1766話 アメリカ・バス旅行1980 その13(最終回)

最期に、映画の話を少ししておこうか。 アメリカに行ったら、ぜひ見たいと思っていた映画が2本ある。1本はジャニス・ジョプリンをモデルにした「ローズ」。主演はベッド・ミドラー。製作は1979年だが、日本で公開されたのは帰国後の80年の末だった。「ブル…

1765話 アメリカ・バス旅行1980 その12

例によって、知り合いの知り合いの知り合いという極細の糸をたどって、ニューヨーク市立大学の心理学教授と知り合った。彼は、もともとは放送局の機械技術者だったが、バングラデシュで技術教育をしていたことがある。そのとき、異文化と心理といったテーマ…

1764話 アメリカ・バス旅行1980 その11

ニューヨークで小さなラジカセを買った。遅ればせながらインタビューを録音するためだが、録音を聞いたらよく理解できるというわけではないので、もっぱらラジオを聞いていた。 ニューヨーク滞在中はいつもラジオで音楽を聞いていた。ありがたいことに、24時…

1763話 アメリカ・バス旅行1980 その10

NHKBS「世界のドキュメンタリー ブロードウェイ ミュージカルの街の半世紀」を見た。ブロードウェイ界隈の変遷とそこで繰り広げあられたミュージカルと演劇の戦後史をコンパクトにまとめてあり、いい出来だと思う。ブロードウェイミュージカルにほとんど興味…

1762話 アメリカ・バス旅行1980 その9

そのジャクソンが、「日程の問題」ということで取材できなかった人がいた街だ。 木曜日の夜、ミシシッピー州ジャクソンに着き、金曜日に先方に電話したら、「来週月曜日の朝にならないと来週のスケジュールが決まらない」というので、月曜日にまた電話するこ…

1761話 アメリカ・バス旅行1980 その8

Whopperとは、「バカでかい物」という意味の単語だが、バーガーキングのバカでかいハンバーガーの商品名でもある。私はハンバーガー事情に疎いのだが、多分マクドナルドのビッグマックに対抗する商品なのだろう。 今、ネットでバーガーキングのワッパーを調…

1760話 アメリカ・バス旅行1980 その7

1980年の取材旅行では、ガイドブックは持っていなかった。観光旅行ではないので、英語の旅行ガイドを買っても使わないと思ったからだ。資料は小さな地図だけ、ノートには取材先の住所を書いていた。インタビューしても、メモを取らない。話を聞いたら、でき…

1759話 アメリカ・バス旅行1980 その6

バスに食べ物や飲み物の持ち込みが禁止されていたとは思えないのだが、少なくとも私は何も持っていなかった。いまなら、ペットボトル入りの水が常にバッグに入っていると思うのだが、あのころは小さな子供を連れた親でもなければ、アメリカ人は水を持って移…

1758話 アメリカ・バス旅行1980 その5

◆刺身 ニューヨーク市まであと数時間というあたりだから、ペンシルバニア州の街だろう。満席に近い状態で、私の隣りの席に座ったのは20代前半くらいの黒人女性だった。しばらく雑談した後、私が日本人だと知ると、「前から気になっていることがあるんだけど…

1757話 アメリカ・バス旅行1980 その4

1980年のアメリカ取材旅行中に出会った食べ物で、「あれはうまかったなあ」というものはほとんどない。「ちょっといいね」という程度ならいくつかあり、その中のベストはコーンチップスかもしれない。トウモロコシの粉が原料のポテトチップス状のもので、ア…

1756話 アメリカ・バス旅行1980 その3

長距離バスには貧乏人と軍人が乗っていた。軍人は入除隊や休暇で、自宅から部隊へ、部隊から自宅への移動に利用していたのだ。だから、アメリカ映画の兵隊モノには、グレイハウンドバスがよく登場する。刑務所から出所するシーンにも、グレイハウンドバスの…

1755話 アメリカ・バス旅行1980 その2

グレイハウンドバスに乗っているのは、貧乏人と軍人と旅行者だった。有色人種率は高かったと思う。あのころのバスの車内風景が脳裏に浮かび、思い出すことがいくつも沸き上がってきた。 運転手は出発のアナウンスのあと、必ずしゃべていたのは、「タバコ以外…

1754話 アメリカ・バス旅行1980 その1

録画したままになっていた「ワールド・トラック・ロード」(NHK)を見た。アメリカの番組の日本語版ではなく、日本のオリジナル番組だが、長距離トラックの助手席に乗せてもらって旅をするという番組は、日本のBSでも放送していたから、企画に目新しさはない…

1753話 旅行費用の支払い方

トラベラーズ・チェック(TC)といっても、旅行用小切手といっても、若い人には何のことかわからないだろうが、サインをすれば現金のように使える小切手だ。クレジットカードも持てない旅行者や、持っていてもカードが使えるような宿には泊まらないという個…

1752話 行きたくなる博物館はあるか

名所旧跡に興味がないし、USJなどの施設にも興味がない。では美術館や博物館はどうか。美術に関心がないから、どのような分野であれ、行く気はない。博物館も、東京・京都・奈良・九州の国立博物館は実は美術館で、それが「国宝」であれ、「国宝クラス」であ…

1751話 日本の旅 余話 カメラマン

昔むかしの能登取材旅行を思い出しながら文章を書いていたら、さまざまな思い出がよみがえり、そのなかに「カメラマン」にまつわる話もいくつかある。 能登ボラ取材とは別の機会に、輪島の朝市取材に行った。撮影前日に打ち合わせたように、夜明け前の暗いう…

1750話 日本の旅 下

その昔に体験したある旅の話をいつか書きたいと思っていたが、それがどこのことか思い出せないでいたのだが、天下のクラマエ師のツイッター(5月26日)に、能登・穴水町の「ぼら待ちやぐら」の記事が出ていて思い出した。そうだ、そこだった。 ボラの取材で…

1749話 日本の旅から 上

その年の4月は北海道にいた。取材旅行だ。知床の羅臼(らうす)に行った。ちょっと山に入ると、まだ雪があった。羅臼のあと南下し、尾岱沼(おたいとう)に行った。午後標津(しべつ)に戻り、遅い昼飯をとろうと店を探し、食堂に入った。壁に貼ってあるお…

1748話 日本国内旅行

日本国内をあまり旅していないのは、日本ではつましく暮らし、そのカネで外国の取材資金資金にしたいという基本方針があったからだが、日本にあまり関心がなかったからともいえる。私は風光明媚・神社仏閣・名所旧跡にはほとんど興味がなく、街をただほっつ…

1747話 都道府県

たまたま古本屋で益田ミリの本を見つけた。安いし、旅行記なので買ってみた。『47都道府県 女ひとり行ってみよう』(幻冬舎文庫、2011)なのだが、「女ひとり」で思い出したのはその昔、旅行人編集室でスタッフと旅行記のあれこれをしゃべっていたら、国会図…

1746話 ドイツとロシアの間の国々 その2

プラハで出会ったジョージアからの留学生は、ソビエト、ロシア、共産主義が嫌いで、会話のあちこちにその感情が現れてくる。ヨーロッパで21世紀最初の戦争と言われる南オセチア紛争(別名ロシア・グルジア戦争)があったから、ロシアは彼にとって現在の問題…

1745話 ドイツとロシアの間の国々 その1

あれは多分、今年の2月20日ごろだったと思う。ラジオを聞いていたら、ジャーナリストの青木理が、こんなことを言っていた。 アメリカは、ロシア軍がウクライナに侵攻するなどと言っているが、そんなウソにだまされてはいけません。ロシアがウクライナに攻め…

1744話 初めての沖縄

大雪の京都から大阪西成に出て数日滞在し、大阪南港から沖縄行きの船に乗ったのは1975年2月だった。「前回沖縄に行ったときはパスポートを持っていてね・・」という話を船客から聞いた。その時の旅が沖縄の本土復帰3年後だという知識はあったが、到着した沖…

1743話 沖縄復帰50年雑話

パスポート? 沖縄復帰50年記念番組が数多く放送されている。そのなかで、「復帰前は、沖縄と日本本土間の渡航にはパスポートが必要でした」という話が何度も紹介されているが、旅行史研究者としては、「それは、ちょっと違うなあ」と言いたくなる。 日本人…

1742話 大阪の天ぷら定食

神保町の天丼の話を書いていたら、大阪の天ぷらを思い出した。 初めて天神橋筋を歩いたのは、天六(天神橋筋六丁目)にある大阪市立住まいのミュージアムに行った時だ。館内に江戸時代の長屋が作ってるのだが、ここに来る最大の楽しみは、桂米朝師匠のやさし…

1741話 神保町の天丼

前回、神保町古本屋巡りの話で「昼は天丼だ」と書いたいきさつは、日ごろよく神保町を歩いている人や、あの近辺で仕事をしている人たちなら、私の連想がわかったかもしれない。 神保町といえば、今ではカレー屋激戦区で、古本屋がラーメン屋に変身した例も多…

1740話 神田神保町散歩 下

神保町の東京堂書店は、立花隆など、小説家やライターなどのエッセイによく出てくる書店で、私の好みにも合う本が多い。出版関係書とか出版業界内幕本が揃っているというわけではない。おそらく、タレント本とか自己啓発本とか健康とか栄養といった売れ筋ベ…

1739話 神保町散歩 中

かつて、神保町に出かけるのは「買い出し」だった。職業的書き手、つまりライターになる前から、デイバッグを背に神保町や高田の馬場の古書店街に行けば、十数冊は買っていた。古本屋歩きをする者の共通認識なのだが、「見つけた本は一期一会、再会できる可…

1738話 神田神保町散歩 上

今年初めて上京し、神保町をうろついた。連休中にわざわざ出かけたのは三省堂神保町店が「老朽化」のため建て替えることになり、最後の営業が5月8日だと知ったからだ。あの店舗に深い思いはないが、新店舗が完成するまで生きているかどうかわからないので…

1737話 台湾 メニューを読む

台湾に「冰果室」(ピングォスー)という飲食店がある。ほかに、「冰菓室」、「冰果店」、「冰菓店」という表記もあるらしい。狭義には「かき氷屋」だが、冬に軽食も出す。喫茶店など台北のような大都市のホテルにしかなかった時代、このかき氷屋は喫茶店の…