870話 世界音楽との出会い方


 毎日、朝からユーチューブ(以下YTと略)で音楽を聴いているのだが、9月末のある日、YTの画面を出したら、リストに出てきた音楽のほとんどがタイ音楽のライブ映像だった。もう半年以上、YTでタイ音楽など聴いていないので、突然、アンカナーン・クンチャイやポー・チャラットノーイのライブ映像がリストアップされたのだ。ここのところブルースや西アフリカの音楽をよく聞いているから、YTにつながったらブルースやR&Bやジャズやアフリカ音楽のリストが出てくる毎日だったのだが、突然のタイ音楽、それもモーラムというジャンルのライブリストが現れた。
 どうしてそうなったのか、友人からのメールでヒントがつかめた。音楽評論家の松村洋さんからのメールで、東京でモーラムコンサートが行われたという情報を得た。最近はタイ情報を当たっていないので、知らなかった。コンサート直前に、その出演者のライブ映像がYTで公開されたというのが事実関係なのだが、その事情はわからない。まあ、これも何かの縁なので、久しぶりに、ポー・チャラットノーイの舞台を見た。その昔、生では見ているが、YTでは初めてだ。
 そんなことをしていたので、私のようにYT遊びをしたい人にヒントを書いてみようか。世界の音楽を聴いてみたいが、どうやって聴いたらいいかわからないという人に、私としては珍しくガイド風のコラムだ。
 1、手順は、こうだ。まず、パソコンでYTの画面を出す。「youtube」と検索欄に書けば、簡単に出てくる。
 2、YTの検索欄に、興味ある国の名と、「音楽」と書き入れる。中国やフランスなら日本語で書いてもかなりのリストが出てくるが、まずは英語で書いたほうがいい。例えば、「Mali Music」のようにする。国名ではなく、Kurds(クルド)やGypsyやRomaのように民族名でもいい。
 3、すると音楽リストが出てくる。YTも画像検索と同じように、検索語で規定した事柄だけがちゃんと出てくるわけではない。マリ音楽を聴きたいのに、セネガルやナイジェリア音楽やジャズなどの動画も混ざっていることがあるが、気にしない。
 4、片っぱしから聴いていって、好きな歌手が見つかったら、歌手名を検索欄にコピペする。
 私のパソコンではタイ文字もハングルも打てないので、英語か現地語の適当なローマ字表記で検索し、好きな歌手が出てくると、コピペする。好きな歌の場合もコピペすれば、ほかの歌手によるカバーバージョンも聴くこともできる。タイ音楽は、これで結構遊べる。文字が読める場合は、そうすればいい。
 今、試しにわがパソコンで、YTを出し、検索欄に「Mali Music」と入れたら、おお、いいのが出てきたぞ。私の好きな歌手、Oumou Sangareだ。
https://www.youtube.com/watch?v=hYZyl3azXZE
 マリの音楽は少しは知っているし、CDも結構持っているので、まるで知らないトーゴだとどうなるだろう。「Togo Music」で検索すると、おいおい、Zaoがでてきたぞ。何も知らずに彼のCDを買い、今もまったく知らないし、はたしてトーゴの歌手かどうかも知らないが、まだYTなどない時代にCDを買ったアフリカの歌手のコンサートが日本で見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=Dk3YKrPazKk
 今度は「Moroco Music 」で検索すれば、BGM用伝統音楽がでてきた。これで、20分は聞き流せる。
https://www.youtube.com/watch?v=mvRQtbqLPK8
 そのすぐ下のリストにあったAster Awekeは大好きなエチオピアの歌手。「モロッコ」で検索しているのだが、他の音楽もいろいろ出てくる。音楽を楽しみたいのだから、それでもいい。アスターの歌は、最近のものはあまりおもしろくないが、昔のこれはいい。
https://www.youtube.com/watch?v=U-tMLPWyeA4
 とりあえず聴いてみて、気に入った音楽や歌手がいれば、深入りすればいい。こういう店もある。渋谷のレコード店、EL SURだ。
http://elsurrecords.com/tag/ethiopia/page/6/
 ただし、私のように深入りすると、CDの重みで本棚の棚板が抜けるという恐ろしいことになる。CDは、本よりはるかに重い。