建物を見に行く その7 キュビズム 前編
プラハは、街全体が「建築博物館」になっている理由は、古い時代からの建造物がそのまま残っているからだ。例えば、こういう建物がある。
・ロマネスク様式・・・・10世紀後半~13世紀
・ゴシック様式・・・・・12世紀中期~15世紀末
・ルネサンス様式・・・15~17世紀初め
・バロック様式・・・・・16世紀末~18世紀中期
・アールヌーボー様式・・19世紀末~20世紀初め
・キュビズム様式・・・・1911~25年
・現代様式・・・・・・・20世紀後半
上に挙げた各様式の時代区分は国によって差があるのだが、建築のキュビズム様式はチェコだけの例だ。私は建築物にゴタゴタ飾りがついているのが好きではないので、プラハではもっぱらキュビズム様式と現代建築の建物を見た。時代的には20~21世紀の建築である。
キュビズムとは、20世紀初めにピカソやブラックが主導した美術運動だ。それまでの、「ひとつの視点で描く」絵画ではなく、多角的視点で描こうとしたもので、1枚の絵に人の顔が正面も側面の視点も併せて描く。次のような説明は、私にもわかる。
http://artprogramkt.blog91.fc2.com/blog-entry-67.html
キュビズムは日本では「立体派」と呼ばれたようで、平面に立体的視点を取り入れるというのはわかるが、現実の立体である建築物が「キュビズム」と言われても、正直私にはよくわからない。直線的な凹凸のある壁面、水晶のようなデザインというのはわかる。アール・デコの近縁だなという想像もはたらく。次のブログはわかりやすく解説してくれてはいるが、完全に理解できたわけではない。
http://bibou726-49.jugem.jp/?eid=143
だから私の建築散歩は「プラハにしかないキュビズム建築鑑賞」ではなく、「なんとなく面白そうな建物を見て歩く」というものだった。
キュビズム建築としてもっとも有名なのは、黒い聖母の家だ。元は商業ビルとして設計されたものだが、現在は1階が喫茶店とキュビズム関連商品の売店、2階が喫茶店、3階と4階はキュビズム家具などを展示するギャラリーになっている。見どころは階段だ。
私は2階の喫茶店が気に入り、近所を散歩していたら、ここで休憩をした。トイレに行き、コーヒーを飲み、日記を書いた。場所柄、喫茶店の料金は高いが、それでも日本の喫茶店と同じくらいの金額だ。
そのほか、数日かけて遊んだキュビズム建築散歩を今回と次回で紹介する。キュビズム以外の建築物は、あとで少しずつ紹介します。今回は、黒い聖母の家。
これが黒い聖母の家。1階が喫茶店と売店。2階が喫茶店。3,4階が美術館。
2階右の角にあるこの像から、「黒い聖母の家」と呼ばれている。
この建物の最大の見どころは、階段だと思う。
こういうカドカド直線デザインが、キュビズムなのか。私はアンクル・トリスを思い出した。
表示デザインも、ちょっといい。
2階の喫茶店で休憩。珍しくレモンティーなんぞを注文してみた。料金はやはりちょっと高く、日本の喫茶店並みの値段。画面右に見えているのが、1階売店でもらったプラハのキュビズム散歩マップ。