2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

94話 インドと古本屋

インドではいくつものカルチャーショックを受けたが、物の値段が決まっていないという習慣には当初とまどった。値段が決まっていないというのは、定価というものがなく、正札がついていないということだ。 たとえば、布を買おうとする。 「これ、いくら?」…

93話 傍流のおもしろさ

私は酒はいっさい飲まないが、口に入れるもの全般には興味がある から、酒の本も一応目を通していたこともあるが、どうも趣味にあわない。世界の食べ物の本なら、屋台の料理も市場の立ち食いも取り上げるが、こと酒となる と、格好をつけて、権威が前面に出…

92話 平凡出版と東南アジア

『証言構成「ポパイ」の時代 ある雑誌の奇妙な航海』(赤田祐一、太田出版、2002年)は、1970年代から80年代に出版文化を知る上で、貴重な資料が詰まっているというだけでなく、読み物としてもよくできている。 この本を読んでいて、「へえ、そう…