2120話 雑話 2

 昭和100年ということで、朝日新聞の戦後間もない東京の写真が何度か載っていて、そのなかにまったく同じ輪タク自転車タクシー)の写真があった。戦後の日本でごく短期間走っていたのは、タイの自転車タクシー(サムロ―・ティープという)と同じように、自転車のうしろに人力車の座席をつけたようなスタイルの三輪自転車だ。当時の姿は、映画「憧れのハワイ航路」(1950)で見ることができる。なかには、リヤカーに座席をつけて自転車で引っ張る4輪自転車もあったらしい。

 しかし、朝日新聞に載っていたのはベトナムのシクロのように、前部に座席があり、後ろから自転車で押していくというスタイルだ。サイドカータイプの車両の写真は見たことがあったが、前席タイプの自転車タクシーが日本にあったとは知らなかった。サイドカータイプのものは、茅ケ崎市の博物館に原物が保存展示されているらしい。

 NHKテレビ「バタフライエフェクト ナチを支えた女たち」(2025年9月29日放送)を見ていたら、1940年ごろのドイツで、やはり前席タイプの輪タクが走っているのが見えた。座席はあったが、幌はなかった。もしかして、元は貨物用だったのか、それとも人用の乗り物だったのかわからない。ガソリンが足りなくなって、人力に頼ったのは日本も同じ。三輪自転車や三輪自動車は興味深い乗り物だと思うが、おもしろがって乗る人はいても、調べる人はほとんどいない。

 ブラジル音楽のCDを買いたくて、ディスクユニオン新宿ラテン・ブラジル館に行った。ここは、かつて「ワールドミュージック館」という名称で、主にアフリカ音楽のCDを100枚ほど買ったことがある。2000年代初めごろは、ワールドミュージックはすでに下火で、だから「5枚1000円」とか「10枚1000円」でたたき売りしていたのだ。C級のどうしようもないCDではなく、ワールドミュージックの一流どころのアルバムだった。

 今の「ラテン・ブラジル館」に行くのも数年ぶりなのだが、棚がスカスカなのに驚いた。そうか、だいぶ前からブラジルでもCDはほとんど発売されていないようで、中古CDに人気が集まり品薄ということらしい。棚のCDをチェックしたら、日本盤が多いのは、そういう事情だったのだ。ブラジルでもあまり売っていないのだから、絶対的に品薄だ。だから、高い。

 帰宅して、アマゾンでNana CaymmiのCDを探したが、あまりないうえに、あってもかなり高い。安いうちに買っておけばよかったというのは金と同じ。ユーチューブでたっぷり聴くことができるから良しとしよう。

 よく買うCDは、1950~60年代のジャズで、当時のレコードをCDにしたものだ。だから、特殊なものでなければ、欲しいCDはたいてい手に入る(価格を気にしなければ、だが)。本でも同じことだが、私はマニアではないので、僅少・貴重品を求めて歩くというようなことしない。

 昔のジャズのCDはいいのだが、ユーチューブで見つけたご機嫌なバンドのCDを買おうと思うと、「配信のみ」ということがよくある。それは現代の常識だ。日本はまだCDを売っている珍しい国だということくらいは知っている。

 家電販売店に行くと、録音用CDだけでなく、DVDやブルーレイも棚が縮小されているのに気がつく。これも「配信」のせいか。そういえば、CDプレーヤーをアマゾンで探すと、持ち運びができる小型のものが主流で、そもそもセパレートステレオをほとんど売っていない。CDデッキがなく、スマホの音源を再生することになっているらしい。かつて大量に生息していたオーディオマニアは、若い世代に伝承されていないだろうなあ。「ステレオ・コンポ」なんて、死語だな。でも、高いヘッドフォンを買う若者は、いるなあ。

突然ですが、「雑話」の連載が始まったばかりだというのに、ほんのちょっと、日本を離れることになりました。安い航空券を探していたら、すぐ出発なら安いということがわかり、すぐさまAmex Gold Cardで予約。もちろん、寒い場所には行きません。物価の高いところには行けません。治安の悪い場所や警官や軍人や公安が幅を利かせている国に行く気はありません。

 じゃあ、また。