旅行保険、そしてクレジットカードの話 その2
この原稿を書いている手をちょっと休め、アマゾンで本探しの遊びをしていたら、「おお!!」という声をあげたくなる本を見つけた。『ラオス料理を知る、つくる』だ。お料理本や店ガイドではなく食文化に興味がある私好みの内容で、早く読みたいが、今は韓国だ。というわけで、旅行保険の話の続き。
さて、帰国してからだ。自宅にハガキが届いた。
「あなたもAMEX GOLDCARDを持ちませんか?」というDMが来た。いつもなら、すぐさまごみ箱に直行なのだが、頭に旅行保険のことがあった。年会費11000円だが、旅行保険を考えれば、その料金は高くない。しかも、「年に1度でもカードを使えば、会費は無料。すぐに、ここに申し込みを」という誘い文句にそそのかされて、パソコンにURLを打ち込んだ。
サギじゃないだろうし、まあ、ダメ元だ。パソコンに現れた申請書に必要事項を記入していく。職業欄の選択肢は「自営業」しか該当しない。「自営業」をクリックすると、「従業員は、500人以下、1000人以下、1000人以上」の三択しかない。苦笑するような設問だから無視したら、次に進めない。しかたなく、「500人以下」を選択して、「次へ」に進む。パソコンで書類への記入作業をしているのに、「携帯電話にワンタイム・パスワードを送ります」というので、あわてて2週間ぶりにスマホの電源を入れる。
わからないことが多いので、電話での問い合わせなどがあり、2日がかりで申請書記入が終わった。
「申請手続きはこれで終了しました。審査の結果は、後日ご連絡します」のメールが来た。
審査の結果がどうであれ、この話はブログのネタになる。ライターは、転んでもタダでは起きないのだ。「無謀にも、前川がゴールドカードを申請して、拒絶された」というのでは当たり前すぎておもしろくない。「何かの手違いがあって申し込まれたようですが、あなたの生活は当社の規定にはほど遠いレベルなので・・・」とか「身の程をわきまえなさい」などという返信だったらおもしろいのだが、まさかそういう拒絶文句ではないだろう。そういえば、その昔、ビートたけしがロールスロイスを買おうとしたら、販売店が拒否したという話を当人がしていた。カネさえ払えば誰にでも売るという商売は致しておりません。芸人風情が、身の程をわきまえなさいというのが販売者側の理屈だったようだ。もちろん、そうは言わないが、言外には言っている。
申請して3日後、「カードを発送をしました。到着したら、ログインして最後の手続きをしてください」というメールが来た。おいおい、サギじゃないだろうな。自分で申請したくせに、このオレがゴールドカードだってよと、自嘲ではなく自笑。今までの人生は、功成らず名を遂げていないが、どういうわけかゴールドを持つことになった。おそらく、カード保有者が少ないアメックスでは、社員全員に緊急指令が発せられたのだろう。「社員ひとりが月間100人勧誘!」を目標に、「日本国籍があり、銀行口座があれば、誰でもいい。田舎者でもビンボーライターでもなんでも認めてやる。加入者を増やせ。とにかく、数だ!!」という方向転換があったに違いない。そーじゃなきゃ、この私がゴールドカードを持つ身分になるわけがない。
届いたカードの最終手続きも、ちょっと手間取った。「カードを受け取ったら、裏面にすぐサインを」というものだと思っていたが、サインする場所がない。調べたら、サイン不要だという。タッチ式だからか。盗まれたら、それで終わりだ。カードの番号と有効期限が裏面に印刷してある。3桁のセキュリティーコードは・・・と探すが見つからない。ああ、表面にある4桁の数字か。
私が取得したのは、ゴールドカードと言っても、会費も高いが保証や利益も多い純正AMEXカードではなく、クレディセゾンのなんちゃってAMEXだ(イミテーション・ゴールドという語が浮かんだ)。クレディセゾンVISAカードで、毎日のようにアマゾンで買い物をしていて、その実績によって、なんちゃってAMEXになったのではないか。
ゴールドカードの最終手続きを終えて2日後、AMEXを語るSPAMメールが届く。「先月分の支払いが未納です。すぐさま手続きをしないと、ゴールドカードは無効になります」だってさ。もちろん無視した。
それから5日後、試しに飲食店のレジでこのカードを取り出したら、使えた。これで、年会費11000円を払わずに済む、のか?