2366話 マレー紀行 2025 35 博物館

 クアラルンプールの国立博物館は、たぶん過去2回来ていて、「まあ、つまらん」という印象しかないが、「21世紀になって多少マシになったか」というかすかな期待を込めて行ってみたが、あいかわらずだ。入口に置いてあった人力車が館内に移っていたが、だからといって、どーということはない。

 スッカスカの展示だ。政府あるいは社会は、超高層ビルとピカピカのモスク建設には熱心だが、文化の記録や保存や研究には無頓着としかいいようがない。マレーシアの博物館がつまらない理由は、マレー人は過去に頓着しないというのは1点、もう一点はマレー人優先政策があるため、人々の歴史や文化に関する博物館が作りにくいから。もちろん、この考察は素人の妄想である。

 国立博物館に起こった唯一の変化は、入り口前に地下鉄駅ができたことだ。以前は、それはもうひどいアクセス事情だった。クアラルンプール駅から歩いて博物館に行こうとすると、高速道路の側道を歩き、必死に横断してやっとたどり着くという命がけの散歩だった。おそらくバス停は近くにあるのだろうが、歩けばすぐの所に行くのが大変な街がクアラルンプールだ。

 国立博物館の裏口を出てすぐのところに、似たような博物館がふたつある。「国立博物館とは関係はなので、入場料は別途お支払いください」の掲示がある。インターネットでさえわずかにしか紹介されない博物館とは、このふたつだ。

 Muzium Etnologi Dunia Melayu(マレー民族博物館)と

 Muzium Seni Kraf Orang Asli(先住民工芸博物館)。

 先住民の仮面がちょっとおもしろかったので、いくつか紹介する。

 巨大ショッピングセンター「パビリオン」近くの、Craft Cultural Complexはお土産店だったような気がするが、よく覚えていない。散歩のつもりで手工芸品を見に行ったのだが、たどり着けない。以前は何もない更地を歩いて裏口から入ったのだが、そこに真新しいビルが立ち並んでいる。正面入り口に行くには、とんでもない回り道だから、なんかいい抜け道はないかとビルの周りで話しこんでいる人たちに相談すると、「あそこ、ビルの間に抜け道があって、裏手に回れるよ」と教えてくれた。やはり、聞いてみるものだ。

 「この抜け道を歩いていて事故にあっても、一切の責任を負いません」という表示の前を歩いていく。
 このコンプレックスは、お土産屋という記憶は正しかったが、手工芸品の制作過程を映像で紹介しているから、1時間ほど遊ぶことができた。

 こういう展示物はおもしろくないが、さまざまな手工芸品の制作過程を動画で見せてくれるから動けなくなる。農作業も料理も工芸も、道具が置いているだけではよくわからない。どういう作業をするのか動画で見せてくれると、興味が深まる。