1460話『食べ歩くインド』読書ノート 第8回

 

 

P105コメの飯と粉もの・・ターリー(金属製大皿)に盛られたインド料理を見ていて、ずっと気になっていたことがある。コメの飯に粉製品もついていることが多いようなのだ。粉製品というのは小麦粉をはじめいろいろな穀物の粉を加工したもので、薄焼きせんべい風のものからクレープ状のものや、もっと厚いものもある。コメが中心ではなく、チャパティーやナンといった粉ものが主食の場合は、コメの飯がちょっと添えてあるという例もある。私の想像では、基本的にコメが主食の地域では、粉製品は「箸休め」的なもので、歯ざわり舌ざわりや風味を楽しむ存在なのかもしれない。これも私の想像だが、粉製品でも、コメとは相性のよくないものもあるような気がする。ナンにコメがつく食事は普通にはないような気がするが、さてどうだろう。専門家なら、簡単に解答できることなのだろう。

 「大阪人とは、ちょっとちがうなあ」と思った。日本では、小麦粉製品もコメの飯も、両方とも量が多く、うどんやお好み焼きの定食を食べる人たちが西日本に多い。粉ものが「箸休め」と呼ぶほど少量ではない。同量同等である。なぜか、ソバ食地域では、飯との組み合わせはそれほど多くない。

 「イタリア的ともいえるなあ」とも思った。イタリアではレストランで何を注文しても、カゴに入れた各種パンや、鉛筆くらいの大きさのグリッシーニというパンがテーブルに運ばれてくることがある。リゾットやパスタにもパンがついてくることがある。スペインでも、パエジャ(パエリア)にパンがついてきた。うどんにいなりずしがついてくるようなものか。貧乏性の私は、「カゴのパンは料金に含まれているなら、食べないと損だな」などと考えながらパンに手が伸びる。私はパンが大好きだから、黙っているとパンを持ってこない国の食事は、ちょっと物足りない。

 『世界の食文化 インド』(小磯千尋・小磯学、農山漁村文化協会、2006)にこういう話がある。「チャパティーとご飯、両方揃ってこそ『食事』と呼ばれる」と語っているのは、西インドのプネーに住んでいる人の話。

 だから、インドの北は粉食、南は粒食と単純に分けるのは正確ではないことがわかる。当然地域差があるだろうが、「山盛りのコメの飯が食えれば、それで満足」というわけでもない人が一定数いるらしい。「山盛りの飯に、ちょっと粉もの」である。

P107コーラ・・この本を読むと、どうやら、著者はコーラが大好きらしいとわかる。だから、どうということはないのだが、食べ歩きの文章で、アメリカ紀行でもないのに、コーラを語るのは下戸だからかと思ったが、そうではないらしい。もう一度書くが、だから、どうということではないのだが。

 私が初めてインドに行ったときは、まだコカコーラがあった時代で、1977年に撤退した(2003年に再登場)。その翌年、またインドに行った。そのとき、旅行者の間で撤退の理由が話題になった。曰く「反米思想のせいだ」あるいは曰く「コカコーラはユダヤ資本だから、反イスラエルのインドはコカコーラを放逐した」。旅行者の雑談が次々とデマを生んだ。インターネットの時代になれば、正確な情報も探せるが、同時に膨大なデマ誤報もある。

P111カワ・・不勉強にも、パキスタンに緑茶があることを知らなかった。パキスタンアフガニスタンあたりに、お茶に塩を入れて飲むという話は読んだ記憶はかすかにあるが、それがどういうお茶だったかという記憶はない。モロッコなど北アフリカでも中国製の緑茶を飲んでいるが、エジプトは紅茶だなあと考えると、世界のお茶事情を調べたくなる。中国人が飲んでいるお茶といえば、日本人はウーロン茶を思い浮かべるだろうが、これは中国南部の福建省や台湾で飲まれているお茶で、中国全域で「お茶」といえば、緑茶である。

 ということは、中国と国境を接しているパキスタン北部に緑茶が入っている理由はわかる。ただし、パキスタンでは砂糖を入れる。緑茶にミルクを入れる地域があるのかどうかは知らない。パキスタンには、紅茶+砂糖+ミルクのチャーエと、緑茶+砂糖のカワ(資料によって、カウアやカッワーなどの表記がある)の両方があるようだが、カワの語源は何だろう。