トラムに乗って その2
トラムが好きだ。トラムが走っている程度の大きさの街が好きだ。日本でも、機会があればトラムに乗っている。若狭に用が会った時、わざわざ遠回りして福井市経由にしたのは福井鉄道福武線に乗りたかったからだ。乗りたいがまだ乗っていない街がまだいくつもあり、特に札幌と函館はいつか行きたいと思っている。
トラムに旅の風情を感じるのは、街とトラムが程度の差はあれ古いことが条件のようで、街もトラムも新しいワルシャワでは、「絵になるような、あるいは旅情を感じさせるようなトラム風景」はない。それはわかっていて、トラムに乗った。終点駅周辺の写真は撮っているが、車窓から見た風景は撮っていない。撮りたくなるような風景が特になかったのだが、旅を終えてだいぶたち、旅の記憶が薄れていくが、撮影した写真を見ていると、シャッターを切らなかった風景も思い出してきた。ホントに何にもない終点で、ポカーンとしていたことも思い出した。次の写真で出てくる川辺を走って行きついた工事中のような終着駅だった。
川がある街はなごむ。東京も大阪のように、街の中心地に川が流れていれば景色がおもしろくなったのになどと思いながらワルシャワを散歩する。
私の背後に歴史地区があるのだが、そちらに背を向けてこういう風景を撮った。「高嶋ちさ子 麗しのポーランド音楽旅」(BS-TBS 8月18日放送)でも、なぜかこの場所で、このアングルで撮ったシーンがあって、偶然の符合に驚いた。
川を渡るトラム。後方に見えるの緑色の2本の塔がある建物は。聖フロリアン大聖堂。1897年に建てられた教会だが、ナチスによって破壊されたため、第2次大戦後再建が始まり、完成したのは1972年だ。ワルシャワというのは、そういう街だ。
車輪にカバーがかかっている車両は珍しいのではないか?
ワルシャワのトラムに関する資料はウィキペディアに乗っているから、歴史や車両の話はここではしない。
プラハでも印象に残っているのだが、芝生のなかを線路が走っているのは、美観の問題なのだろうか。それはともかく、車両のこの位置は、乗り物マニアの指定制だが、マニアではない私は写真撮影にためにこの位置に立った。それで、サインボードが目に入った。"the motorman does not sell the tickets" キップは乗り場の自動販売機で買っておき、車内で自動改札機で登録する。
ある終着駅。停車場から少し離れてスーパーマーケットがあるだけなので、すぐに戻ることにした。
周辺国でも見たのだが、左手の四角い鉄道施設が、なんだかソ連圏をイメージさせるのだ。
40~50年前のワルシャワは、真夏でも「暑い」と感じる日はあまりないと工藤幸雄が書いているという話はすでに紹介したが(『ワルシャワの七年』)、現在のワルシャワの6月は、トラムの窓の天窓も開けて風を取り込まないと、暑くていられない。
こちらの終着駅は、郊外の大ターミナル駅だった。
普通の鉄道駅のようにホームが何本もあり、大きな屋根で覆われている。ここから、枝分かれしてさらにトラムの路線が伸びている。
今回旅した国の中では、リトアニアのビリニュスにはトロリーバスは走っているが、トラムはない。ウィキペディアには、トロリーバスの建設計画はあるが実現していないと書いてある。その通りなのか、昔は走っていたトラムを廃止して、その電線を使用してトロリーバスを走らせたのかどうかはわからない。こういう調査のために、古い写真を集めた写真集を買っておけばよかったのだが・・・。
ラトビアのリーガのトロリーバス。まったく根拠がないが、ここは元トラムの路線で、廃止してバスに変わったような気がするが、どうなんだろう?
リトアニアのビニリュスにトラムはない。
これがトラムならいい風景なんだがなあと思いつつ、夕暮れ(といっても8時過ぎだが)にシャッターを切った。