1915話 雑話 その1

業務スーパー

 ウチから比較的近い場所に業務スーパーが進出して、立ち寄ることが多くなった。「まあまあ」という評価の商品が多い。ココナツミルクなどアジアの食材がある程度そろっているので、遠いカルディに行かなくても済むから便利だ。そんな商品の中で、「こいつはすごい!」と最初に感動したのが、台湾からの輸入品である葱抓餅(ツォンジュアビン)だ。パイ状のパンだ。台湾では。こういうシート状のものでなく、肉まんのようになったものをよく食べていたのだが、業務スーパーのものもそれなりにうまい。台湾の製品だが、私はインド料理として食べていた。これに似ているのは、マレーシアやシンガポールのロティーだ。マレーシアで「ロティー」というとふたつの意味があり、ひとつはパンのことだ。だから、甘いパンもぶどうパンもロティーである。もうひとつの意味は、インド料理で使うシート状のパイだ。屋台などで、鉄板でこのロティーを焼き、皿にのせ、手でぐちゃぐちゃにつぶし、そこにカレー汁をかけるというのが、安いインド飯だ。台湾の葱抓餅がロティーにそっくりだったので、感動したのだ。

 その次に感動したのは、ピザだ。25センチ、298円のピザは、私ひとりでは到底食べきれない。二人分弱はある。うれしくなって買いだめしようかと思ったのだが、「食べたくなったらすぐ買いに行けばいいんだから」と思っていたら、すぐ品切れになった。葱抓餅もすでに姿を消した。長らく品切れになっていたテンペが姿を見せたというのに。業務スーパーではよくあるころだが、「欠品を怖がらない」という商習慣がある。今売っている商品が明日以降あるかどうかがわからないのだ。

 出張インド料理の「マサラワーラー」業務スーパーの話をすると、「インド料理の製品もいいよ」といった。何かはいいが、何かはまずいというようなことを言っていたが、詳しい内容は忘れた。昨年暮れのことだ。

 先日ナン、チャパティ、パラータの3種を見つけたので、数日後に買いに行ったら、チャパティーは売り切れていた。そこで、ナンとパラータを買った。スーパーで売っているナンは日本人好みにかなり柔らかいのだが、業務スーパーのものはちょっと硬いから歯ごたえがある。ただし、今HPで見るものとはパッケージが違う。

 パラータを初めて食べたのは、マレーシアのペナンからインドのマドラスをめざす客船の食事だった。ロティに似ている食感だが、かなり厚い。食べ方はチャパティーと同じで、カレー汁をつけて食べる。マドラスに着いて街を散歩していると、船で見たパイ状のパンがあり、名を聞いたら「パラータ」といった。小麦粉をよく練り、油をくわえてさらに練り、パイのように油の層を作って鉄板で焼く。業務スーパーのパラータを焼いてみたら、上記葱抓餅とほとんど同じ製品だった。

左手

 NHKBSで放送した「インド秘境 スパイスの達人 しゃく熱のラクノウ」は、インド人スタッフが取材したNHKの番組だから、今までにない詳しさがあった。ただ、「あれっ!」と気がついたのは、ラクノウの有力者兄弟の食事風景だった。弟の妻が左手で食事をしている。その息子も、左手で食事をしている。もしかして、弟の妻は右手が不自由なのかと思ったが、料理をしている場では両手を使うが、おもに左手で食材を触っている。

 ナンをちぎるときなど、左手も使うことは知っていたが、格式の高い家庭で、高齢の人が左手で料理をつまんでいる光景は、インドを知らない私には驚きであった。

 Youtubeのおかげで、インド人の食の風景などおそらく何百何千あるいは何万もあるかもしれない。そのうちの、料理している動画や食べている動画を多分100くらいは見ていると思う。最近はスプーンを使う人が増えたこと、麺料理が増えていることなどが、強く印象に残った。

天丼

 天丼の「てんや」は私好みの店だが、次々と店舗を閉鎖している。親会社のロヤル・ホストの方針らしい。コロナの影響とはいえ、残念なことだ。競合他社が現れなかったということは、天丼屋商売はあまり儲からなかったということか。かつ丼チェーンとか、親子丼チェーンとか、業者はいろいろ考えているだろうが、実現しないのは、つまり「儲からない」と判断したのだろう。私は、1品勝負という食堂が好きなのだが、毎週料理を変えるような店が、日本人好みなのだろう。