野外建物博物館 その4
ラトビアの野外博物館に行ったとき、日本人の団体と出会ったという話を書いた。30名ほどの団体客は、数十棟ある家のうち、入場門にいちばん近い住宅に行き、内部を見ただけでバスに戻っていった。滞在時間は1時間もなかったと思う。老人が多い団体なので、展示している住宅に入ったらベンチに腰掛けて動かない人もいた。建物に興味がないという人もいるだろうが、見て回りたいが足腰が言うことを聞かないという気の毒な人もいただろう。
私は建築を含めた「生活」に興味があるから、ラトビアの野外博物館だけでなく、ほかの国の野外博物館でも4~5時間は歩き回った。もちろん、歩くのが目的ではない。園内の住宅に入りちょっと説明を聞き、また歩いた。合計すれば、たぶん1日に10キロほどは歩いたと思う。そのくらいは歩ける体力と、あちこちを見て回りたいという好奇心が、今はまだある。それを素直に喜びたい。好きなように歩けるうちの散歩旅だ。
さて、スケッチ風に、3回に分けて野外博物館で撮影した写真を紹介する。まずは、バルト三国の北からエストニアの古民家を見る。
村の屋敷を再現し、母屋、家畜小屋、農機具置き場、農産物置き場などが屋敷内に点在する。案内人は民族衣装を着ていて、写真用のモデルも兼ねていると思うのだが、英語ができる人がそれほど多くないのが外国人旅行者にとっては、悩みだ。
壁は石積みで、屋根部分は木造。村では金持ちの家だろう。
木工職人の家。
ログハウスに板葺きの屋根。煙突付き。
別の家だが、その屋根をよく見ると、昔通り、板は丸太を割って作ったことがわかる。
家の脇に家庭菜園があり、カカシ。
エストニアの野外建築博物館は19世紀あたりの比較的新しい家が多いのが特徴。この家の説明板があったかどうか記憶にないが、医者か村長の家ではないだろうか。
こういう木造住宅を見ていると、北海道にもあるような気がする。
窓に飾りがあり、ガラスが入っているのは金持ちの家のしるし。
左のレンガで積んだ部分はいわば暖房器具。焚口は左の部屋にもある。この台はベンチや老人用ベッドとして使う。
暖房効率を考えたのか、天井が低いのが特徴でもある。
バルト三国の野外建築博物館で、これが唯一のコンクリート建造物。説明は、ソビエト時代のアパートの再現というのだから、また行かないといけない。どこの野外博物館も、まだ建設途上にある。