乗り物の話 その9 タトラ 国立技術博物館
プラハを散歩しながら車を見る。当然シュコダが圧倒的に多く、「半分近いのかなあ」と想像したのだが、ここ数年の自動車販売台数のメーカーシャアを調べてみると、シュコダは3割ほどだとわかった。フォルクスワーゲンと現代が8パーセントほどで2位、3位となり、以下数パーセントで、Dacia(ルノー系のルーマニアの会社)、フォード、プジョー、キア、ルノーなどが続く。この統計でもわかるように、日本車は「たまに見かける」という程度だ。こういう混沌ぶりがおもしろいと思うのだが、日本の自動車マスコミは大メーカーか有名メーカーしか取り上げない。自動車関連の情報にマスコミのビジネス面は見えるが、ジャーナリズムはない。そういえば、プラハでテレビを見ていたら、だいぶ前の「トップ・ギア」(イギリスの自動車番組)を放送していたことを今思い出した。あの番組は、自動車業界との癒着度は低い。
シュコダは現在も生産しているせいか、チョコに行く前から知っていた。画像も見ている。印象は「ローバーの、例えば200に似ているなあ」であって、フォルクスワーゲンの子会社になっているとは知らなかった。ちなみに、ローバーは今は亡きイギリスの自動車だ。
タトラはまったく知らなかった。戦争マニア(オタク)なら当然知っているのだろうが、私はそういう方面の働く車に興味はない。初めてタトラを見たのは、プラハの国立技術博物館だった。オートバイから自動車、鉄道、飛行機まで集めた博物館だが、その方面のマニアを満足させるほどの展示数はない。初めて見た現実のタトラは3目(ライトが3つ)で、それはタトラの特徴だとわかった。自動車のデザイン史の資料としてもおもしろい。
タトラに関するネット情報は多い。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%88%E3%83%A9_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)
それでは、国立技術博物館の展示品を見ることにしよう。展示品がまとまらずに多いので、かえってあまり撮影していない。トラムとバスなど交通博物館にあるもの以外の展示だから、手を広げすぎたか。
おっ、銀色に光るタトラがあるぞ。
タトラ87.資料では、"TATRA T87"と書いてあることが多い。
ひと目見て、「流線形」という語が頭に浮かんだ。1930年代のアールデコ時代に生まれたデザインで、自動車や鉄道車両の分野では1950年代まで、こういう「流線形」がはやる。この展示車は、1947年から50年にアフリカや南米を走った車をこの博物館に寄贈したようだ。タトラといえば、この87が有名のようで、特異なデザインと高速運転能力で、自動車ファンの間では有名らしいが、私はチェコに来るまで知らなかった。
インディアンはアメリカのオートバイメーカーで、この博物館はチェコ製品だけの展示ではないようだとわかり、さらに進むと・・・。
おお、三輪オートバイがあるではないか。うしろのポスターを見ると、LAURIN&KLEMENTI。自転車にエンジンを積んで販売した会社で、シュコダの前身だ。こういう三輪オートバイも生産していたのか。
このサイドカー付きバイクの身元はわからない。展示説明によれば、牧師の移動用に使っていたらしい。オーダーメイドか? 三輪の自転車やオートバイはおもしろいと思うのは、運転免許もなければ機械の知識もないし、熱烈な乗り物ファンというわけでもない私以外ほとんどいないというのが、大きな謎だ。