ワルシャワの自動車
天下のクラマエ師こと、蔵前仁一さんのツイッター(9月20日)に、その昔、中国で撮影した正体不明の自動車の写真が出ていて、すぐさま旧車マニアからの投稿でその車は「ワルシャワ203」という車だとわかったという顛末が載っている。私は旧車マニアどころかそもそも自動車マニアでさえないが、その車がポーランド製の「ワルシャワ」だということはわかっていた。このところずっとバルト三国とポーランドのことを調べていて、数多くの画像検索もしていた。ワルシャワで見かけた自動車のことを調べていると、腕時計の画像がでてきて、これがちょっといい。「欲しいな」と思ったので印象に残っていたのだ。これが「ワルシャワ200」をイメージした腕時計だ。この赤がいい。
https://www.thxpalm.com/2019/05/1950200xicorr-200.html
私はこういう丸い車が好きなので、そのときにポーランド製のこういう情報も調べた。ポーランドの自動車会社FSOの Warszawa関連の資料だ。エンブレムが薩摩藩の家紋の〇に十によく似ているのだが、よく見たらタテの棒がs、ヨコの棒がf、〇は当然Oというわけらしい。
https://pl.wikipedia.org/wiki/FSO_Warszawa
バルト三国やポーランドを旅していたら、ソビエト時代の車がまだ走っているかもしれないと思ったのだが、ほとんど見かけない。路上で見かける自動車の第1位はフォルクスワーゲンで、そのあとだいぶ少ない比率で、トヨタやルノーなどが続く。
それなのにワルシャワの車を調べようと思ったそもそものいきさつは、駐車場で昔の自動車を見かけたからだ。見るからにソビエト時代の車で、車体に”Warsaw Self-Drive Tour”と書いてある。普通のレンタカーでもタクシー観光でもなさそうで、帰国後調べたら、こういうHPがあった。
http://wpt1313.com/en/wycieczki/warsaw-self-drive-tour/
古い車を運転するのは客だが、ガイドが後部座席に乗り、ワルシャワの案内をするのだ。街のガイドだけでなく、おそらくこういう古い車の扱い方も教えるのだろう。
車を見ると、”FSO”と書いてある。調べれば、ポーランド語のFabryka Samochodów Osobowychの略語で「ポーランド乗用車工場」という国営企業の意味だというが、この車がフィアットだというのは明らかだから、FはFIATのFだろうと想像していた。社名にフィアットという語は入っていないが、この会社は1965年以降、フィアットとライセンス契約を結び、ポーランド製フィアットを生産していた会社だ。
その後、FSOはポーランドの政治と同じように波乱にとんだ歴史を歩みだす。ポーランドがソ連の手を離れて、この国営企業は民営化へ歩みだすがなかなかうまくいかず、1993年にアメリカのGMと提携したが、翌94年には韓国の大宇自動車の子会社になり、Daewoo-FSOという会社になった。大宇は2000年に経営破綻し、乗用車部門はGMに買収され、FSOはGM傘下でシボレー・アベオなどを生産している。ちなみに、大宇のトラックとバス部門はインドのタタに買収された。
さて、散歩をしていて駐車場に出ると・・・
クライスラー・ネオンかと思ったら、トヨタのマーク。見た記憶がないなあと後ろに回ると・・・。
へえ、ヨーロッパ仕様のカローラって、こういうスタイルだったのか。
この車も、ヨーロッパ仕様か?
フィアット126のポーランド生産車ポルスキ・フィアット126P(1973~2000生産) 。ガイドが狭い後部座席に座って案内するらしい。
こちらはフィアット125のポーランド版、FSO125P。エンブレムは簡略化し、より薩摩藩化した。
バスは団体客の観光バスとして利用されている。
このバス、初めて見るような気がしない。さて、どこで見たのかと記憶の奥を探ると、プラハの交通博物館の庭に停まっていたバスと同じだ。完全に同型ではないだろうが、チェコスロバキア製のシュコダ706RTOだと思う。愛国心からなのか、シェコダのエンブレムは消している。
このバスは、かつては中国でも走っていたらしい。
おまけ。
そのシュコダ。たまに、見かける。
ニッサン・リーフ。