ペットボトルのお茶の登場によって大きく変化したのは日本国内だけではない。東・東南アジアの人たちも日本人と同じように、ペットボトルのお茶を飲むようになったということだ。
外国で初めてペットボトル入りのお茶を飲んだのはバンコクで、甘いのに閉口した。探せば「無糖」表示のものもあり、在住日本人の間ではそのブランド名はたちまち広まるのだが、コンビニからすぐに消える。「なんで、仕入れないんだ」と文句を言うと、店員は「だって、売れないんだもの」と言ったというのは、知り合いからの報告だ。
べたべた甘い紅茶やコーヒーを飲むタイ人だから、緑茶に砂糖を大量投入しても、「まあ、タイ人だから・・・」と納得できるのだが、台湾人の場合はなかなか理解できない。台湾人観光客が語る日本の不満」といったコラムがネットに出ていて、そのなかに「ペットボトル入りのお茶に砂糖が入っていないこと」というのがあって、「日ごろ、甘くない中国茶を飲んでいるだろ!」と言いたくなった。台湾人と雑談したときの話では、「熱いお茶はそのままでいいが、冷たいお茶は甘くしたい」という。たしかに、菊花茶など、冷たい茶は甘い。中国のお茶事情は知らないのでネット情報を集めると、中国にもペットボトル入りの甘いお茶はあるが、無糖のお茶もあるらしいが、その比率はわからない。
日本人も中国人も、「冷めたお茶」はいやだったが、今では冷たいお茶も好むようになったが、甘い緑茶は多くの日本人は拒否し、中国人は好む人もいるというのが現実らしい。
「緑茶を飲む」という行為は、東・東南アジアに及ぼした影響だが、抹茶はアジアを超えて欧米にまで影響が及んだ。
日本に外国人観光客が押し寄せていた2010年代なかばだったと思う。夕方のテレビニュースの時間に、「訪日タイ人客が日本で買って帰りたい物ベスト3」という話題をやっていた。昨今のタイ人客の嗜好は全く想像がつかないので、注目していたら、ベスト1は「キットカット 濃い抹茶」だった。「タイ人が抹茶が好きか? へ~」と感心したのだが、抹茶好きはタイ人に限らず、多くの外国人が好む商品だとわかった。茶を甘くしたことで、「甘いお茶」が人気を博したように、甘いのが当たり前の抹茶は、「健康にいい」というキャッチフレーズを加えて、たちまち世界各地からやってくる訪日観光客の人気者商品になった。抹茶が人気とは、世の中わからないものだ。
Youtubeのstreet food動画を見ていたら、タイのコーヒー屋屋台の動画が勝手に出てきた。タイのコーヒー屋と言えば、「コーヒーと称するもの」と「茶と称するオレンジ色の液体」が2本柱だったが、それに緑茶が加わったことを知った。
茶系飲料の動きはすでに書いたが、その推移がわかるように、あらためて年表にまとめてみる。
1981年 缶入りのウーロン茶、サントリー「烏龍茶」と伊藤園「ウーロン茶」、を全国販売
1985年 サンガリア「缶入りお茶」、伊藤園「缶入り煎茶」発売。
1989年 「缶入り煎茶」を、「おーいお茶」に名称変更。ほうじ茶と玄米茶も商品に加わる。
1990年 伊藤園、1500ccペットボトル入りに緑茶発売。
1996年 「おーいお茶」500ccペットボトル発売。
2000年 伊藤園、保温に対応するペットボトル(ホット対応ペットボトル)発売。キリンビバレッジの緑茶「生茶」発売。
2003年 「おーいお茶」が、茶系飲料の販売数第1位に。
2004年 サントリーの緑茶「伊右衛門」を、紙パック、缶入り、ペットボトルの3種の容器で発売。
2005年 「伊右衛門」350ccペットボトル販売。
2007年 日本コカコーラの緑茶「綾鷹」発売。