1696話 日々雑話 その1

 

 重い腰を上げて、やっとパスポートの更新手続きをやった。

 手続きの話に入る前に書いておきたいことがある。パスポートの申請はデジタルでやった。といっても、デジタルで送るのではなく、申請書の記入はパソコンでできて、それをプリントアウトして役所の窓口に持っていくシステムだ。「明日は、申請だ」という前夜、私にしては見事にパソコンで記入作業ができて、さあプリントアウトだという段になり、「インクの残量が限界を下回っています。インクを交換してください」の表示が出た。このプリンターは1年ほど前に買ったもので、プリントアウトはまだ数枚しかしたことがない。それなのに、インク切れ! 以前、ネット情報でインクケースのノズルが乾燥しないように、プリントしないときでもインクが常時漏れ出ているという情報を読んだ記憶があるが、これか。「不純正インク」の到着まで、数日かかった。エプソンのプリンターを使うのは初めてだが、インクを入れると、「純正ではありません。いいんですか?」としつこく何度も聞いてくる。ウルサイ!!

 パスポートはまだ受け取っていないから、今後何かの不都合があるかもしれないが、一応申請は受理された。心配だった写真は、ヒゲであごの輪郭がはっきりしないとか、背景が暗めで、顔の輪郭がぼやけているなどと言われ、「どこかの入国審査で問題にされるかもしれませんが、いいですか? 写真を取り直しますか?」と確認されたが、   「このままで」と主張した結果、受理された。

 「ついでなんですが・・・」とパスポート用写真の規定に関する質問をした。

 「カツラは取って撮影しろという指示ですが、もし私がカツラをかぶっていたら、『取って撮影しなさい』と指導しますか?」と聞いてみた。

 「病気などで、カツラを使っている方もいらっしゃいますので、いつも使っているカツラなら、そのままで・・・」

 「いつも使っているカツラだって、どうやって証明しますか?」

 「ええ、はい・・・」と困惑。

 「ね、困るでしょ」そういいながら、常時カツラをかぶっている芸能人を思い浮かべた。「微笑んでいる表情は不可ってことになっているんですが、微笑んでいるかどうかも、どう判断します? 無理でしょ。結局、厳密に規定なんかできないんですよ、日本の役人は規制したがりますが」と悪態をちょっと。

 サインもケチをつけられた。私のサインは名前の一部を省略しているのだが、「サインはフルネームで、きっちり書いてください」などと言うから、「誰でも読めるように書いたら、サインの意味がないでしょ?」と言ったら、「はい、まあ・・・」。日本政府は、申請書の「氏名欄」の名前とまったく同じようにサインしろという考えは、アホだよ。ネット上に批判が多いが、改める気はないようだ。

 amazonのおかしな値段の話は以前書いた。出たばかりの2000円の本に5000円の値段をつけて売っている業者とか、CDに1円の値段をつけていて、送料を1800円要求する業者。「1円なら安い」と飛びつくと、ひどい目に合う。慣れていないと、ひっかかるかもしれない。先日、新手の詐欺まがいの売主を知った。腕時計の売値が500円なのだ。送料は600円。なんだかおかしいので説明をよく読むと、500円は代金ではなく、「代引き手数料」だと書いてある。商品を受け取ったら2万円支払えと指示がある。危ない。代引きだと当人が不在だと家族が支払ってしまうこともある。危ない、アブナイ。

 食料品がもっと高くなれば、廃棄食品は少なるなるはず。安いからといって大量に買い、大量に捨てるのがいいいことか? 

 高級住宅地とはほど遠いウチの近所でも、バブル時代は、自宅駐車場にジャガーだのランドローバーやアウディーやポルシェなどが止まっていたのだが、それが今はプリウスとかN-BOXだのタントなどに変わっているのは、経済的な側面もあるだろうが、子供が独立し、老夫婦かあるいは老人のひとり暮らしになって、そういう生活に合わせた車を選んだのだろう。そのほとんどに特に印象や感想はないのだが、ただ1台は気になった。

 センスのある家の駐車場に止まっているメタリックの青の車。「いい色だなあ」と思って車に近づいたのだが、改造されていて、社名も車種名も消していいる。フロントグリルも手が入っているから、既成のエンブレムもない。自動車の知識が乏しい私の勘だと、マークⅡではないかと想像した。家もいいデザインで、車も美しく仕上げている。運転しているのは、70歳前後の白髪の紳士。デザイン会社経営とか雑誌編集長といった職業を想像した。ネットで探しても、その色のマークⅡはないから、特別注文したのだろうか。

 その駐車場に停めてある車が、1年前からプリウスになった。何があったのだろうか。