1281話 つれづれなるままに本の話 6

大阪 どうも、だんだん、新書がインチキ臭くなってきた。すでに触れた阿古真理の本だけでなく、売るためのタイトル偽装(内容と違うタイトル)や、意識的な誤記、あるいはミスリードといったものだ。 では日常なのだが、ある物事の由来や語源を説明するとき…

1280話 つれづれなるままに本の話 5

日本を旅したチェコ人 その2 オーストリア・ハンガリー帝国の旅行者が書いた『ジャポンスコ』の話を続ける。 著者ヨゼフ・コジェンスキーは、日本旅行の便宜をはかってもらおうと、帝国ホテルのなかにあるオーストリア・ハンガリー大使館を訪問した。日本に…

1279話 つれづれなるままに本の話 4

日本を旅したチェコ人 その1 1976年に駐プラハ日本大使となった鈴木文彦の楽しみは散歩だった。大使館近くの古本屋に立ち寄ると、店主がにっこりして、2階から分厚い2冊の本を持ってきて、差し出した。日本語にすれば「世界一周旅行 1893~94年」という意味…

1278話 つれづれなるままに本の話 3

長崎出島 江戸時代の外国語学習について調べてみたくなった。オランダ語や蘭学関連の資料はいくらでもある。大阪の適塾でオランダ語を猛勉強した福沢諭吉は、横浜で外国人にオランダ語で話しかけても通じず、「あああ、オランダ語を学ぶなんて、無駄な時間を…

1277話 つれづれなるままに本の話 2

パンの話 30冊ほどの本が、机の上にのったままになっている。整理するにしても、行先に空きがなく、空席待ちの状態だ。昔なら机の上に置いたままにしているのは辞書類だったが、今は『世界のパン図鑑』(総監修:大和田聡子、平凡社、2013)が、いわば「座右…

1276話 つれづれなるままに本の話 1

エスニック料理店 久しぶりに本の話をしてみようか。書評とか紹介というようなものではなく、本を巡るもろもろの話だ。 『パクチーとアジア飯』(阿古真理、中央公論新社、2018)は、そのプロローグで、日本の食文化の変化や世界の政治・経済の動きをふまえ…

1275話 デジタルカメラ

今は、3代目のコンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)を使っている。デジタル一眼レフカメラは高くて重いから、買う気はそもそもなかった。生涯、もうカメラは買わないものだと思っていた。だから、最初のデジカメは買ったのではなく、もらったものだ。200…

1274話 捨てるもの フィルム式カメラ

職業として写真を撮る写真家とかライターでなくても、中高年ならフィルム時代のカメラをまだ持っているだろう。これも、もうゴミだ。 私の場合、職業的に写真を撮る必要があるので、まったくの素人よりは撮影機材がそろっている。フィルム式カメラは、一眼レ…

1273話 捨てるもの タイ音楽のカセットテープ その2

カセットテープで出ていた音源は、一部はCD化されたが、地方の音楽や昔の音源はCD化されずに消えた。そして、CDそのものが時代遅れになった今、おそらく私の手元にあるカセットテープは貴重なものになっているかもしれない。いや、「貴重」というのはどうか…

1272話 捨てるもの タイ音楽のカセットテープ その1

もうそろそろ、カセットテープを捨てようかと考え始めた。 タイ音楽とタイ人について本を書いてみたくなったのは、1990年代初めごろだっただろうか。一般的に、音楽の本は、音楽を送り出す側の事情を調べて書くものだ。ミュージシャンとかプロデューサーや作…

1271話 捨てるもの 古新聞と本の山脈

プラハの旅行記を書き終えたので、棚に詰めた本を移動させないといけない。今までは、台湾の本でもイタリアの本でも、用が終われば床に積んでいたのだが、もうそういう余裕がない。だから、まず、本棚の不要資料を処分して、そこにチェコの資料を移し、あい…

1270話 プラハ 風がハープを奏でるように 79回

最終回 幸福な時 ブログの旅も、今回で終わる。 チェコを旅したのは2018年の9月から10月のひと月ほどで、プラハの旅物語第1回は11月1日の公開だった。20回くらいで終わろうと思っていたが、予定に反して80回近く書くことになってしまった。この半年ほどプラ…

1269話 プラハ 風がハープを奏でるように 78回

最終章 落穂ひろい 3 ■スメタナ・・・チェコの有名作曲家と言えば、ドボルジャークとスメタナだろう。現場で聞いてみようかという思いつきで、我がウォークマンに楽曲を入れておいた。初めて聞く曲はない。スメタナといえば、交響曲「我が祖国」が有名で、と…

1268話 プラハ 風がハープを奏でるように 77回

最終章 落穂ひろい 2 ■パン屋・・・スーパーのパン屋で、観察者になった。日本にも多くあるインストアベーカリー、客が勝手にパンを選んでレジに持っていくというタイプのパン屋で、客はどうやってパンを買うかだ。 日本なら、大抵は片手にトレイを持ち、好…

1267話 風がープを奏でるように 76回

最終章 落穂ひろい 1 プラハの話を書き始めたころは20回程度で終わるだろうと思っていたが、書けばわからないところがどんどん出てきて調べ始めて、ついつい長くなった。そろそろ店じまいとしよう。最後に「落穂ひろい」として、1回で書くには短いメモをいく…

1266話 プラハ 風がハープを奏でるように 75回

墓を探す ビシェフラド地区に行ってみた。城跡や墓地がある地区だ。きつい坂道を登って丘の上の城跡に出た。ここからプラハの東側が見渡せる。その眺望を求めてここに来たのではないが、予想していなかった収穫だ。 城門をくぐると、城跡。 あまり知られてい…

1265話 プラハ 風がハープを奏でるように 74回

グランドホテル 昼前に、チェコ南部のチェスケー・ブディエヨビツェに着いた。Budějoviceという地名は、アメリカでBadweiserというビールの名前になった。ビールの街だが、酒を飲まない私にはどうでもいいことだ。 駅前のホテルに行って空き部屋を確認した。…

1264話 プラハ 風がハープを奏でるように 73回

映画を見る その3 言語学者黒田龍之介の『物語を忘れた外国語』(新潮社、2018)のなかに、「外国語・シネマ・パラダイス」という章がある。「日本にいて外国語に触れたくなったとき、わたしは本を読むか、映画を観る」と書いている。ある言語が使われてい…

1263話 プラハ 風がハープを奏でるように 72回

映画を見る その2 帰国して、アマゾンをチェックした。チェコ映画のDVDを安く売っているかどうかのチェックだ。「安く」というのは、内容がまったくわからないで注文するなら安いに越したことはないという判断だ。 「プラハ」という映画が見つかった。”Prah…

1262話 プラハ 風がハープを奏でるように 71回

映画を見る その1 散歩をしていて映画館を見つけたので、ロビーに入って上映中の作品を点検した。チェコ映画を見たいのだが、製作本数はそれほど多くない国だろうから、私の滞在中にうまい具合に見ることができるかどうか不安に感じつつ、上映作品リストを見…

1261話 プラハ 風がハープを奏でるように 70回

ティナと その5 その日もティナとしゃべっていた。彼女の夕食は、たいてい肉と野菜とご飯だった。「パンより、ご飯が好きなの」といって、ステンレス鍋でじょうずに炊いていた。かなり多めに作っていたのは、夕食と翌日の弁当の2食分作っていたからだ。堅実…

1260話 プラハ 風がハープを奏でるように 69回

ティナと その4 日本人がフランスにあこがれを抱いたのは、戦後からではない。フランスへのあこがれは、明治時代に絵画や文学などに始まり、次は映画だった。「巴里の屋根の下」(ルネ・クレール)は、日本最初のトーキーのフランス映画だった。1931年の公開…

1259話 プラハ 風がハープを奏でるように 68回

ティナと その3 その日の雑談会は、言葉をテーマにして始まった。彼女の母語はフランス語で、北部で使われているオランダ語も、ドイツ語もある程度わかる。英語は、文献を読んだりするのには不自由はないが、会話が問題だといった。 「イギリス人なんかと話…

1258話 プラハ 風がハープを奏でるように 67回

ティナと その2 「さっきの子供の通学の話だけど、違うと思うんだ・・・」とティナが言った。話題がどんどん変わる世間話と、ティナに教えてもらうベルギーの話の2本立ての雑談会だから、話題がどんどん変わる。通学の話というのはこういうことだ。 プラハの…

1257話 プラハ 風がハープを奏でるように 66回 

ティナと その1 夜9時過ぎごろだっただろか、宿のリビング&ダイニングで、私はひとり、テレビを見ていた。このブログの1217話で書いたように、チェコ音楽事情を調べているときだ。ドミトリーのない宿だから、客数は少ない。シャワーやトイレは共用だが、順…

1256話 プラハ 風がハープを奏でるように 65回

コーヒー 前回で食文化の話を終える予定だったが、コーヒーの話をしていなかったのに気がついた。チェコのコーヒーについて、ちょっと書いておきたいことがある。 私はコーヒーは大好きだが、エスプレッソが苦手なので(日本のコンビニ・コーヒーも薄すぎて…

1255話 プラハ 風がハープを奏でるように 64回

チェコの食文化 その8 外国料理 4 今回も、食べ物図鑑を。プラハで普通に食べることができるのはこういう料理だというちょっとした図鑑だ。プラハでは、チョコ人も外食では毎食チェコ料理を食べているわけではないようだとわかり、私も何でも食べることにし…

1254話 プラハ 風がハープを奏でるように 63回

チェコの食文化 その7 外国料理 3 食べ物関連の写真をだいぶ撮った。今回と次回の2回に渡って、食べ物図鑑をちょっと展開したい。今回は、「あ~、うまかったなあ」と「あ~、それ、食いたかったなあ」という食べ物の話。 感動的にうまかったのが、この店。…

1253話 プラハ 風がハープを奏でるように 62回

チェコの食文化 その6 外国料理 2 マクドナルドがチェコに初めて出店したのはいつなのか、調べてみた。チェコ・マクドナルドのHPで、1992年に最初の店が営業を始めたとわかった。1989年のビロード革命のすぐあとだとわかる。それ以外にも興味深い情報が目に…

1252話 プラハ 風がハープを奏でるように 61回

チェコの食文化 その5 外国料理 1 このブログ「アジア雑語林」では、プラハの外国料理として、1503話でベトナム料理を、1205話ですしについてすでに書いた。ここではその続きを書く。 共産党時代からプラハにあるファーストフード店は、大きなホットドッグpa…