1645話 鉄道の旅 その1

都市Aから都市Bに移動する場合、交通手段がバスと鉄道の両方ある場合、運航スケジュールや料金などで鉄道が不利というわけでなければ、鉄道を選択する。その方が、車内が広々していて、運行中に車内散歩もできるから、バスよりも快適なのだ。 しかし、場合に…

1644話 料理をすること

姉はもともと料理は好きではなかったが、結婚して夫と3人の子供のために日々料理をしていた。夫は外食が嫌いで、サラリーマンをやめて独立したときも、自宅の近くにオフィスを構え、昼時には帰宅して、妻の手料理を食べていた。休日にゴルフに行っても、食事…

1643話 日本語ロック その2

翻訳ポップスの時代が終わると、日本人がオリジナルの詞を書くようになる。「ジュディー・オングの「魅せられて」(作詞:阿木燿子、1979)のように、日本人が聞いただけではわからない“Wind is blowing from the Aegean”という句を挿入する例はあるが、たいて…

1642話 日本語ロック その1

大瀧詠一の歌よりも作曲よりも、音楽雑話の方が大好きだった。もうだいぶ前のことだが、たまたまNHKのラジオを聞いていたら、大瀧詠一の特番をやっていて、以後、正月特番などで音楽雑話を何回も聞いた。「大瀧詠一の日本ポップス伝」や音楽関係者との対談、…

1641話 ふと思い出す街 その2

最近は、2018年に偶然訪れることになったスペイン、マドリッド郊外のアンカラ・デ・エナーレスを時々思い出す。その旅はアジア雑語林1129話に書いた。週末の1日、マドリッドの安宿がどこも満室で、しかたなく郊外の宿に泊まった。昼前に着き、翌日の朝マド…

1640話 ふと思い出す街 その1

日本で生活をしていて、なんのきっかけもなく、昔旅した街の風景が突然よみがえってくることがある。過去の旅を思い出そうと記憶を掘り起こせば、あの街もこの街も思い出すのだが、思い出そうなどとしていないのに、日本のいつもの生活の中で、何のヒントも…

1639話 おとなの事情 その2

つい最近見た日本映画がなかなかおもしろかった。いずれも2020年公開の、「おらおらでひとりいぐも」、「浅田家」、「喜劇愛妻物語」、「騙し絵の牙」などだが、それはともかく、「おとなの事情」の話の続きを。 食事会に行く直前に、妻が突然パンツを脱いで…

1638話 おとなの事情 その1

2018年春、マドリッドでスペイン映画を見た。前回の滞在でも通った近所の映画館に出かけ、シネコンプレックスで上映されている映画の中で、まずスペイン映画を探し、英語の字幕がついていることを確認し、上映時刻を調べて、受付カウンターに行き、私の調査…

1637話 未だに、頭の中はバブル時代

去年の秋ごろだったか、ある老芸能人がラジオでこんなことを言っていた。 「なんで日本は、コロナのワクチンや特効薬を作らないんだろうねえ?」 彼の頭のなかでは、ノーベル賞受賞者がいっぱいいる日本なら、ワクチンも特効薬もすぐさま開発し、世界で売っ…

1636話 滞在許可 その5(最終回)

1990年代後半あたりから、バンコクは超高層ビルの建設と高架鉄道BTSの工事が始まり(1999年開業)、それまでの「すさまじい渋滞」がさらに悪化し、道路が駐車場になってしまうほど自動車が動かなくなった。視界に入るのは、ショッピングセンターと超高層マン…

1635話 滞在許可 その4

バンコクで繰り返し長期滞在していたが、アパートを借りたことは1度もない。1年を通して滞在するなら、アパートを借りるのがいちばん安い住宅費なのだが、私は半年しか滞在しない。アパートを借りても、残りの半年分の家賃を払っているのは無駄だし、誰かに…

1634話 滞在許可 その3

列車がバンコクを出るとすぐに夕闇が訪れる。かつてはいちばん安い木製ベンチの席に座って夜を耐えたが、一気にマレーシアのペナンを目指すときは安い寝台車にした。夜が明けると、マレーシア入国。出入国係官にパスポートを渡し、車内販売の甘いミルクコー…

1633話 滞在許可 その2

1980年にアメリカで取材旅行をしていた。取材だが、当然労働ができるビザなど取らず、観光ビザだった。取材費はまとめて100万円ほどもらっていたから、私の下心は、出版社との約束通り取材をしてアメリカから原稿を送るが、この機会に節約をして、できる限り…

1632話 滞在許可 その1

外国で長期間生活している人のビザって、どうなっているんだろうか。国籍などいろいろな事情を考えると面倒なので、日本人限定で考える。現地企業や日本企業の社員ということで、正式に就労ビザを得ている人は、わかる。研究者なども、わかる。日本料理店経…

1631話 公園にて

ウチのすぐ脇に小さな公園がある。たいていは日曜日の午前中だが、孫を連れたおじいさんの姿を見かけることがある。孫は「きゃーきゃー」言いながら公園を走り回っているが、おじいさんはさして楽しそうでもない。黙ってじっと孫を眺めているだけだ。そうい…

1630話 名前の話 その6

私の名前は前川健一と書き、「まえかわ けんいち」と読む。難読名ではないし、誰でも当たり前に読める名前だと思っていたが、同姓同名の学者の論文に「前川健一(まえがわ けんいち)」とあって、「そうだよなあ」と思い出した。わたしは少年時代奈良県に住…

1629話 名前の話 その5

名前の話をするなら、氏、姓、名字,苗字などの違いを説明しなければいけないのだが、面倒だから省略する。ネット上に情報はいくらでもあるから、詳しく知りたい人は自分で好きなだけ調べてください。ここでは氏、姓、名字,苗字はすべて同じ意味として書い…

1628話 名前の話 その4

タイ人の名前のローマ字表記というのは、これまたややこしい。『まとわりつくタイの音楽』という本を書こうと思ったときのことだ。当然ながら、多くのタイ人が本に登場するのだが、そのカタカナ表記をどうするかで悩み、自分なりの法則を作った。だから、ロ…

1627話 名前の話 その3

いままでは、私のよく知らない世界の話を調べつつ書いてきたが、タイ人の名前に関しては、少々知っている。 タイ人が姓を持つようになるのは1913年の姓名法以降のことだ。つまり、それ以前は姓がなかったのだ。貴族や公務員は役職名や王から与えられた欽定名…

1626話 名前の話 その2

名前に限ったことではなく、中国語のローマ字表記やカタカナ表記もむずかしい(非ローマ字言語のローマ字化がやさしい言語は少ないが・・・)。日本の漢字で「北京」と書く場所を空港などで「Beijing」と表記しているが、けっして「ベイジン」と発音するわけ…

1625話 名前の話 その1

オリンピックをちゃんと見ておけばよかった。競技の話ではなく、選手名の表示を確認したかったのだ。世界のどんな名前でも電光掲示板で表示できるシステムを知りたいからだ。 ローマ字(ラテン文字)を使う言語が多いヨーロッパでは、オリンピックなどの国際…

1624話 「ハードルを上げる」というおかしな日本語

多分、それほど古い言い方ではないだろう。ここ10年以内かもしれない。テレビなどでしばしば「ハードルを上げる」という言い方を耳にするのだが、これは変だ。陸上競技のハードルは、もっとも低いのは中学女子の762ミリで、もっとも高いのは一般男子の1067ミ…

1623話 詭弁のことなど

BSNHKで随時放送している「世界のドキュメント」は割とよく見ている。「見たい」と興味を持った作品で、「なんだ、これは!」と失望した記憶はないから、どれも我が基準の平均点は超えているということだろう。 8月に放送した「地球温暖化はウソ? 世論を動…

1622話 本で床はまだ抜けないが その30(最終回)

図書購入台帳 その6 注文していた『北欧建築紀行』(和田菜穂子、山川出版社、2013)と『世界の野外博物館』(杉本尚次、学芸出版社、2000)が届いた。建築物の旅ガイドだから、旅に出かけられるようになるまでは、実用書としては使えない。野外博物館という…

1621話 本で床はまだ抜けないが その29

図書購入台帳 その5 22日(日曜日)に、2度目のコロナワクチン接種のため病院に行く。2回目の副反応は強いという噂あり。若いと反応が強く、老いていると反応が弱いというが、個人差が激しいらしく、私の体はどう反応するのだろう。 私と同年配くらいの医…

1620話 本で床はまだ抜けないが その28

図書購入台帳 その4 1969年に買った本の一部。 『ヨーロッパ・ケチョンケチョン』(遠山景久)。著者はいろいろあった人。自称、「遠山の金さん」の末裔。この文章を書いているたった今、崩れそうな本の山の補強をしていたら、その山の最深部にこの本があっ…

1619話 本で床はまだ抜けないが その27

図書購入台帳 その3 1968年に買った本の一部がこれだ。 『世界の料理』(西岡秀雄)。内容の記憶ナシ。本格的に世界の料理を視野に入れた本が出るのは、1970年代の翻訳書『タイムライフ 世界の料理』を経て、1980年代に刊行が始まる「朝日百科 世界の食べも…

1618話 本で床はまだ抜けないが その26

図書購入台帳 その2 私の中学入学は1965年、中学卒業と高校入学は1968年、高校卒業は1971年だった。学年と西暦はずれるので、何年生だったかということはここでは省略する。1972年に私は20歳になるから、これから書き出すのは十代の読書というわけである。…

1617話 本で床はまだ抜けないが その25

図書購入台帳 その1 1966年、中学1年生の冬だった。本棚にあるわずかばかりの本で、図書台帳を作ろうと思った。その当時の感覚・感情を覚えていないが、おそらく「司書ごっこ」をしてみたいと思ったのかもしれない。高校生になって図書委員になり、お茶の水…

1616話 本で床はまだ抜けないが その24

神保町でこんな本を見つけた 2 『バンコクの好奇心』を出して間もなくだと思うから、1990年代の初めころだろう。ある台湾研究者が、「『台湾の家庭生活』は知ってます?」と聞いてきた。「いいえ」と答えると、「日常生活の雑学に興味があるなら、あの本、お…