1305話 スケッチ バルト+三国ポーランド 24回

ソビエト時代のエストニア展から その4 バナナ ソビエト時代のエストニア展会場にあるいくつかあるモニターに、50代くらいの男がしゃべっているものがある。モニターの言語ボタンは、エストニア語、ラトビア語、英語、ロシア語とあり、そのすべてを本人がし…

1304話 スケッチ バルト三国+ポーランド 23回

ソビエト時代のエストニア展から その3 玄関 この写真を撮ったときにはまだ気がついていなかった。日本人には変ではないからだ。 室内履き用に、オレンジ色のビーチサンダルが置いてある。 エストニアのタリンに着いて、宿探しを始めた。スマホを持っていな…

1303話 スケッチ バルト三国+ポーランド 22回

ソビエト時代のエストニア展から その2 KALI 「ソビエト時代のエストニア展」の会場前に、黄色いタンク車が止まっていた。展示場唯一の職員は、このタンクの前で、何かの飲み物も売る販売員でもある。両方の仕事ができるほどヒマだということでもある。 こ…

1302話 スケッチ バルト三国+ポーランド 21回

ソビエト時代のエストニア展から その1 CMなど 1940年から1991年までの、ソビエト占領下のバルト三国の暮しはどんなものだったのかという興味はずっとある。占領時代にも、日本人である私は旅行をすることはできたのだから、その気になれば実際に見ることは…

1301話 スケッチ バルト三国+ポーランド 20回

日本 ■良さそうなホステルに行き、この先1週間ほど空室があるかどうか聞く。「ちょっと調べてみますね」とスタッフがパソコンに向かい調べていて、その間に話しかけてくる客がいて、電話がかかり、「いいですよ、急ぎませんから、そちらの用件を先に」と私が…

1300話 スケッチ バルト三国+ポーランド 19回

旅行者たち その2 ■メキシコ人 エストニア・タリン ときどき世間話をする宿のスタッフが、夜の10時ごろ「そろそろ帰るわ」と言ってリュックを片方の肩にかけた。朝8時前にはすでにウンターにいたのを見ているから、「長い労働時間だったね。今日は何時間の勤…

1299話 スケッチ バルト三国+ポーランド 18回

旅行者たち その1 ■アメリカ人 ポーランド・ワルシャワ ワルシャワの安宿で旅行者の世話をしている若い男がいて、しかし従業員というわけでもなさそうで、顔つきは東南アジア人なのだが、英語がうまい。しかし、フィリピン人風でもない。正体不明の若者と立…

1298話 スケッチ バルト三国+ポーランド 17回

ラトビアの元銀行員と人歌手 その3 リーガで出会った元銀行員と歌手の話は前回で終わるはずだったのだが、更新してすぐに赤いジュースの話を思い出した。数行の原稿なら付け足してもいいのだが、書きたいことがもう少しありそうなので、続編を書くことにする…

1297話 スケッチ バルト三国+ポーランド 16回

ラトビアの元銀行員と人歌手 その2 元銀行員が調べてくれた結果、きょうは鉄道博物館に行けないことがわかった。 「そろそろ行こうか」と、元銀行員。6月初めのそのころは、公園でじっとしていると少し寒かった。3人とも、東京なら冬の服装をしていたが、冷…

1296話 スケッチ バルト三国+ポーランド 15回

ラトビアの元銀行員と歌手 その1 リーガの地図を眺めていたら、ダウガバ川の西岸、国立図書館のすぐそばに鉄道博物館があることがわかった。1日をたっぷり使いたいから、朝7時に近所のコンビニでコーヒーを飲み、そのまま散歩することにした。リーガはダウ…

1295話 スケッチ バルト三国+ポーランド 14回

ポーランドの医者 ワルシャワの宿には何種類もの部屋があるのだが、予約なしで行った私が利用できたのは2段ベッド2台のドミトリーだった。ドミトリーなのに、シャワーとトイレが室内にあるというのがちょっと変わっている。下段の私と向かい上段の男以外毎…

1294話 スケッチ バルト三国+ポーランド 13回

フィンランド人旅行者 ワルシャワの宿の入口で、30ちょっと前の二人の男が自転車からバッグを次々にはずしていた。自転車旅行者だ。夕方の6時といっても、もちろんまだ「真昼間」(まっぴるま)の明るさだ。ふたりの楽しそうな顔を見たら、そのまま黙って通…

1293話 スケッチ バルト三国+ポーランド 12回

ロシア人たち チェコとバルト三国の違いは、ロシア人の存在だ。チェコもかつてソビエトの占領下にあったが、国内にロシア系住民はほとんどいない。ところが、バルト三国の場合は、リトアニアは全人口の5%くらいがロシア人だが、エストニアとラトビアでは25…

1292話 スケッチ バルト三国+ポーランド 11回

韓国人たち リーガにラトビア占領博物館というものがある。Latvijas Okupacijas Muzejsというラトビア語をにらむと、英語のoccupancy(占領)の仲間の単語らしいと想像できる。元アメリカ大使館だった建物だというが、大した建築物ではないことからアメリカ…

1291話 スケッチ バルト三国+ポーランド 10回

フランス人たち リーガの雑貨店で絵葉書を探した。スマホのせいで絵葉書は瀕死の状態かと思いきや、絵葉書になじんだ高齢者からは一定の支持があるらしく、絵葉書を売っている店は多い。その値段は店によってかなり違うから、散歩をしながら、土産物屋や本屋…

1290話 スケッチ バルト三国+ポーランド 9回

タイ人たち 旅行先でタイ人に会うのは、もはや珍しいことではなくなったが、それでもベネチアのような世界的観光地ならいざしらず、バルト海地方だと、やはり驚く。 夕方、リーガの旧市街を歩いていたら、パジャマのような安っぽい上下を着て歩いている女が…

1289話 スケッチ バルト三国+ポーランド 8回

日本人旅行者 「どこに行っても、中国人旅行者ばかりだよ」というのは、今や世界の共通認識なのだが、今回の旅では印象が違った。 ラトビアのリーガに着いた翌日、朝飯が食べられるかもしれないという淡い期待をしつつ、ドアを開けたばかりの中央市場に行っ…

1288話 スケッチ バルト三国+ポーランド 7回

ショルダーバッグ、壊れる ワルシャワにいたある日、朝食のあと散歩に出かけようと、宿の階段を下りているときだった。バサッという音が聞こえた。ショルダーバッグが階段に落ちたのだ。肩から滑り落ちたのではなく、留め金が割れたのだ。 このショルダーバ…

1287話 スケッチ バルト三国+ポーランド 6回

女の書き手 もうだいぶ前からだが、旅の本と言えば、食べ歩きや買い物の情報と写真やイラストを満載したものが多く出版されている。その書き手はほとんど女だ。そういうたぐいの本と私の相性は悪いが、読んで参考になる本の書き手もまた女が多いことに気がつ…

1286話 スケッチ バルト三国+ポーランド 5回

小説のなかの言葉、外国語 下 以前から、外国を舞台にした小説のなかの言葉が気になっていて、アジア雑語林の67回(2004.6.16)で、この問題について書いている。別の回で書いたかもしれないが、例えば『いま、南十字星の下で』(小堺昭三)には、黄金の三角…

1285話 スケッチ バルト三国+ポーランド 4回

小説のなかの言葉、外国語 上 旅に出る前に、ラトビア関連の資料を集めているなかで、『リガの犬たち』(ヘニング・マンケル、柳沢由美子訳、東京創元社、2003)を見つけた。ラトビアが舞台だというそれだけの理由で買ったスウェーデンの警察小説だ。買って…

1284話 スケッチ バルト三国+ポーランド 3回

鉄道 わずかな体験だが、鉄道に関して、エストニアとラトビアには違いがあった。ラトビアのリーガからエストニアのタルトゥに鉄道で行った時だ。直通国際列車というのはなく、国境の街Valkaバルカ(エストニアでは、Valgaバルガ。正確には国境の街ではなく、…

1283話 スケッチ バルト三国+ポーランド 2回

バルト三国は、それぞれ違うのだが エストニア、ラトビア、リトアニアの三国を簡単に説明しておく。 エストニアの面積は4万5227㎢、人口132万人。ラトビアの面積は6万4559㎢、人口196万人。リトアニアの面積は6万5300㎢、人口285万人。バルト三国の総面積17…

1282話 スケッチ バルト三国+ポーランド 1回

北から南へ 今年も、ちょっと旅をした。 バルト三国のひとつ、ラトビアの首都リーガから北上し、エストニアのタルトゥ経由で首都タリンに行った。その短い旅で、「バルト三国はそれほどおもしろくはないかもしれない」という予感がして、「それじゃ、よーし…

1281話 つれづれなるままに本の話 6

大阪 どうも、だんだん、新書がインチキ臭くなってきた。すでに触れた阿古真理の本だけでなく、売るためのタイトル偽装(内容と違うタイトル)や、意識的な誤記、あるいはミスリードといったものだ。 では日常なのだが、ある物事の由来や語源を説明するとき…

1280話 つれづれなるままに本の話 5

日本を旅したチェコ人 その2 オーストリア・ハンガリー帝国の旅行者が書いた『ジャポンスコ』の話を続ける。 著者ヨゼフ・コジェンスキーは、日本旅行の便宜をはかってもらおうと、帝国ホテルのなかにあるオーストリア・ハンガリー大使館を訪問した。日本に…

1279話 つれづれなるままに本の話 4

日本を旅したチェコ人 その1 1976年に駐プラハ日本大使となった鈴木文彦の楽しみは散歩だった。大使館近くの古本屋に立ち寄ると、店主がにっこりして、2階から分厚い2冊の本を持ってきて、差し出した。日本語にすれば「世界一周旅行 1893~94年」という意味…

1278話 つれづれなるままに本の話 3

長崎出島 江戸時代の外国語学習について調べてみたくなった。オランダ語や蘭学関連の資料はいくらでもある。大阪の適塾でオランダ語を猛勉強した福沢諭吉は、横浜で外国人にオランダ語で話しかけても通じず、「あああ、オランダ語を学ぶなんて、無駄な時間を…

1277話 つれづれなるままに本の話 2

パンの話 30冊ほどの本が、机の上にのったままになっている。整理するにしても、行先に空きがなく、空席待ちの状態だ。昔なら机の上に置いたままにしているのは辞書類だったが、今は『世界のパン図鑑』(総監修:大和田聡子、平凡社、2013)が、いわば「座右…

1276話 つれづれなるままに本の話 1

エスニック料理店 久しぶりに本の話をしてみようか。書評とか紹介というようなものではなく、本を巡るもろもろの話だ。 『パクチーとアジア飯』(阿古真理、中央公論新社、2018)は、そのプロローグで、日本の食文化の変化や世界の政治・経済の動きをふまえ…