2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

848話 韓国、女のひとり酒 その3

ひと皿は何人前? このドラマは、やはり、筋のあるドラマにしないと番組が成り立たないと考えたようで、普通のドラマに飲食シーンが長めに入るという構成になっている。日本のように、料理のアップと、ただ食べているだけのシーンだけで完結させるというのは…

847話 韓国、女のひとり酒 その2

韓国OLは、ひとりで飲むか? ひとりで食事をしても「哀れな人」と思われる韓国で、「女が、ひとりで、酒を飲む」ドラマは、どういう設定にすれば成立するのか。そういう興味でこの韓国ドラマを見た。 結論を先に言えば、そういう設定は韓国ではやはりかな…

846話 韓国、女のひとり酒 その1

韓国版「ワカコ酒」 『ワカコ酒』は、新久千映(しんきゅう・ちえ)作のマンガで、2011年から雑誌連載が始まった。OLがひとりで酒を飲み歩くというもので、明らかに『孤独のグルメ』の女版であると同時に、『孤独のグルメ』の主人公は酒を飲まないので、『…

845話 旅のノート

旅行の時に使うノートは、最初は何も考えずに手帳を買い、旅先で足りなくなったら文具屋に行き、適当なノートを買っていたのだが、日本以外では「適当な」ノートなどほとんどなく、大きさや紙質にかなりの不満を抱いていた。日本で暮らしていると何とも思わ…

844話 「これは男だけなのかもしれませんが・・・」

三代目桂米朝は生き急いだらしい。2015年に90歳で亡くなったのだから、「生き急ぐ」も何もないだろうと思うかもしれないが、急いで生きたことは確かだ。 落語好きの青年中川清が三代目桂米朝になったのは1947年だった。当時の上方落語は消滅寸前の状態だった…

843話 吉田集而さん、それはちょっと変ですよ

古本屋で、こんな本を見つけた。私は酒を飲まないので興味もなく、新刊をチェックしてなかった。『酒がsakiと呼ばれる日―日本酒グローバル宣言』(玉村豊男・吉田集而編、タカラ酒文化研究所、2001)という本だ。 アメリカで、日本酒のsakeがどのような理由…

842話 神保町で火野葦平に出会う  その10

朝日新聞社版の『赤い国の旅人』を買った理由のひとつは、北朝鮮の旅行記があるとわかったからだ。1955年に、北朝鮮支持者ではない日本人の手による旅行記があるなら読みたいと思った。この本には、「板門店」と「北鮮女性点描」の2作が収められている。 ア…

841話 神保町で火野葦平に出会う  その9

中国旅行の話は、原稿用紙300枚で書ききることができると火野は考えた。しかし、書いているとどんどん伸びて、終わらなくなった。全行程は書かないまま単行本にしている。その理由は、「これならこれでいいいか」と思い、加筆して合計300枚程度で一応の完了…

840話 神保町で火野葦平に出会う  その8

火野葦平の一行はインドを出て、香港の新楽大酒店(シャムロックホテル)にいる。私の記憶にも残るホテルで、現存。なぜ香港にいるのかという事情を、『赤い国も旅人』から、火野自身の文章で語ってもらおう。 「四月六日から十日まで、インドのニュー・デリ…

839話 神保町で火野葦平に出会う  その7

すごろくの「振り出しに戻る」である。火野の著作に、「インド旅行記」というようなタイトルの本は見つからない。そこで、さらに調べると、朝日新聞社版の『赤い国の旅人』(1955)に、インドの紀行文が3編収められていることがわかった。『アメリカ探検記』…

838話 神保町で火野葦平に出会う  その6

関西大学が出している『東アジア文化交渉研究』という論文集の3号に、「火野葦平『中国旅日記』(1955年4月)翻刻」(増田周子)という論文があるのを見つけた。火野の旅のしかたがよくわかる。火野が小さな手帳に克明に書いていた旅日記を活字におこし、注…