1342話 スケッチ バルト三国+ポーランド 61回

 ラトビアの映画

 

 今回の旅に出る前、バルト三国の資料を探していて、ラトビアと日本合作映画があることを知った。これだ。

 映画「ふたりの旅路」(2016年 ラトビア・日本合作)

 https://eiga.com/movie/86530/video/

 おもしろそうな映画ではないが、格安なら買ってもいいかと思ったが、安くはなかった。そのDVDがリーガのCDショップにあった。数十ユーロしていたと思うので、買う気はない。その国の映画情報を何ひとつ持っていない場合、DVDもジャケット買いをするのがいつものことだが、リーガではしばらく世間話をしていたCDショップの店に助けを求めることにした。

 「ラトビアがよくわかる名作って、どれ?」とテクノ店主に聞くと、店のDVDをちょっと調べて、「これと、これかな」と2枚選んでくれて、「これは歴史的名作だよ」と言った1枚を買った。13ユーロ(1600円ほど)だった。

 “Limuzīns Jāņu nakts krāsā”(1981)

 帰国後にインターネットで調べると、いろいろ資料が出てくる。ウィキペディアの英語ページにも情報がある。

https://en.wikipedia.org/wiki/Limuz%C4%ABns_J%C4%81%C5%86u_nakts_kr%C4%81s%C4%81

 映画の日本語タイトルは「夏至に染まる車」というのが直訳としてはもっともいいのかもしれない。山田洋二監督の日本映画にもありそうなストーリーだ。昔の「東芝日曜劇場」などでやりそうな物語でもある。

 田舎でひとり暮らしをしている老婆が宝くじで自動車が当たった。字幕で「VAZ 2101」だとわかる。ソビエト連邦の自動車会社アウトバース社が製造した車で、フィアット124の現地生産車である。けっして高級車ではないが、1980年代に「自動車がタダで手に入る」というのは大事件だということがわかる。街で暮らしている子供や親戚、近所の人たちが、老婆には無用の自動車を手に入れようと画策するというのが粗筋だ。

 私は英語字幕付きで見たが、字幕なしなら、パソコンでタダで見ることができる。こういう映画だ。

https://www.youtube.com/watch?v=qVE4X6Lyohc

 DVDの英語字幕は見にくく、しかも会話だらけの映画なので、すぐに疲れてしまった。そういうときは、映画の筋とは関係なく、人々の暮らしぶりに注目していて、服装や室内の家具や道具に注目するのだが、この映画では台所さえはっきりとは見えない。野外建築博物館で見てきたログハウスそのものなので、1980年代の田舎の家がわかった。

 映画の中で唯一、「おっ、見たぞ!」と確認したのは、田舎の家の庭に建つ黄色い小屋だ。ドアにハートの小窓がついているから、私はすでにその正体を学習している。あれは、トイレだ。その事情を覚えていない方は、このアジア雑語林1308話(2019-08-30)を参照。

 

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  映画とはまったく関係ないが、きょうのカット代わりの写真は、友好都市ブレーメンから贈られた「ブレーメンの音楽隊」の像。リーガ、聖ペテロ教会前。

 

 メモ 11月8日 18:00に1991年のエストニア政治の混乱を扱った番組、世界のドキュメンタリー「ロデオ 民主主義国家の作り方」(NHKBS1)を放送。