かつて、PamAm(パンナム、パンアメリカン航空)は、海外旅行のシンボルであり、金満強大なアメリカを誇示するような企業だった。今回は日本映画とパンナム興亡史を紹介し、次回は加山雄三や石原裕次郎とパンナムの話をする。
1927 会社設立。キーウエスト(フロリダ)・ハバナ便。アメリカ最初の国際線。
1931 新しく導入した大型飛行艇シコルスキーS-40を、「アメリカン・クリッパー号」と名づけた。クリッパーは大航海時代の快速帆船の名。
1934 中南米やカリブ海などに路線を伸ばし、世界最大の国際航空会社となる。
1935 サンフランシスコ~ホノルル~ミッドウェイ~ウェーク~グアム~マニラを、6日間、実質飛行60時間。この試みを映画化したのが、ハンフリーボガード出演の「チャイナ・クリッパー」(邦題「太平洋横断記」、製昨年不明)。飛ぶ世界初の太平洋横断航路開設。飛行艇はマーチンM-130で、「チャイナ・クリッパー」と名づけた。
1937 太平洋路線がマニラから香港までのび、のちにマカオや上海に。41年にはマニラからシンガポールへ。
1939 世界初の大西洋路線開設。使用飛行艇を「ヤンキー・クリッパー」と名づける。
1946 ホテル部門をインターコンチネンタル・ホテルとしてあらたに設立。
1947 世界初の、世界一周線開設。東京線開設。
1950 社名に「ワールド」が加わり、パン・アメリカン・ワールド・エアウェーズとなる。
1958 アメリカ初のジェット旅客機ボーイング707がニューヨーク~パリ線に就航(世界初のジェット旅客機はアエロフロート)。DC7に、エコノミークラスを作る。
1959 東京~香港線を開設し、世界一周便ジェット化完成。
「兼高かおる 世界飛び歩き」(翌60年から「兼高かおる 世界の旅」)のスポンサーになる。
1961 大相撲の協賛社になる。
1963 「ハワイの若大将」(ハワイ)「香港クレージー作戦」、「社長外遊記」(ハワイ)、 「ホノルル・東京・香港」
パンナムが日本最初の航空券の月賦販売を始める。
ニューヨークにパンナムビル完成。*59階建てのパンナムビルは開業時は、世界一高いビジネスビル(246メートル)だった。
1964 「夢のハワイで盆踊り」
1966 「アルプスの若大将」(スイス、オーストリア、イタリア)
1967 「レッツゴー若大将」(香港、マカオ)、「南太平洋の若大将」(ハワイ、タヒチ)、 「クレージー黄金作戦」(ハワイ、ラスベガス、で加山雄三出演)
「クレージーの怪盗ジバコ」(海外ロケなし)、東京~グアム線直行便運航開始。
1968 「リオの若大将」(リオデジャネイロ)、「クレージーメキシコ大作戦」(メキシコ)、
「スパイダースのバリ島珍道中」
東京~グアム~シドニー線運航開始
1969 「ニュージーランドの若大将」(ニュージーランド、オーストラリア)
1970 「ブラボー若大将」(グアム)
世界初、ボーイング747(ジャンボ機)導入し、羽田に初飛行。
日本航空が東京~グアム線運航開始
「だまされて貰います」(クレージーキャッツ。ハワイ、ニューヨークロケ)
1973 72年にグアムで発見された元日本兵横井庄一氏のグアム新婚旅行を、ホテルオークラとパンナムがスポンサーとなって催行。グアム観光も広報が目的。
1976 ジャンボ機での東京~ニューヨークノンストップ直行便運航開始。
1980 パンナムビル売却。
1981 北京~東京~ニューヨーク線運航開始。
「帰ってきた若大将」(ハワイ、ニューヨーク)、協賛が経営不振のパンナムから日本航空に変わっている。
インターコンチネンタル・ホテルズ・チェーンを、フランスのコングロマリットに5億ドルで売却。1988年にセゾングループへ21億5000万円で売却。
1982 東京~マニラ線運航開始
1983 ニューヨーク~東京~台北線運航開始。中国が反発。
1984 「兼高かおる世界の旅」のスポンサーが、経営不振のパンナムからSAS(スカンジナビア航空)に代わる。番組は90年まで続く。
1985 太平洋線をユナイテッドに譲渡し、日本線も撤退。
1991 破産
1992 パンナムビルの「PAN AM」という看板が取り外される。
ちなみに、このパン・アメリカン航空がいかにめちゃくちゃな会社であったかを知るには、『パン・アメリカン航空物語』(帆足孝治、イカロス出版、2010)や『消滅―空の帝国「パンナム」の興亡』(高橋文子、講談社、1996)がある。客室乗務員は高級酒のセンを勝手に開けて、「客の飲み残し」ということにして持ち帰ったといった話が満載だ。
そして『パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス』(クリスティン・R・ヤノ、久美薫訳、原書房、2013)は民族やジェンダーで航空会社を考察した名著だ。この本の紹介は、822話、823話ですでにした。『旅する翼』(高橋文子、ダイヤモンドビッグ社、2019)は、「そのうちに・・・」と思っているうちに時間が流れて未読。