1216話 プラハ 風がハープを奏でるように 第25回

 マルタ・クビショバーとチェコの音楽と政治と その7

 

 帰国して、まずプラハで買ったマルタのCDを聞いた。それから、パソコンに向かった。プラハの夜に出会ったあの若きミュージシャンが紹介してくれたチェコの歌手やバンドの動画を探したら、じつに簡単に見つかった。

 チェコスロバキア最大の人気歌手というKAREL GOTT(1939~)。うん、 なるほど。カレル・ゴットは1960年代から活躍してきた国民的歌手か。昔の映像も、最近の映像も見つかる。

https://www.youtube.com/watch?v=vdHxPM7fd64&list=PL9FFm0kWlUkVC6i1GnzCd1rmuD6AOdU2k&index=1

 彼に関する情報は、これ。大歌手だから、このほか、情報はいくらでもる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Karel_Gott

 

 FLAMENGO 1972年発売のLP これもブラスロックだ。

https://www.youtube.com/watch?v=HQdxTbLJ4Jg

 

 BLUE EFFECT 1971年のチェコのブラスロックか。共産党政権下でも、こういう音楽をやる自由はあった。歌詞がないから、いいのか。

https://www.youtube.com/watch?v=Xp04dPYmGPE

 このバンドの2007年。

https://www.youtube.com/watch?v=7c1GlZRc5DM

 

 宿のスタッフが教えてくれたJIRI SCHELINGERの歌。ジリ・シェリンジャー(1951~1981)は、チェコの伝説的ロック歌手で、81年に橋から飛び降りて死亡。自殺か、権力側による殺人かなどとウィキペディアに書いてあるが、中華料理屋で会った若きミュージシャンは、「精神的に壊れていて、自殺した」と説明した。彼のCDも買ったが、インターネットで昔の動画がいくらもあることがわかった。

https://www.youtube.com/watch?v=gpnYdXV4uxs&list=PLDSA7X2xkUIhCcDA2fq9J3hehufvLwO4S

https://www.youtube.com/watch?v=LAzx_z7N6YE&list=PL84444C27C38C37BB

 引き続き、チェコのポップミュージックの動画を次々に見ていく。チェコにパソコンを持って来ていれば、現地でこういう動画がいくらでも見られたのだが、そんなことをしたら散歩をする時間が無くなる。誰かと話をしている時間が無くなる。いつも充電を考えていると、ドミトリーでは、宿でコンセントの奪い合いになる。そういう旅をしたくないのだ。

 さて、あの夜出会った若きミュージシャンをYou Tubeで探す。

 LA MIND こんな曲を完成させた

https://www.youtube.com/watch?v=Sx70qdCAp1M

 ライブ風景もあるが、これはいただけない。私が会ったのは右側ギターの若者。顔は見えないが・・

https://www.youtube.com/watch?v=BbiLdCAkgRk

 

 蛇足ではあるが、ちょっと書いておきたいことがある。

 1989年11月に、詰めかけた大勢の市民を前に、のちに大統領になるハベルがビルのバルコニーから演説するシーンは、あの時代のニュース映像で見ているが、旅行中はそこがバーツラフ広場だということなどもちろん知らなかった。今年になって、プラハの写真をいろいろ見ているうちに、国立博物館の映像から、ハベルの演説がバーツラフ広場だったということはわかった。

 帰国して、広場でのハベルの演説やマルタの歌の映像を見ていると、何度も歩いた広場なのに演説したのがどのビルなのかわからない。気になって、探偵心が動き出した。グーグル・マップの力を借りれば簡単だった。プラハでは東京の街と違って、ビルは簡単に建て替えられないのだ。

 あのビルはすぐにわかった。下の階はマークス&スペンサー、その上はアパートになっている。この建物は、1989年当時はMelantrichという出版社(創業1897年)だったが1999年に売却された。プラハに行く前にこういうことがわかっていれば、歴史的な場所を見上げるくらいのことはしたのになあと思うのだ。ああ、またプラハに行きたくなる。

 実は今、ネット検索をていねいにやったら、日本語の情報でもこのビルに言及している人がいた。私のような建築探偵は何人かいる。