994話 大阪散歩 2017年春 第33回

 雑話集 その5


●この大阪散歩第3回(964話)で、宿の話を書いた。宿の看板には「洋室シングル2000円」と書いてあるのに、「それは旧料金で、いまは2400円です」と言われてしぶしぶ支払ったという内容だ。さっき、「もしや・・・」と思いインターネットのホテル予約サイトを見たら、あんな安宿も載っていて、1泊1800円程度(サイトによって、多少料金が違う)だ。つまり、ネット予約すれば1800円で泊まれた宿に、毎日2400円も払い続けていたということになる。だから、面倒臭さを考えなければ、とりあえず1泊して状況を把握して、気に入れば翌日分からネットで予約を入れるというのが節約旅行になるのだが、それは、同時に自分の行動に枷(かせ)をはめるということにもなる。
●一部ではすでに有名だが、大阪仕様の自転車というのがある。傘をさしたまま運転できるように特別な器具が取り付けられているのだ。その器具の名を調べてみたら、どうやら統一名称というようなものはなく、自転車傘スタンドとか、傘ホルダーなどといった名前があるらしい。大阪から全国に広がったようだが、2015年の道交法改正でも、違反にはならなかったようだが、市町村レベルの条例では違反になる地域もあるらしい。大阪は、個人の判断に任せるということらしい。

 大阪仕様の傘スタンド


●大阪に限らず、東京でも、全国、いや世界中の観光地では、なぜか急にゴロゴロ族が増えたような気がする。キャスター付きスーツケース、キャリーケース、キャリーバッグなどいくつもの名で呼ばれている車輪付きスーツケースのことだ。このタイプのバッグは最近発売されたわけではないのに、近年路上で見かけることが多くなった。以前から、駅や空港ではよく見かけた。以前のものは、立てたまま動かしていたが、しだいに斜めにして引きずるタイプのものが増え、危険度が増した。近くを歩いている人の足を引っかけやすいので、危険なスーツケースでもある。
大阪の街で、飲食店の入り口に、「キャリーケースの方、お断り」という表示を見かけた。その店はカウンターだけのお好み焼きで、定員8人ほど。ケースを店内の持ち込むと、入り口をふさいでしまうからだ。旅行者はなぜケースを転がしながら、街に出ているのか。
1、朝早く、空港や駅に着き、ホテルにチェックインできるのは午後だから、それまでは荷物を持ち歩く。
2、宿をすでにチェックアウトしたが、利用する飛行機が出るのは夜だから、それまで荷物を引いて歩く。
そういう観光客は以前からいくらでもいたのだが、ツアー客なら、旅行社が客の荷物の面倒を見てくれた。今は個人旅行客が増えたので、ホテルで預かってもらうとか、コインロッカーを使うといった方策が考えつかない。外国人客でなくても、日本人でも、便利な場所にコインロッカーがあるかどうかわからないだろう。ロッカーの料金と、観光後に荷物を取りにロッカーまで戻るのは面倒だということで、自分で運んでいるのだろう。ゴロゴロ転がすなら、大した苦労はない。
●関西人の教養と常識は、吉本新喜劇によって育まれる。私もあのまま奈良で育ち、関西で働き始めれば、「東京がなんぼのもんじゃ!」などといいたがる関西のおっちゃんになっていたかもしれない。私が奈良で暮らしていた時代を思い起こすと、吉本新喜劇の記憶はないが、調べてみれば大阪発の喜劇をよく見ていたという事実がわかり、あぜんとする。記憶にあるテレビ番組を列挙してみる。
ダイラケのびっくり捕物帳    1957〜60年
やりくりアパート        1958〜60
とんま天狗           1959〜60
番頭はんと丁稚どん       1959〜61
スチャラカ社員   1961〜67
てなもんや三度笠 1962〜68
スチャラカ社員とてなもんや三度笠以外は奈良で見ていた番組で、だから関西ローカルの放送だったのだろうと思っていたが、調べてみれば朝日放送など大阪のテレビ局制作の全国放送だった。奈良に住んでいたから、こうした番組を見ていたというわけではなかったのだ。奈良から千葉に引っ越したことで、幸せにも吉本興業松竹芸能に洗脳されることなく過ごし、中毒症にもならず、現在に至るまでその後遺症はない。
こういう「お笑い」のあと、花登筐原作の「関西ど根性物語」の時代に入るが、私はもうテレビを見なくなっていた。大阪はおもしろい街だと思うが、大阪の笑いはおおむねおもしろくない。くどさが耐えられないのだ。