1559話 妄想記 その1

 

大阪、独立するで

 

 日々、退屈しのぎに妄想を楽しんでいる。ついさっきの妄想は、さしたる理由もなく、新作上方落語のネタを考えていた。日ごろから落語のネタを考えているわけではまったくなく、落語でも漫才でも小説でも、その構想を考えたことなど今までなかったのに、なぜか突然、上方落語の構想が頭に浮かんだ。

 大阪が怒った。東京が偉そうにしているのに耐えられない。大阪を指導しようとしている東京の見下した態度が許せないという大阪人たちが、「東京がなんぼのもんじゃ!! 独立や、独立」と言い出したところから話が始まる。大阪が首都の国構想を主導するのは、当然、大阪維新の会だ。合言葉は、「大阪弁公用語に」。

 この、大阪独立構想は、大阪の独立宣言をきっかけに、西日本全県を巻き込んで日本から独立した大阪国と、残った県で構成する東日本国の分離を目指すというものだったが、まずは京都が「勝手にやらはったら・・・」と大阪を突き放し、兵庫県も京都と握手した。日ごろ大阪市から「田舎者」と馬鹿にされている北部の能勢町豊能町は、京都府兵庫県に挟まれている現状を考え、兵庫につくか京都がいいかと議会で論議される。いずれにしても、大阪府から分離する。

 兵庫と国境を接する池田市箕面市が、「お下劣な大阪といっしょにされたくない」と、兵庫県への合体を宣言すると、吹田市など淀川の北の市は兵庫と京都どちらかへの帰属を論議するようになる。これで、大阪市も分断された。

 大阪府からの分離が利益にはなりそうもないと考えたのが、奈良県や和歌山と国境を接する自治体で、大阪府は、分離する北部と残留する南部に別れ、南北戦争に突入かと思われた。経済的には南部が圧倒的に富裕で、さて、どうなる?

 こういう内容の、落語か小説か映画はいかがでしょうか。映画「翔んで埼玉」の焼き直しだろうと勘繰る人がいるだろうが、発想はまったく違う。「分離独立」ということからの妄想だ。

 過去に、琉球独立論が話題になったことがある。一部でしか話題にならなかった。佐渡独立論というのもあった。こういう論議を妄想や冗談、バカ話としてしか相手にされなかったが、地方自治とか国際政治や安全保障、経済政策など、まともに扱うと見えてくることがいろいろある。沖縄では米軍基地問題が大きいが、基地がなくても、経済的自立は難しい。観光でうまくいかないなら、昔なら切手で稼ぐという方法もあったが、今はバクチ場にするというのがよくある解決策だが、はたしてそれでいいのか。北海道独立論も取り上げる人はいるが、経済的自立を考えていない。北海道が独立国として生存できるかどうかという論議は、実際に独立できるかどうかという議論とは別に、どうすれば自立できる経済構造を作れるのかという論議が重要だろうと思う。

 などということを、春の花をぽか~んと眺めながら妄想しているのである。