1690話 タイのちょっとうまいもの その4

粥と新巻鰆 一品料理ではないが、「あれ、なかなかうまかったな」と思う食べ物がある。 1990年代前半は、タイで音楽三昧の日々を過ごしていた。連日のごとく歌謡ショーやライブハウスを巡り、深夜まで音楽を浴びた。ショーが終わり、日付けが変わった路上に…

1689話 タイのちょっとうまいもの その3

ヌア・ヤーン 後編 前回、タイ東北部を意味する語の発音は、ウィキぺディアなどが書く「イーサーン」ではなく、「イサーン」だと書いた。私のブログを読む人はあまりに少ないので、ウィキペディアが訂正されることはないが、この単語の発音を示しておく。タ…

1688話 タイのちょっとうまいもの その2

ヌア・ヤーン 前編 タイの食べ物を思い浮かべていたら、いくつもの映像が出てくる。この話、長くなりそうな予感がする。 タイ人なら誰でも知っている料理だが、いざ食べに行くとなると、あらかじめ情報を得ていないと、どこで食べられるかわからない料理があ…

1687話 タイのちょっとうまいもの その1

カポプラー 外国旅行をしていて、すしやラーメンが頭に浮かび、よだれを垂らすというようなことはない。日本料理が嫌いというわけでは決してないが、すしよりも餃子の方が食欲をそそる。そして、餃子や焼きそばといった特定の料理よりも、「ああ、いいなぁ・…

1986話 方言とドラマ その2

関西弁全開の映画はいくつもあるが、「ガキ帝国」(1981)などは監督が井筒和幸だから、なまぬるい関西弁しかしゃべれない役者は使っていない(と思う)。関西でロケした映画に「阪急電車 片道15分の奇跡」(2011)は、おもしろかったという記憶がある。出…

1685話 方言とドラマ その1

2021年にNHKBSで放送したドラマ『白い濁流』を見た。まるで大映ドラマのようなおおげさな音楽と話の展開で、NHKの放送なのだが調べてみれば、制作はフジテレビの子会社FCC(フジクリエイティブコーポレーション)だとわかった。私が疑問に思ったのは京都が舞…

1684話 日本語人 その3

おばさんだけでなく、おじさんの日本語もいろいろな場所で聞いた。太魯閣(タロコ)は台湾有数の景勝地で、渓谷を徒歩で登った。早朝出発で、梨山に着いたときはもう夕方だった。広場の椅子で休憩していると、ワイシャツ姿の中年男性が近寄ってきて、「日本…

1683話 日本語人 その2

前回の、台湾の「ご婦人」の日本語のことを書いていて、突然、富岡製糸場での出来事を思い出した。富岡製糸場は1872年操業を開始し、1987年に停止した。私が取材のために訪れたのは1980年代なかばだから、まだ操業を続けていた。取材といっても、工場の外観…

1682話 日本語人 その1

昨年末に、ライターの前原利行さんに格安航空券業界史を書いてほしいと書いた。その前原さんから返信があり、「その業界には興味がないので、あしからず」ということだった。執筆は断られたが、私の研究資料として『地球の歩き方30年史』(峰如之介、ダイヤ…

1681話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その29

最終回 若者の旅の歴史研究を いままで、28回にわたって、1970年前後の旅行事情を少し書いた(「少し」じゃないか)。もう30年も前から、戦後日本人の海外旅行の歴史を調べてきたが、いまだにジグソーパズルの大きくて非常に重要なピースが埋まらないままだ…

1680話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その28

戦後旅券抄史 6 2022年4月に私のパスポートの有効期限が切れるから、更新しなければいけないのだが、なかなか体が動かない。前回の、嫌な記憶があるからだ。その話に入る前に、2冊目のパスポートの写真の話をしておこう。 私にとって2冊目となる1978年発…

1679話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その27

戦後旅券抄史 5 私が作った旅券関連年表から、興味ある項目を書き出してみる。本文レイアウトがおかしいが、私の能力では修正できないので、あしからず。 1977.9.28 バングラデシュのダッカで、日本赤軍によるハイジャック事件が起こった。この時代世界各地…

1678話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その26

戦後旅券抄史 4 JCBカード、メルカリ、アマゾンなどの「なりすましメール」が続々と、かつ、しつこく着信しています。皆さま、ご注意を。 というところで、パスポートの話の続きを。 私が初めてパスポートを取ったのは1973年だった。その当時、どうやったら…

1677話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その25

戦後旅券抄史 3 1970年の「一般旅券発給申請書」に記入しなければいけない項目は、現在とはまったく違う。大時代がかっている。こうだ。驚くぞ! 氏名のあと、性別、既婚か未婚の別、身長、「外見上の顕著な特徴(ない場合は記入不要)」、本籍地、そして、…

1676話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その24

戦後旅券抄史 2 旅券発給申請書の話から始めよう。 『実用世界旅行』(杉浦康・城厚司、山と渓谷社、1970)に、「一般旅券発給申請書」の表面(おもてめん)のコピーが載っている。これは、私が申請した書類とあまり変わっていない。 パスポートは大別して、…

1675話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その23

戦後旅券抄史 1 パスポートの戦後史を知りたかった。 この話を、1回読み切りのコラムにしようかとも考えたが、一次旅券も知らない人が多くなったから、この機会に長編を書いてみようと思う。 パスポートの歴史を少し調べると、あまりに変化が激しく、「まあ…

1674話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その22

『ヨーロッパ鉄道の旅』をめぐるあれこれ 4 横浜から船で出てシベリア鉄道・モスクワそしてパリまでのツアー代金と、日本からパリ往復の格安航空券代金とそれほど変わらない値段だった1975年当時、それでも船を使った人の話だ。格安航空券の存在を知らなかっ…

1673話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その21

『ヨーロッパ鉄道の旅』をめぐるあれこれ 3 林芙美子がシベリア鉄道に乗った1930年代、ヨーロッパをめざす鉄道の旅は船旅よりも安くて早かったという話はすでに書いた。それでは、ナホトカ航路が始まった戦後はどうだったのか知りたくなった。 1963年発行の…

1672話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その20

『ヨーロッパ鉄道の旅』をめぐるあれこれ 2 前回旅行ガイドの話を書くなかで、”International Youth Hostel Handbook”の名を出した。国際ユースホステル協会が発行している冊子だ。画像検索すると立派な本の体裁だが、私が東京有楽町のそごうの中にあったユ…

1671話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その19

『ヨーロッパ鉄道の旅』をめぐるあれこれ 1 このコラムは、蔵前さんの「旅行人編集長のーと」で紹介していた『ヨーロッパ鉄道の旅』(山本克彦、白陵社、1969)について、ちょっと書くだけの予定だったが、若き漫画家が日本を出た1972年当時の旅行事情なども…

1670話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その18

シベリア鉄道と林芙美子 戦前期にシベリア鉄道でヨーロッパに向かった有名人は何人もいるが、そのなかでもっとも知られているのは林芙美子だろう。林芙美子関連の本は、旅行記研究のために何冊も読んでいるのだが、棚を探してもすぐには見つからない。そこで…

1669話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その17

続1970年 私が作った旅行史年表の「1970年」の項に、「パリ三越開店」とあり、今回それに付け加えて、「ストアーズレポート編集長椎名誠海外初取材にして、初の外国体験」と加筆した。しかし、気になることがあった。椎名誠の初めての外国体験に関して、『屋…

1668話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その16

1970年 日本人の海外旅行年表というのを作ってある。元はワープロ専用機で作ったもので、単行本1冊分くらいの量があった。その後、パソコンのワードに打ち変えて縮小版にした。 その1970年の項を見ていて、「おや?」と思った。原稿を書いた私がすっかり忘…

1667話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その15

地方在住者および県庁所在地から遠く離れた土地に住んでいる(気の毒な)人たち 4 「地方在住者の海外旅行」というテーマを考えていて、前回パスポートの申請や受理がめんどくさいだろうという話を書いた。北海道や離島に住んでいる人は、パスポートの申請と…

1666話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その14

地方在住者および県庁所在地から遠く離れた土地に住んでいる(気の毒な)人たち 3 「ビザは隣国で取れ」というのは原則だが、仲が悪い国同士だと簡単にはいかない。ケニアでタンザニアのビザはなかなか取れなかった。ケニアとタンザニアの関係史をきちんと話…

1665話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その13

地方在住者および県庁所在地から遠く離れた土地に住んでいる(気の毒な)人たち 2 どこに住んでいようと、旅行情報が手に入り、航空券が手に入るようになったのは、インターネット時代に入ったここ10年か15年くらいだろうか。パソコンを使って、自宅で世界の…

1664話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その12

地方在住者および県庁所在地から遠く離れた土地に住んでいる(気の毒な)人たち 1 1970年代、私は東京をふらふらしていた。何かおもしろそうなことはないかと探している若者がいる場所に出没し、すでに書いたようなミニコミやパンフレット類を手に入れ、実際…

1663話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その11

若大将の海外旅行 加山雄三の東宝映画「若大将」シリーズは、荒唐無稽な青春映画という印象を与えるかもしれない。スポーツ万能で後半は学業優秀という若者の話なのだが、海外旅行史の史実という点では、かなりのリアリズム映画なのである。現実味のある夢物…

1662話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その10

1990年の格安航空券事情 前回、1975年の格安航空券情報を少し書いた。引き続き1980年代の資料がないか探したが、ない。多分、大捜索隊を派遣して、1980年代の「オデッセイ」のバックナンバーを引っ張り出せばわかるのだろうが、手元にあるのは『異国憧憬』執…

1661話 「旅行人編集長のーと」に触発されて、若者の旅行史を少し その9

ミニコミの旅行情報 1970年代に集めたミニコミやパンフレットのたぐいは、段ボール箱いっぱいくらいたまっていたが、1980年代初めにアフリカに行く直前に、勝手にオデッセイ編集部に寄贈した。アフリカに行くと、悪くすると命を落とすかの知れないという不安…