出版社めこんの桑原さんが世話役を務めてくれるアジアの勉強会に出っかけた。月一回の上京である。
車内では、『日韓併合期ベストエッセイ』(鄭大均編、ちくま文庫、2015)を読む。出版時に気になっていたが、ついつい買う機会を逸していた。韓国のブログを始めたので、ネット書店にまとめて注文したのだが、ブログの資料になりそうな内容ではないので、読むのが後回しになっていた。いつものように、車内で本を読んでいるのは、私ひとり。
おそい昼食はタイ料理にした。日本でタイ料理を口にするのは20年ぶりだろうか。タイ料理が嫌いというわけではない。日本で食べると、「なんちゃってタイ料理」にあたることがあり、それが怖いのだ。久しぶりに口にしたタイ料理は、「いけません!」のたぐいだった。トウガラシがほとんど入ってない。その分、たっぷり砂糖が入っていて、ちゃぶ台返しをしたくなるようなしろものだ。店員はみなタイ人だから、「俺、辛いもの、あまり得意じゃなくて」という日本人でも、「うん、これなら充分食べられる」と言わせるようにアレンジしてあるから、文句は言えない。日本化した中華料理を「町中華」といい、日本客など相手にしていない店を「ガチ中華」というそうで、先日池袋西口で食べた台湾料理などそのガチ中華なのだが、どこかに「ガチタイ」はあるか? そんな店探すよりも、タイに行った方が早いなと思う。
日本で赤いタイカレーと呼んでいる料理は、タイ語でケーン(汁)・ペット(辛い)・デーン(赤い)というのだが、ちっとも辛くない。ケーン・ワーン(甘い)・デーンだ。日本で緑のカレーと呼ばれているのは、ケーン(汁)・キヤオ(緑)・ワーン(甘い)というのだが、色を表す形容詞の位置が違うのはなぜだろう? 誰か、教えて!
勉強会が始まるまでまだ時間があるので、神保町の東京堂書店へ。ここは台湾書物偏愛書店で、にくい本を置いてくれるから、高い本でもよく買っている。本日の発見は、正式にはまだ発売前の本だ。『イラストで見る台湾 屋台と露店の図鑑』(文章・イラスト:鄭開翔、翻訳:出雲阿里、原書房、2025年2月16日)を見つけたので、すぐさまアメックス・ゴールドカードとともにカウンターへ。この手の本は即購入。
勉強会の会場に行く前に、講師とちょっと雑談。月一回開催されている勉強会の、本日の講師は元朝日新聞記者で特派員経験が豊富。とくにフィリピンの専門家でもある大野拓司さん(目下、『マゼラン船団 世界一周500年目の真実』を発売中)。講義のテーマは「ラテンアメリカから見たフィリピン」。お茶を飲みながら。雑談。
「ラテンアメリカから帰ったばかりでしょ。どうでした?」
「いやあ、参ったよ。スマホがないとなんにもできないんだよ。ここんとこアジアの旅ばっかりだから気にならなかったんだけど、スマホがないとホテルの予約も、航空券も鉄道バスも博物館も、みんなダメ]
「私も、うすうす気がついていて、頭が痛い問題ですよ」
「ホテルの予約だって、そのホテルのカウンターまで来ているのに、『今、そこで、予約して下さい』だよ。カウンターまで来ても、『そこで、スマホで予約しろ』なんだから」
「私もプラハで体験しましたよ」
さて、本日の講義の要点はふたつ。
・フィリピンで確認できるスペインの影響は、スペインから直接もたらされたものではなく、メキシコを経由している。
・そこで重要なこと2点目は、これ。フィリピンの研究だからフィリピンに通うだけじゃなく、時には遠く離れて俯瞰して眺めることも重要。
寺田勇文(上智大学)さんのコメントも興味深かった。