1236話 プラハ 風がハープを奏でるように 45回

 建物を見に行く その16 新奇

 

 前回紹介したV字ビルと開口アパートを見た日の夜、プラハの建築資料を読んでいたら、新奇なビルの写真がいくつか目に入り、それぞれのビルの所在地を地図で確認したら、ある場所にかたまっていることがわかった。最寄りの駅は、ブジョヨビツカー駅。このブログの1226話で紹介した「我が郊外住宅」があったところで、「我が家」とは駅の反対側になる。そちらが新しい住宅街だということはすでにわかっていたが、ただのオフィスビルとアパートがあるだけだろうと思い、探検しなかった。

 たかが2週間ぶりの「旧居再訪」なのだが、再び来ることはないだろうと思っていた地区なので、なんだか懐かしく、駅前のショッピングセンターさえいとおしい。以前とは逆の方向に歩き、こういうビルに出会い、撮影した。そしてわかったことは、「新奇を狙うと、それだけで終わる」ということだ。サクラダ・ファミリアほどの、とてつもない「奇」ならともかく、ちょっとした「新奇」はすぐ飽きる。こけおどし。でも、建築散歩は楽しい。

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 駅前をちょっと歩くと、こういう世界のどこにでもあるガラス張りの高層ビル。看板などを見ると、どうやらこのあたりはBB Centrumという新開発地区になっているらしい。

 

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 既存の建物をガラスで覆うというのがお気に入りらしい。

 

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 かつての「我が家」の近所にあった「共産党アパート」とは違い、ちょっとおしゃれな新しい、しかし高そうなアパートだが、

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 陽がささない北側のベランダはアクリルの戸が活躍している。日本でも、雪国仕様、いや雪国ではなくても、冬期仕様にいいと思うのだが、たぶん法律が壁だろうと思う。

 

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 BB Centrum budova Eというビル。次の2つのビルを含めて2007年ころに完成したもの。

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 BB Centrum Nova Brumlovka。ちょっと前の写真を見ると、pumaの大きな看板がかかっていたが、撤退したらしい。

 

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 BB Centrum budova Gamma。窓に取り付けた穴あき板はなんだろうかと調べてみたら、ビルの高速道路に面している側に取り付けた消音装置だそうだ。ふーん。

 

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 さて、街なかに戻って、散歩中に見かけたビル。国民劇場のすぐ隣りにある建物で、国民劇場の別館となるLateruna Magica(ラテルナ・マギカ 魔法のランタンの意味)という劇場。ガラスの重い印象で好きにはなれないが、調べれば、チェコらしくボヘミナングラス(ガラス)を使ったという。1983年完成。 

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 ブルタバ川を渡った北の地区でも建築散歩をした。100年物の建物が並ぶなか、突然味気ないガラス張りのビルに突き当たり、「こういう時代なんだなあ」と記録のためにカメラを構えたら、屋上にいやな文字が見えた。