2118話 「落ち目になったら、みんな知らん顔さ」

 今から100年ほど前の女性ブルース歌手の歌声を集めたアルバム“The Rough Guide to Bleus Daives”には25曲入っているが、知っている歌手はふたりしかいない。そのうちのひとり、Bessie Smith(1894~1937)が歌う”Nobody Knows You When You’re Down And Out”が、25曲のなかでおそらくもっとも有名だろう。この曲はジミー・コックスの作詞作曲だということはわかっていたが、だれが最初に録音したかはわからない。しかし、最初にヒットさせたのがベッシー・スミスだ。そのことは知っていたが、私が初めて聞いたのは、さて誰の歌だったか。

 You Tubeの検索欄にこの曲名を書き込むと、さまざまな歌声が登場する。1960~70年代に、ラジオで何度かベッシー・スミスを聞いているが、どの曲を聞いたか覚えていない。記憶に残ったのは、たぶん、エリック・クラプトンの歌声だ。Derek and the Dominosのアルバム「Layla(いとしのレイラ)」(1971)の4曲目だろう。クラプトンの歌はあまり評価していないが、このアルバムではデュアン・オールマンのギターがいい。

 You Tubeの右側の再生候補作に、Tedeschi Trucks Bandが上がっている。このバンドのリーダーDerek Trucksは、オールマン・ブラザース・バンドのドラマーの甥。デレク・トラックスとスーザン・テデスキー(Susan Tedesch)夫婦のこのバンド、Tedeschi Trucks Bandが大好きだから、彼らの演奏で、この「落ち目になったら・・・」を聞く。スーザンの歌がいい。

 ジャニス・ジョプリンの歌が再生候補になっている。ジャニスはベッシー・スミスの信奉者だったから、この選曲はわかる。“The Legendary Typewriter Tape”(1964年録音)に入っている。

 福原みほの歌もあった。高校生時代の彼女の歌には感動したが、「器用にカバーする」という域を出ないなあと感じる。藤原さくらのような個性があればいいのだが。

 こういうユーチューブ遊びをしていて楽しいのは、初めて聞く歌声に出会うことだ。Alberta Hunterという名はまったく知らなかったが、ここで出会えた。調べてみれば、1895年生まれで、1984年まで生きていたというから、ベッシー・スミスよりたったひとつ年下という経歴だから、伝説的なブルースシンガーだ。

 まったく意外なアルバムに出会った。B.B. Kingの”The Music of Louis Jordan”。B.B.Kingならアルバム全曲を聞いてみたくなり、注文。届いたCDは、ブルースっぽくなく、あまりおもしろくなかった。

 おお、Nina Simoneも歌っているぞ。アルバム“Pastel Blues”に入っている。うん、いい。

今回、歌手名やアルバムタイトルなどを英語のまま表記したのは、そのままコピペしてユーチューブで聴くことができるようにするためだ。ああ、今、 Duane & Gregg Allmanもこの曲を演奏していると知る。これも、なかなかいい。Sidney Bechetのジャズもいいなあ。この人のクラリネットが好きだ。まったく知らない歌手だが、Papa Chubbyの迫力ある歌声に聞きほれる。こうして、1時間が過ぎる。

 これが、私のユーチューブ遊び。