並んでいるが、記憶が一切ないのが悲しい。
記憶がないのは、1976年第18回でも同じなのだが、すでに紹介した宇崎・阿木夫妻以外の主な受賞者を書き出してみよう。
 司会は、高橋圭三と森光子のふたり。
 レコード大賞 都はるみ「北の宿から」
 最優秀歌唱賞 八代亜紀「もう一度逢いたい」
 最優秀新人賞 内藤やす子「想い出ぼろぼろ」
 歌唱賞    研ナオコ「あばよ」、野口五郎「針葉樹」、西城秀樹若き獅子たち
 大衆賞    郷ひろみ「あなたがいたから僕がいた」ほか
 特別賞    美空ひばり、ダークダックス
 もしも、特別賞受賞者として美空ひばりが出演していれば、いくら私でも記憶に残っていると思う。そして、ずっと後に都はるみコンサートを見ているのだが、そのときに既知感はなかったというようなことをツラツラ考えると、私が見たレコード大賞は、どうやら1977年の第19回らしい。ということは、山口百恵ピンクレディーが歌うのを見ているのか。あー、覚えていない。
 もう少し調べれば、1976年のレコード大賞美空ひばりが登場したのかどうかなど、もろもろの事実がわかるだろうが、例え私が見たのがいつのレコード大賞だとわかったとしても、私に出場者の記憶がないのだから、むなしい作業である。だから、この遊びはここまで。