1233話 プラハ 風がハープを奏でるように 42回

 建物を見に行く その13 踊るビル

 

 某日、やはり『プラハを歩く』で紹介されていた工業宮殿に行った。1891年の博覧会の会場として建設されたアールヌーボーの、鉄とガラスの建物だ。現在もなにかの催し物をやっているかと期待して出かけたのだが、改装工事をやっていた。周囲はホールや公園などになっているが、何もやっていないときの催し物会場は空虚で、ぽかぽか陽気だったので工事現場見学などと楽しくやって、また散歩の旅に出た。

 

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 旧市街から川を渡って北に進む。トラムの12番、17番で簡単に行ける。期待して来てみれば、人影は少なく、工事関係者の姿と工事の音。

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 1枚目の写真参照。2本の柱の基部のアップ。

 

 

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 裏にまわる。

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 修復工事現場は、構造がわかるのが楽しい。レンガや鉄筋コンクリートや鉄骨が見える。

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 工業宮殿裏の野外催事場も改装工事中。敷地は広い。屋内コンサート会場らしき建物もあった。

 鉄とガラス、あるいは鉄筋コンクリートとガラスのビルで、プラハでもっとも有名なのは、通称「ダンシング・ハウス」というオランダの保険会社のビルだ。時代は工業宮殿よりも100年以上後の、1991~96年に何回かのパートに分けて工事をしたビルだ。このビルの名はいろいろあり、もっとも簡単なのがダンシング・ハウス。なぜ「ダンシング」かというと、ふたつのビルが踊っているイメージで設計したようで、それを英語では”Ginger and Fred on the Banks of the Vitava River”で、翻訳すれば「ブルタバ河岸のジンジャー・ロジャースフレッド・アステア」が正式な愛称で、ビジネスビルとしては、”Nationale Nederlanden office Building”である。アメリカの俳優でありダンサーのジンジャー&フレッドが踊るイメージである。設計者はふたりいる。ユーゴスラビアからの亡命者ウラジミール・ミルニッチとアメリカ人のフランク・ゲーリーだと知って、「ああ、そうか」と思った。このビルはプラハに行く前から写真で知っていた。「なんでこんなひどいビルを建てたんだろうな」と思っていて、実際に見ると、やはり気に入らない。フランク・ゲーリーといえば、やはり私が気に食わないビルバオ(スペイン)のグッゲンハイム美術館の設計者だ。

 私は建築に関しても保守的な嗜好の持ち主なので、世界でもてはやされているたいていの建築家の作品が気に食わない。新奇な建築物に対して批判すると、「あのエッフェル塔だって、初めは批判されたが、今では・・・」という反論をするのだが、完成して50年以上たつ京都タワーはいまだに「美しい」とは思えない。

 ダンシング・ハウスの場合は、「古都に珍奇なビル」という取り合わせの問題というよりも、このデザインそのものを美しいとは思えないのだ。

 このビルのことをネットで調べていたら、ビルの一部がDancing House Hotelになっていることを知った。料金を調べてみると、場所柄いい料金を設定している。

 

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 写真ストックには、この写真が1枚だけあった。脇に回るとか別角度で撮影するといった好奇心がまったくわかなかった。私があと100年生きたら、「おもしろい」というかもしれないが・・・。