2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

1870話 私と本屋 上

スコットランドの古書店の話に続いて、私と本屋の話をしてみよう。 10代は、もっぱら新刊書店で買っていた。中学生時代から神田神保町に行っていたが、年に数回行く程度だから、まとめ買いといってもカネがないのだからタカが知れている。20代に入って神田、…

1869話 古書店主の日記 下 

アマゾンに敵意を燃やす古書店主の話を2回にわたって書いた。「訳者あとがき」に後日談が書いてある。著者のアマゾン憎悪はますます強まり、アマゾンを介した販売をやめて、自前の古書サイトを立ち上げた。しかし、だ。この日記を含めた彼の著書3冊は、キ…

1868話 古書店主の日記 中

日記から、いくつかの文章を紹介する。悪態をついている個所は説明が面倒なので、わかりやすい記述を集めたから、毒は強くない。 本に限らず、通販をやっている人なら、「そうそう、そうだよ!」と言いたくなる例が出てくる。品物は到着しているはずなのに、…

1867話 古書店主の日記 上

新刊でも古書でも、かつては書店主が書いたエッセイをかなり読んでいたが、最近はすっかりご無沙汰している。最後に読んだのは、『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(北尾トロ、風塵社 、2000)だと思うから、もう20年以上読んでいないことになる。ただ…

1866話 体調不良

長い間、「体調不良」というのがどういうものか、まったくわからなかった。風邪をひいて熱があるとか、扁桃腺がはれてノドが痛いということはあっても、「体調不良」というものがどういうものかわからなかった。体の具合が悪くても、翌日か翌々日には回復し…

1865話 空の旅の食事 下

『空と宇宙の食事の歴史物語』は、前回紹介したように、おもしろいエピソードが詰まっていて、「電子レンジ爆発事件」など紹介した話がまだ数多くあるのだが、きりがないので自分で読んでください。 この本を読む私自身の欠点は、飛行機を知らないことだ。機…

1864話 空の旅と食事 上

気球から宇宙の旅まで、飛行中の食事のあれやこれやの雑学を詰め込んだのが、『空と宇宙の食事の歴史物語』(リチャード・フォス著、浜本隆三・藤原崇訳、原書房、2022)だ。私好みの全方位雑学だから、うれしい付箋がいくつもついた。 人類最初の空中食は、…

1863話 タイ警察と汚職

以前、タイ警察と汚職の話を書いているが、読んだ人はわずかだろうし、そのわずかな人も内容を覚えていないだろうから、同じことをまた書く。 タイが立憲君主国となるのが1932年で、近代的な警察もそのときに誕生している。しかし、「近代的」とは名ばかりで…

1862話 貧困とワイロ

フィリピンの、「カネがあれば何でもできる」刑務所のことが報道されると、自称ジャーナリストや、自称「フィリピンに詳しいライター」といった人たちが、「警官の給料が安いから、汚職に手を染めるんですね」と、もっともらしい解説をしている。タイの警察…

1861話 借金

中学時代の顔見知りから借金を申し込まれたという話を書いていて、借金に関する思い出が2件浮かんだ。 銀座の中国料理店でコック見習いをしていた時の話だ。レストランという場所は、厨房とホールに分かれていて、厨房の長は料理長で、ホールの長は主任だっ…

1860話 夢はなんとも不可解である、当たり前だけど。 下

会いたい人に夢でさえなかなか会えないのに、まったく意識していない人が夢に出てくるということがある。学校や職場などで、ただ顔を合わせるだけの人と、夢のなかでなんと恋仲だという夢だ。いままでその人を気にかけていたことなどなく、ましてや恋心を抱…

1859話 夢はなんとも不可解である、当たり前だけど。 上

夢に「あるある」があるらしい。夢について書いたりしゃべったりしたもののなかに、同じ話題が多いことに気がついた。 元優等生たちが語る夢は、気がつくと試験会場にいて、試験を受けているという夢だという。試験勉強などまったくしていないから、どぎまぎ…

1858話 現場作業の夏と冬 その2

真夏の仕事がつらいと思ったことがない。炎天下で仕事をしているから、当然汗をかく。職人たちが皆、ハチマキを締めている理由がよくわかった。汗が目に入ると、作業ができなくなる。高いところに上っているときに目を開けられなくなると大変だ。そういうこ…

1857話 現場作業の夏と冬 その1

工事現場で働くのは好きだった。それが大きなビルや高速道路などだったら、すぐに逃げ出したと思うが、小規模な工務店の小さな現場だったから、毎日楽しく過ごせた。 そもそもは、高校の卒業式の日だった。年が明けた高校3年生というのは、進学などの準備で…