1761話 アメリカ・バス旅行1980 その8

 Whopperとは、「バカでかい物」という意味の単語だが、バーガーキングのバカでかいハンバーガーの商品名でもある。私はハンバーガー事情に疎いのだが、多分マクドナルドのビッグマックに対抗する商品なのだろう。

 今、ネットでバーガーキングのワッパーを調べると、直径13センチの巨大ハンバーガーと説明している。CDが直径12センチだから、それ以上に大きいのだが、初めて見たワッパーはそれ以上大きく見えた。ワッパーのサイズは変化しているというので、1980年のワッパーは直径13センチ以上あったかもしれない。

 ベジタリアンではなく、自然食品愛好者でもなく、健康的な食事にはそれほど関心のない私だが、こういうモノを食い続けていては心と体にいい影響は与えないという気はする。アメリカの恐ろしさは、こういう巨大な高カロリー食に慣れてしまうことだ。

 バスターミナルで9時になるのを待ち、弁護士事務所に電話した。紹介者の名を告げたのだが、「そんな男は知らない」といいつつ、話がうまくかみ合わない。私が弁護士に相談したいことがあると思ったらしい。

 「いや、私がインタビューをしたいのです」

 「じゃあ、そのインタビューを受けると、いくら支払ってくれるんだい」と聞くので、「残念ながら・・」と答えると、ガシャと受話器を置く音が聞こえた。こちらはご厚意にすがって話を聞こうとしているので、断るのも当然。日本から来たわけのわからん男のインタビューを受けるメリットなど、その弁護士に何もないのもわかる。

 ただし、アメリカ人の名誉のために言っておくと、この時の取材で50人ほどに取材依頼の電話をした。まったく知らない日本人からいきなり電話がかかってきて、「会って、話を聞きたい。できればなるべく早く。車を持っていないので、どこか適当な場所で・・・」という取材依頼を断ったのはたったふたりだけだった。もちろん、「○○さんに紹介してもらって・・」と紹介者の名を出して電話をしたのだが、50人中即座に断ったのが、ダラスのこの弁護士とロサンゼルスの日本人サラリーマンのふたりで、理由は同じで「そんな取材を受けて当社と私自身に何の利益があるのか。ないでしょ」だった。日程の都合がつかないという理由で断ったのがひとりいたが、本当に日程の問題だったかは不明だが、もちろん深く追求などしない。

 住所氏名を教えてくれた紹介者とインタビューを依頼した相手との関係の深さが影響しているのだろうが、インタビューの後ホテルまで送ってくれたり、「今夜は、うちに泊まればいいよ」と言ってくれた人もいた。

 ダラスにはもう用はない。これからどこに行こうかとバスの時刻表を見た。行先の地名に「Fort Worth」の名があった。知っているテキサス州の都市は、ヒューストン、ダラス、西部劇で覚えたエルパソともう1カ所。日本人にはあまり知られていないが、人口では州5位の街フォートワースを、私は知っている。ジャニス・ジョプリンが生まれ育った街だ。だからといって、わざわざ行くこともないので、ダラスから東へ一直線の旅をして。ミシシッピー州ジャクソンに向かった。

               ★

 ご注意あいかわらず、怪しいメールが毎日のように届く。まったくかかわりのない駅ネットやメルカリから、「セキュリティーのため、再登録してください」。1度も登録なんかしてないんだよ。ヤマト運輸と称するところから、「ご注文の荷物は6月24日(日)到着予定でしたが、少々遅れています。つきましては・・・」と注文内容の確認へと誘う。24日は金曜日なのだよ、にせヤマト。みなさんは私よりもはるかにデジタル力は上だとは思いますが、くれぐれもご注意を。自称アマゾンも危ない、アブナイ・・・と書いたら、たった今。ニセamazonからメール。「    様から送られたアマゾンギフト券ですが・・・」というところまで読んで、削除。送り主の名が空欄というのはおかしく、私にギフト券など送る人はいない。あぶない、アブナイ。